カスタマーレビュー

ベスト1000レビュアー
2021年5月3日に日本でレビュー済み
前巻ではややクライマックス感がなく盛り上がりに欠けていた部分がありましたが、本巻では勢いを取り戻しています。
前半では本作の個性の両輪を成すパロディ&世相風刺の時事ネタがコンスタントに配置され、新たな重鎮キャラの登場などもあり小粒なエピソードが並んでいながら作風はかなり安定してきた印象です。
地に足がついてきた余裕からかこれまでちらほらペーソスとしてほんのり仕込まれていた妖怪たちの現代における存在意義といった哲学的視点も作品の土台として固められてきている様子。
とはいっても特段シリアスになるわけではなく、キレのいいギャグ回も挟まれるなど軽妙なコメディタッチは変わりません。

前巻までで時折前振りされていた今後の軸となるであろう展開が後半から繰り広げられ、作品は新たなステージに進んだようです。
ヒットした作品群に倣う類型的なパターンに陥ることを危惧する見方もあるでしょうが、私はあまり心配していません。
今後の鍵となるであろう重要キャラの描写でも窺えるように基本であるコメディアプローチが失われることはまずないでしょうし、何より上でも触れた時事ネタがこの作品の個性である以上この流れは自然といってもよく、現実に見過ごせない脅威が膨らんできている現在の状況はむしろ作者として膝を打つような幸運であるともいえるかもしれません。
上でも触れた「日本の妖怪」たちの存在意義をそのベースとして機能させ、作者の切り込んだ姿勢が維持されるのであれば時流に乗ってこの作品が大化けするという予想もあながち大仰なものとはいえないでしょう。
私はこの作者をこの作品でしか知りませんが、安易にコンセプトを曲げずにそこまで持っていける技量と意気を備えている作家であると踏んでいます。

毎回書いていますが、先へも期待です。
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