カスタマーレビュー

2019年11月16日に日本でレビュー済み
長い題名が流行りの中でも特に中身が見通せない作品です。異世界ファンタジーですが転生ではなく神の加護で生まれながらにして能力が決まるという世界で能力の底上げが能力という初期設定のみ有利な主人公がパーティーをやめさせられ、辺境で薬や開業にむけてこつこと働くところから始まります。いささか地味な入り方ですが、そうなった事情が派手なのであとあとの話の広がりが約束されている。めでたく薬局開業となって転がり込んできたのがかつて共闘した英雄の姫様。もちろんここからは楽しい新婚生活そのもので読んでいて微笑ましい。その背後で動き出す陰謀や追い出された勇者パーティーで始まる諍いが徐々に二人の生活に影を落とし始める。
とはいうものの、そもそも後れを取るとはいっても主人公は強い。それ以上に頭が回り目端が利く。転がり込んできた姫様も強いし主人公への信頼と愛情は絶対のもの。影もあっさりかき消えてしまうのが胸がすく。それとは対照的な勇者の境遇が物悲しい。加護の力は強大でほとんど人格を乗っ取ってしまうのに近い。怒りや悲しみといって私的な感情は加護の前に抑制されてしまう。結果、強大さが威圧となって周りを平服させるだけで信頼を置くことができない有様。ただ、平静さを強制されているような姿は哀しい。
第一巻は顔見世といったところだが、二巻以降も本当に薬屋を続けられるのだろうかと思いつつ、勇者の実力なら魔王討伐は結局は成るだろうし、それならば主人公と勇者の兄妹の絆はどうなるのだろうか。そういう引きの強さがある作品です。
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