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2019年2月23日に日本でレビュー済み
面白い。時代背景や考証は気にしてはいけない。これは架空の王国の架空の後宮を舞台にした物語だ。清朝や明朝に似ているのは気のせいです。特に後宮の建物や風景、地形などの描写が少ないのはその辺の固定観念に引っ張られないようにしているのでしょう。中国式の名前なのですでにその固定観念に縛られてしまうように思えますが、意外と読んでいて気にならないものです。小説では、例えばイギリス人と日本人と中国人が何の壁もなく会話をする場面が良くあります。三人とも母国語でしゃべっていても意思の疎通は完璧という状況です。それと同じようなものです。
さて、主人公ですが、なかなか気の毒なきっかけで後宮の下働きになったやせっぽちのそばかすのある少女です。一つ大きな取り柄として薬の知識が豊富という点を除けばその他大勢に埋もれてしまう容姿。それがある、事件をきっかけに後宮という小さな世界で浮上していきます。まあ、浮上としか言いようがない。本人はむしろアンコウのように底の方で静かにしていて、後宮の庭にやたら生えている薬草や毒草やらを嗜みたいと思っている。そんなままならない人生が読み手には色々な感慨を抱かせます。
登場人物が皇帝だったり寵姫だったり、これまた美貌の宦官だったりとなかなか華やかですが、不思議なくらいアットホームでこじんまりしています。実際、後宮が広いと言ってもいわば大きなお屋敷なわけで、極端に言えばその中で起きる事件は全てクローズドサークルということになります。その中で薬の知識を生かして事件を解決する。それゆえに知らなくても良いことを知る羽目になる。
第一巻は主人公が多くの人たちと出会って、なんやかやあって脅威と畏敬と尊敬とその他の感情を受け取る巻です。そしてその他の中身が締めくくりを飾ります。背景や人物の描写が抑えめな分、期待感が湧くのは作者の計算だとしたら、ちょっと怖いかもしれない。
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