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2018年1月29日
中3息子の国語の読解問題(ある高校の過去問)を観ていて、出会ったのがこの深い河。ちょうど美津子がそそのかされて大津を飲み会に誘い泥酔させてしまうというくだり。毎日祈祷する大津に「そんなの棄てなさいよ」と迫る美津子に対し、「ぼくが神を棄てようとしても、、神は僕を棄てないのです」という大津のセリフが強烈に心に残りました、WIKIPEDIAでこの書のことを調べ、美津子が再び旅先で大津に再会する、と知り、物語の行方と遠藤周作の宗教観に興味を持ち、中学生がほんとに理解できるのか?という気持ちでぽちっとオーダーしたわけです。

読み始めると時系列が激しく前後し、登場人物もガンガーを舞台とした複数の人たちのそれぞれのストーリーで別個に進み、なんだ短編集か?と一瞬誤解するほどですが、冒頭、磯辺の妻をガンで亡くしていくところや、木口の壮絶な戦争体験は臨場感をもって読むことができ、十分なつかみがあります。大津と美津子のその後の交流やからみは、恋愛でもなく、精神交流でも知的交流でもないのですが、乾いた関係が展開され、逆に物語としての面白さが大いに増しました。

また、遠藤周作の宗教観が大津に投影され、西洋的排他的唯一神的キリスト教批判的で、キリスト教はもっと寛容的でよろずの神の中にいるべきもの、という考え方が興味深く読み進められます。

なのに著者は大津をこれほどまでに愚直に描いてしまったのが残酷なまでに良いです。フランスでは思想的に疎外され、神父になかなかなれず、大津の宗教観を美津子に書いておくる手紙は彼女の心にまったく響かない文章で、結局はインドに行きつきバラナシでアウトカーストの死体を運ぶところまできてしまう。さいごは旅行客が怒らせたインド人に止めに入ったら逆に自分がボコられて危篤に。でもここで話は終わっているので、死ぬところまで描写していないところに一筋の光が見えます。

ただし、美津子という女性にはリアリティもシンパシーも感じにくい。とりまきの学生からあいつをたぶらかしてみろよ、と言われただけでこの愚直までにどんくさい男を、”神でなくわたくしを取りなさいよ”と初対面で誘惑するものなのか、イケテる女性ならそんなことはしないだろう。そして、人を愛することができず、見合い結婚して離婚、そんな彼女が旅先まで追っかけさせるほど大津に翻弄されてるのか?というところなども実感なし。彼女をここまで行動させるなら、もう少し細かい描写が欲しいところです。(大津に関して言えばあんな人は回りにいないけれども、あれだけ背景的説明があって細かい描写があり、ぶっ飛んだ性格も非常に理解できるのです)。美津子に関しては私が理解できないだけかも、ですが、感情移入ができません。正直、磯辺の妻などの控えめな良妻賢母タイプ以外の女性については、どうも空想的すぎて、遠藤周作という作家の古典的な女性観を垣間見ます。が、最終的にはこの美津子の存在が、物語のファンタスティックな部分を深めていけるんでしょうね。

バラナシとガンガーという舞台の描かれ方が幻想的、おとぎ話的なところを強化しているとも思います。バラナシはそんなに素晴らしいところでも壮絶な場所でもなく、みんながみんな”悲しみを背負ってくる”場所でもないのです。もちろん多くのインド人がいつかこの地に行きたい、いつかこの地で死にたい、というあこがれの聖地には変わりありません。でもインド人にとってはごくごく当たり前の日常が繰り広げられる場所です。訳アリの外国人たちが何かを求めても癒される場所ではないのです。しかし、我々外国人は書物やテレビやネットや映像で、まだ見ぬインド、に過大な期待を抱いてしまいがちです。実際には、ガンガーに訪れて衝撃を受けるのは、まず最初に「肩透かし」ではないでしょうか。ガンガーは、心の深い悲しみを解決し、失ったものを見つけてなんかくれない。それはもちろん、この書を読めばそういうことはわかりますが、表面的にはこちらが気恥ずかしくなるくらい、描かれ方がドラマチックで大げさかなあと思います。

つまり、この書が発行された1993年にはインド本は腐るほどあって、バラナシ、ガンガーに、深い闇をもってやってきた登場人物という背景が、今更ながら、やや陳腐感を出しているんだろうなと思います。違う舞台のほうがよかったのかもと思います。

とはいえ、やはりこの小説の要はやはり美津子と大津であり、汎神的キリスト教観を通じた2人の心の通い合いや成長は、秀逸に描かれた良作であると、ぜひご一読をお勧めします。
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2017年12月9日
著者自身がクリスチアンであることに対する懐疑を感じさせるところもあるが、全体としては、三島由紀夫の、「沈める寺」(?)を、読者に解りやすく表現したような印象も受けた。 好作だと思う。
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2018年3月1日
宗教を「ごく普通の人間の倫理」と理解している人でも、作家となると一行で書くわけにはいかないのですかね。
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2018年2月4日
遠藤周作さんの小説が大好きで久しぶりに買いました。
とても深い内容で、読んでいると鮮明な映像が頭の中に浮かぶようで、遠藤さんの鋭い描写が生きているので、久々に感動した小説でした。
暫く余韻が残り、益々他の遠藤さんの作品を読みたくなりめした。
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2018年1月14日
読み始めると引きずり込まれて一気に最後まで読めてしまいます。深く心に沁みてくる名作です。
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2014年7月27日
インドの全てを受け入れる気持ちにさせられた本です。美しい情景描写と語りつくせぬほどの雑多な日常、宗教観や死生観、全てはこの本を読めば切ないほどに理解できます。
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2015年7月19日
バラナシのずっしりとした情景が登場人物の精神の内側を映し出すように、とても心揺さぶられる。
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2014年8月18日
クリスチャン作家には、キリスト教は絶対であるという立場を取っている人が多いと感じます。
私はそういう作品には違和感を感じてしまいます。
しかし、遠藤氏はいつもキリスト教を客観的な立場から見つめようとした作家であると思います。
この最後の作品において、遠藤氏はキリスト教以外の宗教観も併記しています。
5人の人生が並列されているので、非常に混沌としていて複雑で、作家が言いたかったことは何なのかさえ私にはよくわかりませんでした。
5人は並列なのでしょうが、私は大津を中心に捉えました。
キリスト教の神学生となった大津は、西洋中心的な教会に合わず、インドで貧しい者たちを救済していき、やがて理不尽な理由によって撲殺されてしまいます。
これはイエスキリスト、あるいは禁教時代のペテロ岐部神父など殉教者の生き方と同じ要素があるように感じました。
大津の死は犬死のようにも見えますが、恐らく、三津子のその後の生き方に影響を与えて行くのではないでしょうか。
私はキリスト教のことをよく知らないので、深い意味はよくわかりませんが、読み手によっていろいろな解釈のできる作品であると思います。
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2012年12月4日
ラストはすごく衝撃的になっています。
俗っぽさが大変うまく表現されています。
それが遠藤周作の素晴らしさかもしれません。
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2015年8月14日
この作品の最も素晴らしい部分は、視点の移動にある。初めは三人称ながら一元視点で物語が展開し、章ごとに視点人物が変わってゆく。ところが物語が進むにつれて、視点は人物間を自在に往来するようになり、読者は複数の人間に次から次へと憑依しているような感覚を味わう。

小説作法の本でしばしば言われるように、こういう書き方は小説の常道から外れている。新人賞レベルでは減点対象となるだろう。「深い河」で視点の往来が説得力を持つのは、死者の意識が人から人へと移ってゆく転生という考え方が背景にあり、変則的な手法そのものがこの小説の主題を表現しているからだ。

登場人物の一人が嘆くように、「この憎しみとエゴイズムしかない世のなかが変る筈はない」。異端を排除し、自分たちの見解を守るために辛辣な言葉を浴びせ、時には肉体的迫害に及ぶ宗教界の状況とて、容易に変わるものではない。しかし、転生を通じて自分が他者になり、他者が自分になり得るならば、そこに問題を乗り越える可能性が生まれるのかも知れない。

インドに赴き「深い河」を見た人たちが、エゴの乗り越えを果たしたのかどうかは最後まで分からない。作品を読み終え、希望の在り処を指し示されたという思いだけが、かすかに胸に残っている。
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