カスタマーレビュー

2019年5月2日に日本でレビュー済み
今回も今回で非常に長文になってしまったので、いくつかのポイントに分けて書きました。
興味と時間があるときにでも読んで己の知識の糧や、自身の感想を纏めるためのサンプルにでもしてもらえれば幸いです。

デクについて
極めて成長が遅いのが目につきました。
今迄から今回の模擬戦までの成長部分を纏めると
シュートスタイルは「動きが単調で読みやすい」と指摘されてから改善した描写も特にありません
空気砲は照準がブレるから使いこなせない。OFAの出力は何故か20%から8%へと大きく後退。
解りますか?8%のときから全く進歩していないんですよ。
これが新時代の『努力型主人公』ですか?
何一つ使いこなせていないのに、やれ新技だの新個性だのと言っている場合じゃないでしょう。
真新しいおもちゃに目移りする幼児ですか?
6つの新個性についてもですが
OFAの新個性発現はデクの能動的な努力による覚醒ではなく、特異点を過ぎたことによる自動的な変化ですよね?
特に詳しく明言されていないという事は、デク以降のOFAの後継者は超パワー+6つの個性を継承できるという事ですよね?
では、今OFAの継承者がデクである必要性も、必然性も、理由も、作者の都合以外で何かありますかね?
少なくとも、私には何も思い浮かびませんでした。
更に言うなら、新個性発現時の先代との対話で、「100%に耐えうる体作り」という明確な進む道、ひいては答えが出たにもかかわらず
やったことといえば「8%のままでも鞭を使えるようにする」という裏技的な、楽をすることの努力という何とも小狡いものじゃないですか。
公式が掲げている「努力型主人公」だの「人救け」だの看板に偽り有りという気がしてなりません。

まあ、そうは言っても模擬戦では勝ちましたし、それを以って成長と呼ぶことも出来なくはないでしょう。
しかし、その勝利も敵である心操に助けてもらったうえでの勝利ですよ?
心操との捕縛布の引き合いでは普通科の心操に力負けしてるんですよ?
デクが普通科出身相手に実質2個性使って辛勝している横では、お茶子が実質フィジカルのみで3人抜きですよ?
デクには作者の寵愛とご都合主義的な主人公補正以外に何が残っているのでしょうか?

甘さ
長々とデクの問題に触れてきましたが、正直なところ主人公だけでなくこの作品の社会全体がどうも歪な様に感じられます。
何故そう感じたのかと私なりに考えたところ、要所要所にある『甘さ』に要因があるのではと考えました。
まず思い出してほしいのが、主人公たちが通う雄英の偏差値はいくつか覚えている方はいますでしょうか?
79です。現実だと灘高校、他作品でいうと「かぐや様は告らせたい」の秀知院学園とかそのレベルなんです。
この学園の生徒は日本の学生の中でも秀才中の秀才の集まりでありトップエリートの集団の筈なんです。
それを踏まえて聞きたいのですが、A組やB組の生徒達に知性や教養があるように見えますかね?
入学して半年以上経って漸く味方へのフォローを覚えるような奴が居たり、自らの持ち味を殺すような行動を行う馬鹿(具体的には葉隠)が居たりとおかしなことになってますよね。
そもそも、作中半年以上過ぎ、現実だと23巻でようやく人並みに人救けが出来るようになった爆豪が受かっている時点で謎ですよね?
面接があったのなら、ヒーロー性の欠片もない彼が受かるビジョンが全く見えませんしね。
仮免試験にしても、国家試験でありながら筆記無しなうえにミスした部分を試験官がその場で教えてくれたり、
落ちても補講を受けたら取得できると、とてつもなく「甘い」ですよね?

その「甘さ」というのはキャラクターへの扱いにしても言えることで、新章を例に触れてみると
ヴィラン集団が暴れているのを発見した爆豪と轟がオールマイトの静止を振り切って鎮圧した。
それを見たオールマイトは二人の成長ぶりを褒めた。
そういう遣り取りがありましたが、なんでそうなる?ですよね。
オールマイトが二人を制止したのは、仮免の権能上の問題(緊急時の自衛のみ戦闘可能)に抵触したからか、あるいは別の問題があったから制止したわけですよね?
その制止を振り切って勝手な行動を行ったのだから、叱ったり注意したりするべきですよね?だけど、褒めるだけですよね?
要は、「甘やかしている」ように見えるんです。
もはや汚言症を疑うレベルの爆豪の悪態や暴言を諫めなかったり、デクの、一切の気遣いなく要救助者を背負って戦うという行いに苦言を呈するものがいなかったり、
生徒がヴィラン相手に勝手に戦闘行為を行っていたことを察しつつも見ないふりをしたり(文化祭編を参照)と
提示されてきた厳しい世界観に対しキャラクターへの対応が非常に甘いため、そこにも強い齟齬が生まれる訳です。

向き合う事
何故上述の2要素のような歪みが生まれたのか?という事について私なりに更に深く探求したところ、この結論に至りました。
この作品のキャラクターには、「自身と向き合う」という描写が無いんです。
「自身と向き合う」という事は己の長所や欠点を「自覚」するという事と同義です。
インターン編を例に挙げてみますが、「エリちゃん見捨て」というものがありましたよね?
あれは、「何も考えずに誰かを救うために動けた」という1話で示されたデクというキャラクターの根本…ひいてはヒーロー性の否定そのものでした。
絶対になあなあで済ませていい話ではなかった筈です。
だというのに、その部分を何度読み直しても、その問題はモヤモヤの要因の一つ程度のもので、後悔にしても「何が最高のヒーローだ」だけで終わっていますよね?
その後は背負って戦うあの流れですし、きちんと向き合っているようには思えませんよね?
そうです、「キャラの根幹の否定につながる問題」という「自覚」がデクにも、ひいては制作側にも足りていなかったからそういうことになったのでしょう。

更にこの問題の根深い所は、例に挙げているデクだけでなく、キャラ全体にそういう傾向があるというところです。
アンチの難癖とは言われたくないので、ここでも具体例を出していきましょうか。
模擬戦編では2~5回戦の反省会は後でまとめて行うと明言していますが、結局は描写されませんでしたよね?
つまりそれは、2~5回戦のキャラ達は成長部分も、反省点も、今後改善すべき課題も明確に示されず曖昧なままという事に他ならず
今後、彼ら彼女らに活躍の場があったとしても、結局は成長も課題も何もかもが曖昧なままなので、
その都度の成長なんかもあやふやなままそれっぽい説明台詞だけで「そういう事になる」可能性が非常に高いという事です。
若しくは唐突な覚醒やご都合的な能力強化でピンチを乗り切るだけとか、ですかね。
何故なら成長や反省以前に「自覚」がないのですからね。どこをこうしようという明確な指針が存在しないのですから。誰も彼も何がやりたいのかもよくわからないまま、ただぼんやりとしているだけなんですよね。
トップヒーローであり、師匠でもあるオールマイトはデクと向き合わないから、土下座までしたのに空気砲ぐらいしか指導を行う場面がなく、
ライバルである筈の爆豪は、何時まで経っても自分と向き合わないので、暴言や見下し癖が治らないので成長が解り辛く、
デクがOFAの継承者である必要性が示されず、その不都合な問題から作品全体が目を逸らしているので、歪な作りになっているのでしょう。
更に忌憚なく言うのであれば、制作側が、自分たちの設定した厳しいルールの世界設定と実際の「甘やかし」に近い対応に差が出ている事に自覚がないから
こういうアンバランスな世界観になってしまったのではないかと思います。

行動
私は、前巻のレビューで「キャラクター達は最低限の行動すらとらないところがある」と指摘しましたが、相変わらずそういう部分が残っていましたね。
物間がお茶子のGMAで組み伏せられるシーンがありましたが、ポルターガイストをコピーしているならお茶子を飛ばして逃げればいいじゃないですか。
跳ね回っている峰田が厄介であるなら、ポルターガイストで対策するかナットか何かを巨大にして壁にするぐらい出来た筈ですよね?
小中が峰田の粘着玉で動けなくなったといっても、粘着玉を極限まで小さくすれば問題なくないですか?
今更何言っても意味はないと思いますが。

理屈
相変わらずよくわからない理屈が多いです。
デクは物間を捕まえたいと思ったから、黒鞭が発現したとのことですが、
何度読み返しても空気砲で攻撃しようとしているようにしか見えませんでしたよ?
物間は成長の結果4つまでコピーできるようになったとのことですが
その4つのコピーの内訳はポルターガイスト、二連撃、サイズ、洗脳ですよね?
枠が4つ埋まっているのにOFAコピー?と混乱しましたよ。私が無知なだけでコピーは上書きできるのかもしれませんが、
なら、お茶子の無重力をコピーして取り押さえられている時にでも使用して隙を作るなり逃げるなり出来た筈ですよね?
他にも、新章冒頭にて腕を振り下ろして攻撃してるだけにしか見えない爆豪が、いつの間にか財布を取り返してる場面など漫画にしてもあり得ないだろうとしか感じられませんでした。

成長
やはり今回も成長が感じられませんでした。デクや生徒は上述の通りなので、新必殺技使う程度の成長しかしていないので、
新章のヴィラン連合を中心に掘り下げていきますが
まず第一に、前提として死柄木をはじめとした連合は「グダグダで金欠で空中分解寸前」でしたよね?
それは何故か?というと死柄木達連合メンバーが主体性のない烏合の衆だったってことですよね?
まあ、なんだかんだで過去回想を経て原点に立ち返った?覚醒した?死柄木はヴィランとして成長した訳ですが、
その結果どうなったかというと、結局は「後ろ盾がなければ何も為せない」「全て壊すけど身内は別」という悪役にして情けない以外の言葉が見つからない状態ですよね?
そもそも、似たような過去を持ちつつも腐らず育っているエリちゃんがいる時点で死柄木のメンタルは6歳児以下かというね…
さらに掘り下げると、死柄木とは違ってAFOやドクターといった理解者が居ない分、エリちゃんの方が過酷じゃないですか。
なんですか、これ?
ヴィランとしてみても、強盗として大成していい暮らしをしていたジェントル以下じゃないですか。
本当に何なんでしょうね…
「死柄木は成長する」とドヤ顔で語ってたAFOが馬鹿みたいじゃないですか。
まあ、AFOもゴーグルハゲの先代と初代を間違えて「弟の声が聞こえる」とか言ってましたし、今となってはボケているのかもしれませんね。
それにしても、なんですが
・頂上決戦以降、碌に後継者を指導しないオールマイト。
・OFAの出力強化も、新技体得も何も為し得ず、ヒーローとしての精神性は明確に後退しているデク。
・オールマイトと同じく、後継者選び失敗した悪の帝王(笑)AFO
・負んぶに抱っこじゃなきゃ何もできない大人子供こと死柄木
トップヒーローとトップヴィラン。そしてその弟子。師弟共に無能って凄いですよね。
ついでに、成長要素として、爆豪が市民を助けたという部分で成長といえなくもないですが、
圧倒的に積み重ねがないせいか、唐突すぎるし、伏線もないし、説得力がないですね。

まだまだ書き足りないのですが、これ以上長くなるとあれなので他のツッコミ所を箇条書きしていきます。
・多作品ではまずないであろう怒りのままに振るっても応えてくれる主人公の新能力
・模擬戦編の最後ら辺の、描き分けが出来てなくて9割方同じ顔のデクとエリちゃん
・トガが教祖に成り代われば金を引っ張れるのにわざわざ強盗をする連合。
・ぐだぐだしている己を顧みず志が云々と言い出す荼毘。
・僕のヴィランアカデミア(サブタイトル)の謎の人物「僕」(本当に誰視点なんでしょうね)。
・スピナーの過去回想中に死柄木の過去回想が入る謎展開
・11万の構成員を持つ解放軍より金欠で空中分解寸前だった連合に取り入ろうとしたことが分かったホークス。
・死柄木が頭になってからは護送車襲撃とちんけな強盗くらいしかしていないのに「名を上げ過ぎた」連合。
・ギガントマキアが起きる時間を把握していても、愛知までの移動時間やヒーローに見つかる可能性を計算に入れていない連合。
・仮にギガントマキアも転送するなら必要性も意味も無くなる「どこにいても死柄木を探し当て、追ってくる」という一連の会話。
・わざわざ向こうから姿を現してくれる解放軍女幹部。等

本来なら、悪vs悪という構図は凄く盛り上がるところなのですが、
わざわざ幹部クラスが、向こうから姿を見せた時点でどうにも嫌な予感がしたので星1とします。
次巻はこの嫌な予感をいい意味で裏切ってほしいものです。
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