文具王 ☓ Amazon インタビューコラム「文具王に訊く」
文具王 × Amazon インタビューコラム 「文具王に訊く」
様々なメディアで活躍中の文具王こと高畑 正幸さんに、文房具の魅力をあらゆる角度から語りつくしてもらうインタビューコラム「文具王に訊く」。文房具に関わる様々なストーリーを文具王ならではの切り口でお伝えします。今回はちょっと変化球で、「電子書籍化」についてのお話を伺いました。実はデジタルガジェット系の知識も豊富な高畑さん。文具王流ライフハック術をぜひご参考ください。



Vol. 4 自炊 後編
本をデジタル化する方法と技術篇
聴き手: 納富 廉邦
撮 影: 中野愛子
本のデジタル化、「自炊」を始めるに当たって何か注意はありますか?


本のデジタル化、「自炊」を始めるに当たって何か注意はありますか? 最初は、勇気が要りますよね。

本を切るわけだし、失敗したらリカバリーが効かない事が多いわけですから。なので、まずは「まあ要らない」という本から始めると良いです。重要度の低い、失敗しても怖くない本を数十冊くらい切っていくと、だんだんやり方が分かってくるんです。

いきなり大事な本を切ると後悔する事もありますから。

作業ですから慣れは必要なんです。やらないと出来るようにならない。



それは、切る技術だけの話ではないですよね。

そうなんです。いっぱい切っていくと、同時にデジタル化するとどうなるかも分かるんです。ハードディスクの中に本が増えるに従って、部屋がスッキリし始めるんですよ。

あと、自分にとってやりやすい方法が見えてくるし、デジタル化した本の活用法も分かってくる。そうやって、本のデジタル化の良い所に気がつくんです。



高畑さんの「自炊」の方法と道具を教えてください。

高畑さんの「自炊」の方法と道具を教えてください。 必要なのは、本を切るための断裁機、本や雑誌がホッチキスで留められていた場合、それを外すためのリムーバー、あと、雑誌などから必要なページだけ切り取る時に使うペーパーナイフ。

後は、デジタル化のためのドキュメントスキャナとパソコン、保存するためのハードディスク、デジタル化した本を読むためのタブレット、あたりでしょうか。

それらを使って本をデジタル化するのですが、真ん中がホッチキスで留められている雑誌の場合は、断裁機は使わない事が多いです。

私の場合、サンスター文具の『はりトルPRO』というリムーバーで、まず雑誌の背中を留めているホッチキスの針を外します。リムーバーは色んな種類があるのですが、この『はりトルPRO』は、あまりコツが要らない、簡単に針が外せる製品で気に入っています。

これを雑誌の針の部分に差し込んでグリグリと動かせば一瞬で針が外れます。これで雑誌はバラバラになるので、後は必要なページだけ、ペーパーナイフ、今使っているのはコクヨの『HA-302』というタイプですが、これでページをバラします。

雑誌を丸ごと一冊保存したいなら断裁機を使いますが、通常、雑誌一冊の中で、保存しておきたいと思うページは、多くても20ページくらいなので、この方法で十分なんです。



書籍だと、また方法が違うんですね。

書籍だと、また方法が違うんですね。 雑誌や書籍は、製本方法が様々ですから、それによって違います。

まず簡単なのは、文庫本や新書、ソフトカバーの本ですね。私が使っているダーレージャパンの『デューロデックス200DX』だと、18mmの厚さの本まで切れるので、紙の厚さにもよりますが、300ページ程度の本なら表紙やカバーごと切る事が出来ます。カバーごと断裁機に差し込んで、ガイド用のライトを点けます。このライトが刃が降りてくる場所を示してくれるので、切るポイントを、これで決めるんですね。何十冊も切っていると、どこで切ればいいかは勘で分かるようになります。

まあ、大体の本、特にソフトカバーのビジネス書はノド(本を開いた時のページの内側、綴じ代の部分を「ノド」と呼ぶ)を広く取っているので、かなり深く切っても文字が切れる事はありません。

むしろ、浅く切り過ぎて、本を綴じている糊が残る方が、色々と面倒です。断裁機は、『デューロデックス200DX』のような、刃が上から真直ぐ降りてくるタイプがお勧めです。本一冊を一度に切る事が出来るのが良いですね。ロータリーカッタータイプは、一度に切れる枚数が少ないですし、押し切りタイプは垂直に切るのが難しいです。

後は、カバーの折り返し部分をペーパーナイフで切れば、本一冊が、完全にバラバラの紙になります。これを、スキャナにかければ電子化は出来上がりです。



ハードカバーの場合や、一度に切れない厚い本の場合は、どうするんでしょう。

一度に切れない厚い本の場合、真ん中くらいから開いて、そのまま断裁機に入れます。それで片方づつ切ります。ハードカバーの場合は、まずハードカバーを外すんですけど、これは、まず、表紙を開いたところのノドの部分にある、本と表紙の隙間部分にカッターナイフを入れます。これを両面やると、簡単にカバーは外れます。

後の手順はソフトカバーと同じですね。ハードカバーの本の場合、背中の部分が丸くなっていて、そのまま切ると紙の大きさが揃わないのですが、デジタル化すると関係なくなるので、気にしません。



本を切ったら、次はスキャンですね。

本を切ったら、次はスキャンですね。 スキャナは、本のデジタル化用途でしたら、現状ではPFUの『ScanSnap iX500』、ほぼ一択ですね。

私の設定は、カラーで両面、スーパーファイン、OCR付きでPDF保存、というのが基本です。

資料的に残したい物はもっと画質などを上げる事もあります。キッチリやりたい本と、緩く適当になる本、その都度判断して、デジタル化しています。

保存するPDFのファイル名は、著書名のカタカナ3文字・著者名・書名、という形で付けています。

例えば、高畑正幸著『究極の文房具ハック』だったら、「タカバ・高畑正幸・究極の文房具ハック」という形ですね。書名か著者名で検索出来れば十分なので、この方法で困る事はありません。これを、デジタル化した本を入れるために作ったフォルダに全部入れてます。



読むのはiPadですか?

そうですね。iPadに入れて、i文庫HDというアプリで読んでいます。本当は、全部のファイルをiPadに入れたいのですが、今は容量が足らないので、選んで入れています。

まあ、タブレットに関しては、速度と容量は必ずアップするので、そこはいずれ解決する問題です。

それと、『ScanSnap iX500』だと、iPadで直接スキャン出来るので、出がけにiPadに直接スキャンしたデータを入れて持って出る事が出来るのがいいんですよ。その後、DropBoxでパソコンにも保存したり。



本のデジタル化を始めるにあたっての注意点はありますか?

本のデジタル化を始めるにあたっての注意点はありますか? 裁断機やスキャナは最初から良い物を買った方がいいです。徐々に始めるのではなく、最初からある程度お金をかけた方が楽に出来ますし、楽に出来るから何冊もデジタル化出来て、そうして続けていかないと効果は出ないんです。少なくとも何十冊かはやらないと、デジタル化のメリットは見えてきません。

そのためにも、裁断機は一冊まるごと切れる方が良いし、スキャナは、両面同時スキャンは絶対条件として、速度は速く、重送(複数枚の紙を重なったまま一度に送ってしまう事)に対する対策がしっかりしている事が重要です。パソコンもそれなりの処理速度が欲しいし、ハードディスクの容量も必要です。

それらが揃っていると、本をデジタル化する作業は、とても簡単な事で、簡単だと楽しいから続くし、続けているとコツも分かって、さらに速く、楽になります。自分のストレスはなるべく少なくするのが、続けるコツですから。

あと、スキャンの画質に関しては、タブレットの表示速度や画質、容量は間違いなく上がっていくので、その時に一番頑張った方法でやっておくといいと思います。後で軽くする事は出来ても、後で画質を上げる事は出来ませんからね。


文具王プロフィール文具王

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)

1974年香川県丸亀市生まれ、図画工作と理科が得意な小学生を30年続け、今に至る。 テレビ東京の人気番組「TVチャンピオン」全国文房具通選手権に出場、1999年、2001年、2005年に行われた文房具通選手権に3連続で優勝し「文具王」の座につく。文具メーカーサンスター文具にて10年間の商品企画を経て、マーケティング部に所属。2012年にサンスター文具を退社後、同社とプロ契約を結ぶ。 きだてたく、他故壁氏と共に、文房具のトークユニット「ブング・ジャム」を結成。各種文具イベントを行う。

納富 廉邦ライター

納富 廉邦(のうとみ やすくに)

フリーライター。AllAbout男のこだわりグッズガイド、懐中雑誌ぱなし編集長。夕刊フジ「オトコ小物の名品」、日経トレンディネット「聞いた、試した、凄かった!最新ビジネスギア情報局」、Pdweb「今月の気になるプロダクト」など、連載多数。「やかんの本」「子供の本がおもしろい」「iPod Fan Book」「Drinkin' cha」など様々なジャンルの著書も多数。その他、取材用ノートカバーなどの商品企画、講演なども。

(撮影:中野 愛子)