柄谷行人が言及していたので買って読んでみた(週刊読書人20120309)。印象に残ったものに「兆民先生」8〜9頁の以下の文章がある。
<当時長崎の地は、独り西欧文明の中心として、書生の留学する者多きのみならず、故坂本竜馬君等の組織する所の海援隊、亦運動の根拠を此地に置き、土佐藩士の来往極めて頻繁なりき。先生かつて坂本君の状を述べて曰く、豪傑は自ら人をして崇拝の念を生ぜしむ、予は当時少年なりしも、彼を見て何となくエラキ人なりと信ぜるが故に、彼が純然たる土佐訛りの方言もて、『中江のニイさん煙草を買ふてきてオーセ、』などと命ぜらるれば、快然として使いせしこと屡々なりき。彼の眼は細くして其額は梅毒の為め抜上がり居たりきと。
奇なる哉、坂本竜馬君を崇拝したる当時の一少年は、他日実に第二の坂本君たらんとしたりき。坂本竜馬君が薩長二藩の連鎖となって、幕府顛覆の気運を促進し得たるが如く、自由改進の二党を打て一丸となし、以て藩閥を勦滅するは、是れ先生が畢生の事業とするところなりき。而して坂本君は成功せり、先生は失敗せり、成敗の懸る所、天耶、将た人耶、>
ここから龍馬梅毒説だけが言及され有名だが、重要なのはここに、龍馬、兆民、秋水と続く自由民権運動もしくはアナキズムの系譜があるということである。
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兆民先生・兆民先生行状記 (岩波文庫 青 125-4) (Japanese) Paperback Bunko – July 25, 1960
by
幸徳 秋水
(著)
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Paperback Bunko, July 25, 1960
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Print length108 pages
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LanguageJapanese
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Publisher岩波書店
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Publication dateJuly 25, 1960
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ISBN-104003312546
-
ISBN-13978-4003312544
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Product Details
- Publisher : 岩波書店 (July 25, 1960)
- Publication date : July 25, 1960
- Language : Japanese
- Paperback Bunko : 108 pages
- ISBN-10 : 4003312546
- ISBN-13 : 978-4003312544
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Amazon Bestseller:
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Reviewed in Japan on April 2, 2012
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Reviewed in Japan on May 8, 2020
本邦初の社会主義者の一人幸徳秋水は、青年時代から中江兆民の愛弟子で、秋水という雅号を兆民からつけてもらった。
はじめは「処世の秘訣は「朦朧」にあるから、その同意語たる「春曖」にせよ」と勧められたのだが、曖昧なる生き方を憎む幸徳は、その正反対の意味を持つ「秋水」をもらったのである。幸徳秋水が幸徳春曖なら大逆事件で死刑にならなかったかもしれないが、それでは幸徳秋水はついに幸徳秋水たりえなかっただろう。
本書はそんな弟子秋水による恩師の伝記と人物論である。
秋水によれば仏蘭西に留学してルソー「民約論」の影響を受けたリベルタン兆民の政治活動の最大の力点は、板垣、大隈の両党首、自由、改進の両党を糾合して藩閥政府の専権横暴を掣肘し、西欧流の革命の鼓吹者たらんすることにあったが、その野望は自由党員の裏切りによって九仭の功一簣に欠き、遂に自由民権運動の総崩れに終わった。
政治活動から手を引いた兆民は、実業家を目指すが利殖の観念なきドン・キホーテは、赤貧洗うがごとき窮乏と不治の病に苦しみつつも、和漢洋の博識に裏付けられた文筆の才を駆使して、超ベストセラー「1年有半」「続1年有半」を明治34年の師走の夜空に打ち上げて、55歳で卒然と長逝したのである。
はじめは「処世の秘訣は「朦朧」にあるから、その同意語たる「春曖」にせよ」と勧められたのだが、曖昧なる生き方を憎む幸徳は、その正反対の意味を持つ「秋水」をもらったのである。幸徳秋水が幸徳春曖なら大逆事件で死刑にならなかったかもしれないが、それでは幸徳秋水はついに幸徳秋水たりえなかっただろう。
本書はそんな弟子秋水による恩師の伝記と人物論である。
秋水によれば仏蘭西に留学してルソー「民約論」の影響を受けたリベルタン兆民の政治活動の最大の力点は、板垣、大隈の両党首、自由、改進の両党を糾合して藩閥政府の専権横暴を掣肘し、西欧流の革命の鼓吹者たらんすることにあったが、その野望は自由党員の裏切りによって九仭の功一簣に欠き、遂に自由民権運動の総崩れに終わった。
政治活動から手を引いた兆民は、実業家を目指すが利殖の観念なきドン・キホーテは、赤貧洗うがごとき窮乏と不治の病に苦しみつつも、和漢洋の博識に裏付けられた文筆の才を駆使して、超ベストセラー「1年有半」「続1年有半」を明治34年の師走の夜空に打ち上げて、55歳で卒然と長逝したのである。
Reviewed in Japan on April 20, 2021
弟子の幸徳秋水が見た中江兆民先生は直情径行の人で、「朦朧」たる世の中に受け入れられない悲運の豪傑。この師にしてこの弟子あり。幸徳秋水も「春藹」の号を辞して、師の秋水の号を譲り受けます。なお、91ページ12行目「未曾有」に「みぞうゆう」とルビがふってあります。某元総理の「誤読」はこの本を読んだためかも? 中江兆民をもっと知るには『三酔人経綸問答』(岩波文庫)がおすすめです。
Reviewed in Japan on August 4, 2016
幸徳秋水と中江兆民との、生き生きした師弟関係。兆民が幸徳に「春臈」という雅号を勧めたところ、「生甚だ朦朧を憎む。乞ふ別に選む所あれ」と希望し、それではと正反対の意味の「秋水」を勧めたという逸話が載っている(38頁)。
兆民先生は、民権には英仏の民権のような「下から進んで取るもの」としての恢復的民権と、大日本帝国憲法におけるような「上から恵んで与えるもの」としての恩賜的民権とがあり、前者でなくては駄目だと述べている(18頁)が、重要な論点である。
兆民先生は、民権には英仏の民権のような「下から進んで取るもの」としての恢復的民権と、大日本帝国憲法におけるような「上から恵んで与えるもの」としての恩賜的民権とがあり、前者でなくては駄目だと述べている(18頁)が、重要な論点である。
Reviewed in Japan on February 17, 2008
切れ味鋭い思想家の幸徳秋水が、師である中江兆民の事を情感たっぷりに綴ったもの。秋水の文章は古文調で始めは少し面食らうが、臆せず読むと、その巧みな比喩が集中の効果を生じ意識の高揚を覚える。そういうわけで、私事ながら、コリン・ウィルソンばかり集めた僕の「机の上の本棚」に、日本人として初めて加わった。
中江兆民の人柄とその経歴も、知的で繊細でありながら羨ましいほど破天荒であり、読むと心に晴れやかな風が吹く。
「明治二十二年春、憲法発布せらるる、全国の民歓呼沸くが如し。先生嘆じて曰く、吾人賜寄せらるるの憲法果たして如何なるものか。玉か、はた瓦か。未だその実を見るに及ばずして、まずその名に酔う、我が国民の愚にして狂なる、何ぞかくのごとくなるやと。憲法の全文到達するに及んで、先生通読一遍ただ苦笑するのみ」
兆民は快男児だし、(極めて優秀な)頭脳も持っている。そして彼を描写する秋水の文章は、理性的でありかつ人間的な温かさに満ちている。日本人必読の名文ではないだろうか。
中江兆民の人柄とその経歴も、知的で繊細でありながら羨ましいほど破天荒であり、読むと心に晴れやかな風が吹く。
「明治二十二年春、憲法発布せらるる、全国の民歓呼沸くが如し。先生嘆じて曰く、吾人賜寄せらるるの憲法果たして如何なるものか。玉か、はた瓦か。未だその実を見るに及ばずして、まずその名に酔う、我が国民の愚にして狂なる、何ぞかくのごとくなるやと。憲法の全文到達するに及んで、先生通読一遍ただ苦笑するのみ」
兆民は快男児だし、(極めて優秀な)頭脳も持っている。そして彼を描写する秋水の文章は、理性的でありかつ人間的な温かさに満ちている。日本人必読の名文ではないだろうか。
Reviewed in Japan on June 3, 2012
『兆民先生』は幸徳秋水が綴った、中江兆民の回想記です(第一章でこれは伝記ではないと言っています)。
中江兆民という人間に興味を抱いていたのと、以前読んだ『帝国主義』で秋水の文章に魅せられたため、店頭に残っていたものを購入。
案の定、熱気を帯びた名文で尊敬する兆民を活き活きと描き出してくれていました。
『兆民先生』は僅か五〇頁余りの短い話。だというのに兆民は読者の前で、一人の生きた人間として論じ、思い、怒り、嘆き、笑っているのです。
この本を読む度に、秋水の筆力と深い敬愛の念に、そして兆民の品格と潔い生き様に唸らされてしまいます。
中江兆民という人間に興味を抱いていたのと、以前読んだ『帝国主義』で秋水の文章に魅せられたため、店頭に残っていたものを購入。
案の定、熱気を帯びた名文で尊敬する兆民を活き活きと描き出してくれていました。
『兆民先生』は僅か五〇頁余りの短い話。だというのに兆民は読者の前で、一人の生きた人間として論じ、思い、怒り、嘆き、笑っているのです。
この本を読む度に、秋水の筆力と深い敬愛の念に、そして兆民の品格と潔い生き様に唸らされてしまいます。