カスタマーレビュー

2018年7月4日に日本でレビュー済み
魔王オルデンとの戦いによる共倒れで命を落とすも、イザナの死霊術により骸骨のまま生き存えることとなった
元勇者アルヴィス――現在はアンデッドとして死んでいながら生きているアルは前作で描かれた諸々の報告を
するためミクトラそして戦いが繰り広げられた国境近くのエンデ村にて、自分以外の村民すべてがアンデッド
となり、彼等の維持をするために必要な死霊術士の資格を得るべく行動を共にすることとなったハルベル・
エリュズの三人(あるいは一体と二人)で王都エイエラルドへと向かう――が序盤のストーリーで、前作同様
連作短編の形を取っている。

『骨勇者、宿敵と再会する』
王都へと向かう道すがら、パルムック村へと立ち寄ったアルたちは宿と引き換えに魔物が山にいるため
駆除して欲しいという依頼を受け山に入ろうとした刹那、ルーラットという村の娘から山で三歳の弟が
行方不明になったので探して欲しいと依頼される。三歳児ということもあり無下にもできないと判断した
アルたちだったが、彼等が山で見たものは竜殺しをやってのける三歳児だった――が本章のあらすじ。
三歳児ダイスがかつて生前のアルヴィスと戦った黒竜王ディスパテの生まれ変わりであるということが
分かるとともに、今後のストーリー展開における『三歳児ダイスは果たして敵か味方か』という伏線が
埋め込まれていることが理解できる。

『人骨、先生をやってみる』
王都に到着したアルたちはエンデ村をハルベルへと委譲するべく魔導宰相フブルを通じて王への謁見を
願い出ることとなるが、取り次ぎに時間がかかることや、委譲するにしても死霊術士の資格取得が
必要であることからアルたちはしばらくミクトラの実家である貴族・ランテクート家に寄宿することとなり、
ハルベルは資格取得のため王立騎士養成学園に短期間通うこととなるが、学園には上級資格である
魔法使いの資格を得るカリキュラムはあるものの、死霊術士の資格を取得するカリキュラムが無く、
学習に難儀することとなり、学園長を兼ねるフブルの依頼により臨時講師となったアルがハルベル
そして生徒であるペリネーテス、ゲルダ、ダステルに対し単位取得のための特別授業を行うことと
なる――が本章のあらすじ。
欲をかいてしまえば貴族と平民の間における選民意識や嫉妬といった複雑な感情を提示した上で
ダンジョンでの実習を通じて培った結束を描けばその振り幅により印象深いものになったと思うが、
ボリュームのことを鑑みればある意味仕方がないことではある。

『元勇者、王族との関係に悩む』
ようやく王への謁見が実現することとなり、馬車で王城へと向かうアルたち。ハルベルは報償として
王アインアルにエンデ村の委譲を求めるが、彼女以外の村民が死霊であることに懸念を抱いた一部重臣の
反対によりその場では答えが出ず、追って検討することとなった。果たしてハルベルは故郷の村の自治を
得ることができるのか。勇者アルヴィスの婚約者であった王女エルデスタルテは勇者亡き後彼を想い
塞ぎ込むと同時にその生まれ変わりがいないかを探していた。一方ミクトラの弟で三歳児のカルネルスの
部屋に夜な夜な侵入者が現れ、寄る辺ない不安に苛まれていた――が本章のあらすじ。
三歳児というキーワードを利用して三年前の出来事との関連性をうまく示唆するとともに、アルの
大芝居によりひとまず村の委譲の問題と侵入者の問題を同時に解決させるようすがうまく描かれている
とともに、それが原因で新たな問題が起きる次章へと繋げている。

『骨勇者、神への供物をクエストする』
前章において自らを神格化して王女に神託を下すことによってエンデ村委譲に反対する重臣を
封じ込めることに成功したものの、神を自称したことをきっかけにマルドゥ神に呼び出され、
指示どおり冒険者組合へと足を運ぶとそこにいたのはマルドゥの依頼を請けて地上に降りた戦神ヴァルク
だったが、その依頼とは人界一のスイーツを探して捧げよというしょうもないものであった――が
本章のあらすじ。
一見すると箸休め的な話に見えなくも無いが、おそらく神の気まぐれによりスイーツを探すという
平和的な行動が次章に描かれる王都の危機に対する前フリとなっているのが分かる。しかしながら
あくまで個人的な意見であり、本作に限った話ではないが、剣と魔法のファンタジー世界において、
現実世界に存在するスイーツをそのまま登場させたり、あまり物語に関係ないオリエンタル要素を
出したりするのは興醒めするのでできればやめるか、本作の世界観に見合う料理を構築したほうが良いかと。

『勇者、久しぶりに竜殺しに挑む』
パルムック村から王都にやってきて親の形見を手に入れたものの、弟・ダイスとはぐれたルーラットと
再会したアルたちだったが、そんな折最前線にいた第三王子サイネル率いる部隊が壊滅し王子も重傷。
かつて勇者アルヴィスたちによって大幅に戦力を削られた魔王軍の一部である堕竜軍が数多の
ワイバーンを引き連れ王都へ攻め入ろうとしているという報が入り王都に緊張が走る。臣民が避難を
開始する中、結界を張るなどして王都は防衛体制を取るが――が本章のあらすじ。
王都を守るべくアルとその仲間たちが動き出すのはもちろんのこと、第一章で提示された疑問に対する
『解答編』が描かれるのもまたこの章である。
また、ただ単に竜やワイバーンとの戦いを描くのではなく、平常時には貴族としてのメリットを
享受しつつも問題が発生した時にはその矢面に立つというノブレス・オブリージュの精神をしっかりと
描いていることに対し、作者が決して思いつきだけで書いているわけではないということを
窺い知ることができる。
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