上位の批判的レビュー
5つ星のうち3.0エモさとキャラの見た目全振りの作品
2023年12月3日に日本でレビュー済み
アニメが話題だったため、興味をもって最新刊まで購入してみました。
長寿のエルフが、かつて仲間だった者たちが先に死んでいく物悲しさや、彼らと過ごした日々の思い出…等の、「エモさ」と、「キャラの見た目」に全振りの作品。
ファンタジー漫画としての「異世界感」を楽しみたい人にはまったく向きません。
別のファンタジー作品を読んだほうがいいです。
【お話と世界観設定】
一応少年漫画だからか、途中から人情ドラマそっちのけで、魔法試験的な?バトル物になったりと、よくわからない展開になってます。
大人しく「キャラの魅力」と「人情ドラマ部分」だけにフォーカスして描けばよいものを、話が進むにつれて、魔族との戦いや魔法バトルを挟んだことにより、「魔法」や「魔族」など、「剣と魔法のファンタジー世界」の「チープな世界観設定部分」を掘り下げてしまうような展開に、話が進行してしまっているが残念ところです。
個人的には、超常生物や魔法が登場する時点で、どうしてもご都合主義な無理やりな世界観設定なってしまっているのは仕方ないとは思っています。
しかし、作中で「ハンバーグ」だの人類が空を飛べないと言ってるのに「紙飛行機を遠くに飛ばす魔法」があったり、(ファンタジー世界に飛行機?)ちょくちょく現代のワードが登場して、ギャグシーンでも笑い飛ばせないほど世界観ぶち壊してしまっているので、他のファンタジー漫画と比べてしまうと、世界観設定の面ではだいぶん見劣りしますね。
【作画について】
キャラクターや演出は綺麗に描かれており、ドラマチックな物語のエモさ?をよく表現できていると思います。しかし、典型的な「美男美女しか描きたくない・描けない」系の画風の作家ですね。
「そういう作風だから」といえばそれまでですが、男も女も魔族も、「人型のキャラクター」はブサイク系のキャラがほぼ出てこないので、キャラデザの幅が狭く、もったいないと思いました。
また、綺麗な画風がかえって異世界描写の説得力を奪ってると言いましょうか・・・。
ただでさえ異世界を描く必要があるのに、少女漫画のように美男美女しか出てこないのは
ファンタジーという世界観を描く上では、説得力に欠いてしまいます。
また、異世界の人々の服装や生活風景を見ても、説得力を感じません。
メインキャラもモブキャラも、現代の技術で作ったファンタジー風の服を着させた現代人を登場させたような感じです。本当にただド◯クエ的な日本RPGゲームを、そのまま漫画にしただけの感じというか…。
あと、なんでこの人たちさ、ほぼ手ぶらで旅ができてるの…?
ときおり野宿に使ってる調理道具はどこから出したの?
ゲームのキャラクターじゃないんだからさ…。
建造物や生活風景も、清潔で整いすぎて「泥臭さ」がなく、現代に近いような高い文化レベルに感じますし、リアリティーがないです。(「魔法のおかげ」と言ってしまえばそれまでですが…)
作画担当作家は、画力はある方だとは思うのですが、リアリティーさを出せてないです。
◯まとめ
剣と魔法のファンタジー世界はだいたい中世の西洋をモチーフにしていますが、
作品内でそれっぽく見せるためには、高い説得性をもって描写する必要があると思います。
勇者と魔王の「剣と魔法のファンタジー世界」を、そのまま漫画にしてしまうと、「ああ、こうなってしまうんだな…」というお手本のようで、あらためて創作として「剣と魔法のファンタジー世界を描く」というのがどれだけ難しいのかを感じてしまいました。
勿論まだ読者に説明されてない世界観設定はあるのでしょうが、制作側は、もうちょっとファンタジー世界観を作り込んでほしかったです。
せっかくのドラマ性も、端々に見える世界観設定のチープさのせいで、台無しです。
まあ、この手のファンタジー作品の世界観設定にツッコミを入れだすと、キリがないですよね・・・