いましろたかし氏インタビュー

アユ釣りに執念を燃やす漫画家が主人公の 『釣れんボーイ』、子ぐまと中年男が仙人の修行をする 『ぼくトンちゃん』ほか2002年に4冊の単行本を発表。読者の深い共感 を呼ぶ、情けなくも愛すべきキャラクターを描き続けるいましろたかし氏にお話を 伺った。(文中敬称略)


Amazon.co.jp: 去年は、新刊と復刊が相次ぎましたね。今までいましろさんの漫画を 読んだことのなかった方も手にとる機会がぐっと増えたのではないでしょうか。

いましろたかし: そうですね。漫画家だといっても、単行本が本屋になければ読んで もらえませんからね。さすがに去年だけで4冊出ましたから、少しは目につくように なっているとは思うんですが。

Amazon.co.jp: 『初期のいましろたかし』に、初期作品には「オリジナリ ティのある漫画を描きたいという気持ちが強く出ている」と書いていらっしゃいましたね。

いましろ: デビュー作ですからねえ。目立たないとどうしようもないじゃないです か。それだけ考えてましたよね。とはいえ、はじめの頃はずいぶんいろんな人の真似 して描いたりもしましたけどね。

Amazon.co.jp: 当時お好きだったのはどんな方ですか?

いましろ: 名前いい出したらキリがないくらいパクってますねえ。大友克洋さん、杉 作J太郎さん、泉昌之さん、根本敬さん、蛭子能収さん…。「ガロ」系が好きでした ね。谷口ジローさんとかも。

Amazon.co.jp: 新刊の 『ぼくトンちゃん』は、くまが主人公の「キャラクターもの」ですよね。

いましろ: コンセプトは、「かわいい」。とにかく読まれたかったんですよ。かわい ければ読んでくれるだろう、と(笑)。

Amazon.co.jp: たしかに、くまの「トンちゃん」はすごくかわいいんですけれど、こ れまでの作品にも見られる「牛山」ようなおじさんも登場していて…単純に「かわい い」漫画とはいえない雰囲気です。

いましろ: やっぱり、ちょっと厳しいですかね。確かに僕自身も、かわいいだけ じゃ、いやなんですよ。ま、コンセプトだけたててあとはアドリブですから、自分で も何考えてこうなったのか、よくわからないんですけど。

Amazon.co.jp: トンちゃん自体は最後まで、「かわいい」ままのキャラクターでした ね。途中でキレたり、いじわるしたりするのかとも思いながら読んでいたのですが。

いましろ: そこがむずかしいんですよね。ほんとうは、わがままで卑怯な主人公って 読んでいておもしろいんですよ。でも僕の資質として、そういう人物…たとえば「シ ンプソンズ」のようなものは描けないんです。面白さはわかるんだけど。

僕はね「トンちゃんはバカなんだ」と思って描いてました(笑)。だからトンちゃん はかわいいんだと思いますよ。

Amazon.co.jp: ブタの仙人のもとで、くまと人間の男が修行する、という設定も珍し いですね。前半の修行風景そのものは、ほかほかごはんを出してみたり、手からマメ をだしてみたりとほんわかしたムードのものですが、だんだん話しに流れが出てきま す。

いましろ: ほんとは、ごはん食べて、練習して終わり、みたいなほんわかほんわかの 「おゆうぎ漫画」を延々やろうと思ってがんばってたんですけれど…「ひょっこり ひょうたん島」のように。

だけど、途中で僕自身がなにか語りたくなっちゃったんでしょうね。もともとの設定 が「仙人界」っていうものすごくいいかげんな、あやふやな世界なのに、話に流れを 作ったりするとどんどん理屈っぽいものになってしまって…。そこは失敗したなあと 思っています。

Amazon.co.jp: 同時発売の『いましろたかし傑作短編集 クール井上』ですが、ほかの短編と比べてもページ数自体はそれほど多くない「クール井上」が表題作になっていますね。

いましろ: 量としては「パチゴロマモちゃん」が一番多いんですが、全部がパチンコ 漫画ではないので、それも困るというのはありました。だからといって、ほかの短編 のタイトル「おへんろさん」とか「猫対カラス」っていうのもねえ(笑)。それで、 「クール井上」になったというのはあります。それに、ぼくは「クール井上」、結構 好きなんですけどね。なにがあってもクールなやつがいたらおかしいなって、思いつ きだけで描いちゃったんですけど。

Amazon.co.jp: 2002年夏に出た『釣れんボーイ』についても教えてくださ い。

いましろ: 4年間の連載が1冊になっています。主人公のヒマシロタケシ先生は、これ までのキャラクターの集大成といえるかもしれないですね。

Amazon.co.jp: ファンとしてはどうしてもいましろさんと重ねてしまう部分もありま すが。

いましろ: 半分半分ですよ。でも、会うと印象が漫画と違うじゃないか、とか言われ ることもあって。そんなこと言われてもこまるんだけど、まあそんなもんでしょうけ れどね。僕もヤクザの漫画描いている人はヤクザだと思ってましたもん(笑)。

Amazon.co.jp: 釣りは、いましろさんもなさるんでしょうか。

いましろ: やります。おもしろいですよ、釣りは。なんか習慣化しちゃうんですよ ね。部屋にいるときより水辺にいるときのほうがしっくりくるっていうか…。あれこ れ考えるのがおもしろいんですよ。やり方がマズいのかなとか、俺がへぼだからだめ なんだ、バカヤロウ! とかいって燃えちゃうんですよ。

Amazon.co.jp: 釣り糸をたれながら心のなかでそういったことを思われているわけで すか。

いましろ: そう。ちくしょう!ちくしょう!って(笑)。

Amazon.co.jp: いましろさんの漫画については、「ギャグ漫画だ」と言われたりある いは「泣ける漫画だ」と言われたり、いろいろかと思いますが…。

いましろ: 僕自身はギャグをやってるつもりです。だから泣けた、っていわれ るとちょっとがっかりしますね。まあ、とりようなんですけれど。

Amazon.co.jp: 漫画家になろうというお気持ちは昔からあったんですか。

いましろ: こどものときは漫画家っていいなあとは思いましたよね。でも高校に入っ てからはロックミュージシャンになりたいって思ってました。ギターも24年間やって るんですけど全然うまくならないなあ…。24年でこれかよっていう。

僕は営業とかは、できないです。1週間くらいやったことがあるんですけど、もう猫 の子のように扱われて、あ、悲しいって思って…。

好きなものに関しては本気でやります。嫌いなことはやりたくない。漫画を描くの は、おもしろいですよ。

いましろたかしの本

ぼくトンちゃん (ビームコミックス)

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クール井上―いましろたかし傑作短編集 (ビームコミックス)

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釣れんボーイ (ビームコミックス)

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初期のいましろたかし: ハーツ&マインズ+ザ★ライトスタッフ+その他 (Big comics ikki)

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トコトコ節 (Cue comics)

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デメキング (Bestsellers comics)

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ハード・コア―平成地獄ブラザーズ (上) (Beam comix)

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ハード・コア―平成地獄ブラザーズ (下) (Beam comix)

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