カスタマーレビュー

2018年10月13日に日本でレビュー済み
田中芳樹原作、藤崎竜漫画『銀河英雄伝説 10』(ヤングジャンプコミックス)はアムリッツァ星域会戦から、皇帝崩御、リップシュタット盟約が描かれる。新皇帝エルウィン・ヨーゼフ2世の危なさに驚かされる。門閥貴族から見ても異常であった。
これは後に彼の亡命を受け入れ、亡命政権を樹立させたヨブ・トリューニヒトへの嫌悪が深まる仕掛けである。原作ではヤンがトリューニヒトを過剰に嫌っていたようにも見えたが、ヤンの嫌悪感に共感しやすくなる。査問会という卑怯で嫌らしい手段を採るトリューニヒト政権を徹底的に嫌悪できるように考えられている。
ラインハルトは新皇帝の擁立には関わっていない。後からリヒテンラーデ侯爵と手を組んだ。この方が新皇帝切り捨ての道義的責任は軽くなる。また、原作のリヒテンラーデは宮廷貴族・官僚勢力のボスとして、門閥貴族とは一線を画していた。これに対して本書では三大貴族の一人であり、門閥貴族と同列にしている。これもリヒテンラーデ・ローエングラム枢軸と呼ばれるような強固な結びつきではなく、一時的な同盟に過ぎないものとして、後の切り捨てを正当化しやすくなる。
エリザベート・フォン・ブラウンシュバイクやサビーネ・フォン・リッテンハイムは皇位継承争いの当事者であるが、原作や石黒版アニメではほとんど描かれなかった。これに対して本書ではキャラクターが描かれる。活躍が描かれるか注目である。
一方で華々しく登場したベーネミュンデ侯爵夫人は出番がないまま皇帝崩御まで生存していた。あの宣戦布告は何だったのだろうか。キルヒアイスがアンネローゼの屋敷の使用人に警護できる人材を配置した上に、マリーンドルフ伯爵家ともつながりを持ったために手出しできなくなったのだろうか。
原作のラインハルト暗殺の動きは、ブラウンシュバイク公と家臣団の考えの相違が理解できるシーンである。その後のアントン・フェルナーのふてぶてしさは特に好きなシーンであったが、本作品は暗殺未遂全体がカットされている。そのため貴族連合側は欠けることなく集結した。原作よりも兵力を減らせなかった不利をどうするか。華麗に撃ち破るのか注目である。
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