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2013年9月30日に日本でレビュー済み
政略結婚で地方大名は如何に生き残るか、その為に嫡子の教育は優秀なリーダーを作り出す為、母親から子供を引き離して守役に育てられる。

その英才教育システムのメリットも、デメリットも体験しながら育った伊達藤次郎政宗は、人物は良いが大名と言うリーダーシップを取るには少々律儀過ぎる輝宗を父とし、女ながらに戦場に出る女丈夫、最上家善姫を母として生まれた。名は伊達家中興の祖九代伊達大膳太夫正宗に肖る様にとの父輝宗の願いが込められている。

正宗の出生については諸説あり、隻眼になった原因にもこれまた色々な説があるようだ。この本では疱瘡が失明の原因とされている。母親から豪胆さ、策謀家の気質を受け継いだが、同類故に相容れないものが双方に育ってしまったのは、母親の元で、母親の手で育てられなかったせいだろう。

しかし、戦国時代のリーダーとしての資質や養育係には恵まれて育つ。勿論、若さ故の理性と感情のバランスは危ういモノがあるが、外交手腕と後の伊達者の片鱗も随所に見える。天才伊達政宗も、若い内は失敗をしては学んで行く。大名の資質として、今で言う経営手腕、例えば現実に基づいた金銭管理、人を鼓舞する人事手腕、洞察力等々、お坊ちゃまではやっていけないのが良く分る。

登場する諸大名の欲の絡んだ一挙手一投足は今のビジネス社会にも見られる部分があり、人間考察としても面白い。当時の大名の名前が現在でも地名として使われている処もあるので、大まかな地図を頭に描きつつ読んではいるが、徳川家康に載っていた様な地図があると、よりイメージしやすかった。

海軍の特攻隊員としてアメリカ軍の中へ突入玉砕を考えた著者が、長谷川伸に諭され、思いとどまった。敗戦一色の日本の為に、日本人の為に何を書くべきか、を熟考し書いた『徳川家康』に始まる著者の歴史小説は何時読んでも、グングンと引き込まれる。歴史小説・時代小説でも、作者によっては登場人物が美男美女で描かれていた時期も有ったが、著者の書く歴史小説は私達と見かけはさして変らない登場人物なのが、親近感を与えるのか?まるでご近所や勤務先の小父さん達の立ち居振る舞いや考え方の様に感じる事も多い。

著者の小説は人として、特にリーダーとしての生長を描いたものが多いから、読者が読んだ時期によって登場人物への理解が全く違って来る。30代で読んだ時は長編を最後まで読んだ事で満足していた。40代で読んだ時は心に一番響いた様に感じたが、その後も変化し続けている。10年に一度位、著者の本にどっぷり浸りたくなる時がある。文庫本で読むから、何回買い直した事か、と思うがまた同じ事を繰り返してしまう。
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