カスタマーレビュー

2019年5月28日に日本でレビュー済み
岩明均の漫画は、「寄生獣」であれ「七夕の国」であれ、「雪の峠」も「剣の舞」も「ヘウレーカ」も、
失われた日常を取り戻すまでの物語です。
終幕の向こうには歓喜も熱狂も高揚もない平凡な日常があるだけで、
それこそが血まみれの戦いを経た主人公が真に勝ち得たものとなります。
物語冒頭のレイリは、「寄生獣」の泉新一が最高に壊れていた頃よりもさらに壊れていましたが、
多くの出会いを経て、姉あるいは母のごとき穏やかさをもって少年を導き、
「普通」ではあるものの「普通でない」をはるかに凌ぐ強さを示します。
第一巻表紙のレイリは「父と母を殺された娘」あるいは「弟を殺された姉」でしかありませんでしたが、
最終第六巻の表紙に描かれたレイリは悲劇を乗り越えた生存者であり、勝利者であるように感じられます。

この漫画は間違いなく原作者である岩明均の漫画ですが、作画を担当した室井大資の手腕にもうならされました。
率直に言って、岩明均は絵の巧みさで魅せる漫画家ではありません。
しかしながら細かな表情の変化と、静から動に転じる一瞬の演出は随一です。
室井大資は岩明均よりも巧みな絵で、岩明均の魅力を損なうことなく、ちゃんと物語を完結させてくれました。
岩明均は好きでも、作画が違うからという理由で本作を敬遠していた方には、
是非のご一読をお勧めします。
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商品の詳細

5つ星のうち4.6
星5つ中の4.6
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