カスタマーレビュー

2020年3月6日に日本でレビュー済み
非常に長くなってしまったので
興味と時間のある時にでも読んでいただけると幸いです。
内容としては酷評なうえ、ファンの方やこの作品を面白いと思っている方々にとって不快となる表現が多々出てきます。
そういった方々は、別の事に時間を使っていただければと思います。

まず、私なりの持論について、現在のこの作品が抱える問題
「客観性の軽視」、「成長の軽視」、「ヒーローアカデミアの軽視」
という部分とそれらによって生まれた弊害について絡めながら語っていきたいと思います。

「客観性の軽視」
要所要所で感じる事なのですが、この漫画の作者はあらかじめ「こうしたい」という見せ場を設定し、そこから逆算して話を作っている節が感じられます。
それ自体は悪いことではないのでしょうが、問題は、その「こうしたい」展開にどうすれば自然に持っていけるか?という計算をしていないか、計算結果自体がおかしいという感じで
その結果、「こうしたい」展開へ行くために強引な話運びになったり、偶然がいくつも重ならないと成立しないようなご都合主義としか言い表せないものになったり、
過程の積み重ねやロジックの補強による説得力がなく「よくわからないけど結果オーライ」というような状況になっている事が多くなってると思います。
いくつか例を挙げさせてもらいますと
唐突に表れたヴィランにより轟兄が人質に取られ、デク達学生の活躍で~という流れがありましたが、
自分の息子が死ぬか死なないかの瀬戸際で「自分が助けたら息子は自分に何も言えなくなるかも…」とかいって見殺しにするような親がいますか?
卵とはいえ仮にもヒーローが人質を取られてるのに「無策で正面突撃」なんてして誰も疑問視しないって事あります?
エンデヴァーの負の面の方向に話持っていくのに上述の見殺しに誰も触れないってあります?
トラックを止めるとき炎出したら引火の可能性があって危ないだろうとか、
爆豪が冬は時間がかかるって何の為の冬用スーツなの?とか、
目指すべき最善は綱渡りの調整ではなく安定した出力なのでは?とか
デクは「許す準備」がどうとか上から言える程何かを許した経験も積み重ねもないでしょ?とか
鞭放出の出力調整が難しいから上手くいかないっていう問いと「最大出力を一点に放出」という答えは噛み合ってないだろう?とか
その程度の力の使い方は本当に学園じゃなくエンデヴァーじゃなきゃ教えられないものだったか?とか
片手で別の何かを掴んだり、足場で踏ん張りもしないで車何台もの重量を支えられるわけないだろ?とか
この世界のヴィランに人質を取るだけの知能があるなら、何故今迄のヴィラン…特にオーバーホール等ヤクザ達はしてこなかったのか?とか
もし本当に目的(自分を殺してもらう)を叶えるためにエンデヴァーの怒りを煽るなら、死体を見せつけるなり、重症を負わせたのを見せつける等するのでは?とか
別居するにしても焦凍は寮住まい、夏雄は家を出てる状態で新築建てる意味あるの?とか
OFAの話し合いに爆豪がいる必要性はあるのか?一々イキリとマウンティングでテンポ悪くなるので不要では?とか
喋るだけの知能と複数個性を持つハイエンドより、個性関係なく物理的干渉が可能な霧状の身体と明確な自意識を持つ黒霧の方が高等な存在だし、
そんな黒霧が初期の頃から居たりとその辺が難解だったりとか
ヒーローが街から消えた(総動員で動いた)とのことだが、その間のヴィランの対応はどうするのか?
エンデヴァー事務所は1日何件の仕事をこなしてたんでしたっけ?とか
ヒーローが全員街から消えるレベルの事態ならあっさりとヴィラン側にバレない?とか
個性の強さ=階級という実力主義の解放軍でトップや幹部共に11万もの圧倒的数差で連合メンバーを一人も殺せなかったという醜態を晒しているのに
そんな組織の陰の実力者が今更出てきても脅威に思えないとか。
一々理屈として成り立っていなかったり、「それってどうなの?」という部分が素通りされていて不自然さしかなく飲み込み辛かったりと、
読む側は納得し辛い部分が多くなる訳です。

「成長の軽視」
これは、上の「客観性の軽視」とも重なる部分があるのでその辺を織り交ぜていきますが
まずは先に例を挙げさせてもらいます。
先に述べた様に鞭の出力については問いと答えは噛み合っておらず、エンデヴァーからのアドバイスをどう活かしたのかも、
エンデヴァーとの日々が具体的にどう活きたのかも特に示されない。
にもかかわらず、何故か実戦レベルの出力をモノにしている。
また、鞭は一旦忘れて習得に専念しろと言われた筈のエアフォースの習熟に関しては触れられず
鞭も体得というには疑問が残る1秒と非常に短いものとなっている。
だというのに、そのことに対して触れる人間は誰もいず、
それで良しと次の個性習得の話にシフトしている(何故か自分で習得個性を選べる前提で)。
それは何故かというと上述の通り、客観性(説得力)の軽視・欠如があり、それによる強引な展開・積み重ねの欠如・ご都合的展開となり、
それでも話は収束させねばいけなくなり、その結果が読者を置いてけぼりにする「身勝手な納得」になる訳です。
また、話は積み重ねがないご都合主義で進んでいくので「精神的成長はないのに個性の出力」だけは上がることが多くなります。
例えば、焦凍が自分を特別視するエンデヴァーに親子面はやめてくれというシーンがあります。
一見すると精神的成長を感じさせるシーンに見えなくもないですが、よく考えれば分る通りに
親のコネで2人をエンデヴァー事務所に連れてきたり、親子面はやめてくれという場面で父親でもあり
インターン雇用主でもあるエンデヴァーを「お前」呼ばわりしたりと
結局は「子供としての振る舞い」をしており、ハイエンド戦での衝撃など26巻分の積み重ねがあっても「親父が悪い」に終始し
エンデヴァーと夏雄の遣り合いでは身内の事なのに蚊帳の外。
新技は会得しても、精神的には焦凍は全く成長していません。
前述のデクは「新技を習得するに足る描写」
後述の焦凍はエンデヴァーへの向き合い方による「精神的成長」
それらは全くといって描写されていません。
正に「身勝手な納得」で話が進んで、よさげな雰囲気だけ出して終わっているのです。
また、別方向のパターンを挙げると、唐突に表れた2年生や、インターン後のA組や、いつの間にか精神疾患が治っていたトゥワイスや、他のピースや状況も示さずピースを揃えていたホークス等
具体的な説明も描写もなく「成長した」「〇〇が出来るようになった・出来てた」という省略的な説明台詞や状況だけで成長を済ませるというようなパターンや、
「除籍しても実は復学させてた」とか「轟母を精神が病むまで追い詰めたけど夫婦間の愛はある」とか
「碌に後継者を指導出来なかったけど居るだけで精神的支柱になるから」とか
「模擬戦で救助拒否したり、個性を使った私闘をしたけど大人の注意不足が原因だから」など
過保護なフォローが入り、そのせいで精神的に成長する土台自体がない。など
学園物なのに成長描写を軽視しているという悪しき流れが蔓延しているのが現状であると感じます。
それにしても、話が終盤に差し掛かっているであろう雰囲気の中
物腰(他人への立ち居振る舞い)を強化してた飯田は何がしたかったのか…

「ヒーローアカデミアの軽視」
これは単純にヒーローモノとしての要素、そして学園要素の軽視と思ってください。
因みに、これは「成長の軽視」に重なる部分があるのでその辺を織り交ぜていただきます。
まず、この世界のヒーローのヒーロー観というのは職業としてのヒーローが確立した結果形骸化しているのは解ります。
金や名声や勝利など多種多様な目的や理由があるのも知っています。
しかし、最初期の頃のオールマイトの「ヒーローの基本は奉仕活動」という台詞や救助訓練の描写など
戦いだけでもなく人救けをこそ重要視していた筈です。
それこそ「勝って救けるヒーロー」というビジョンが示されたこともありましたね。
でも、今のこの漫画って本気で「人救け」について考えてると思えますか?
そもそも、ヒーロー側に正義側に立てるほどのモラルはあるんですかね?
人質を取られているのに何の工夫もなく正面突撃ですよ?それに誰も異議を唱えないんですよ?
詳細を語らず、後方とはいえ学徒動員で学生を戦場に連れていってるんですよ?
結局口だけで、それっぽい雰囲気でそれっぽい事を言ってるだけにしか見えず
ヒーローとしての「心」も「信」も「芯」も感じられません。
学園物として見ても、今回の新技やA組もインターンで成長した上に
A組の成長要素も模擬戦での問題点を踏まえたものでもないので成長の土台としての学園の存在意義がなく、
生徒同士の交流も基本皆で集まって騒ぐだけで最初から皆仲良しこよしなので誰と誰の関係性が~というのも薄い。
実はいた筈の2年生…先輩との触れ合いもなければ部活も生徒会もない
また、今巻終盤の大幅な時間経過でバレンタインや3年の卒業式などのイベントもない。
何処まで行っても学園物としての可食部があまりにも少ないのです。
2年生に関しても、あんなに簡単に復学が出来る程度なら「除籍」とは言わないし
もし復学させてたなら初期の頃のオールマイトとの会話等過去の描写とかも不自然になるだけだし
除籍がどう成長に繋がったとかもないので本当に「適当」の一言に尽きるんですよね。

とまあ今回も長々としたレビューになってしまいましたが
これらは絶対的意見というよりかは、あくまで参考意見の一例として
「ここは同意できる」とか「ここは違うだろう」とか考えながら見ていただけると有難いです。
ただ、私のようなアンチ的な存在に言われる筋合いなど無いとは思うでしょうがこれだけは言わせて頂きたい
ファンの方々はもっと怒っていいと思います。
もっと話作りを頑張ってくれよと声を上げてもいいと思います。
作品のファンだから、その作者だから応援するのと、とはいえ此処はおかしいだろうと問題提起をするのは十分両立できますので。

最後に、次巻以降の期待できる部分について話していきたいと思います。
恐らく、病院が舞台となるようですが、これは否応なく期待できるところですよね。
手術中の患者、延命に装置が必要な患者、絶対安静な患者など全員を避難させることが現実的ではない舞台
そういった極限的な状況や場所でこそヒーローの真価が問われるわけですから。
まあ…これまでの考察を踏まえた流れだと無策で正面から突入したり
ご都合主義的に何も問題も起きず進みそうな気もしますけど…流石にそこまでではないでしょう…多分。
後、ガンリキとかいう目を大きくした気持ち悪いネタも今巻限りで終わることを期待します。

最後の最後に今巻の評価は1とします。が
上で長々と書いた大まかの問題点とは別に、白雲の過去等については外伝のヴィジランテで補完する必要性があるので、
イレイザーヘッドと白雲(黒霧)関連の話はこの巻だけでは評価に値しない点や、
ヴィジランテと本編を読み比べてもヒーローの姿勢の洗練度や話単体の完成度の違いで余計に混乱するので、
評価自体は1でもニュアンスでは0.5ぐらいと思ってください。
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5つ星のうち4.7
星5つ中の4.7
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