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2011年4月20日に日本でレビュー済み
著者はこれまでに不動産投資関連の本を3冊出版しており、この本で4冊目になる。
さらに業者として不動産管理・不動産投資事業・不動産再生事業に深く関わった経験を活かして投資家に転身。
以後、10年近いキャリアを積んできている、言わば「不動産のプロ中のプロ」ともいうべき経歴の持ち主である。

その著者が生まれ故郷であるところの東北の青森県で空室の多いボロ物件ばかりを狙って購入。
リフォームを入れた後に客付けして利回り20%以上の高利回り物件を次々と生み出しているノウハウを綴る。

まず著者はなぜ今後人口が減少し、賃貸経営では明らかに不利になるであろうと言われている地方の物件を好んで購入するのか?
その回答として
・首都圏の物件と違い、地方の物件は投資家同士の競争(物件の奪い合い)に巻き込まれず、希望価格で購入できる可能性が高い点
・小中規模(価格でいうと5,000万円以下の価格帯)で高利回り(20%以上)を狙えるという点
である。著者の所有物件は人口減少率が日本でも指折りになるという青森県ばかりにも関わらず、92戸が常に満室に近い賃貸状況。

著者は前述の空室の多いボロ物件をリフォームで再生させる方法は「手間は掛かる」と言っています。
なので手間が要らずに儲けられるなどと考えて読んではなりません。

昨今の不動産投資で流行っているのが所謂「今田方式」とも言うべき
土地・建物の積算価格の高いRC造以上のマンションを銀行から自己資金ナシのフルローンを引いてキャッシュフローを貯め、それを次の物件の購入資金に充てて、
金融機関から数億円の借金をして投資のレバレッジを利かせて資産を増やしていこうという手法です。
この手法は不動産投資を希望する投資家の間で正に「一大ブーム」を巻き起こし、昨今の金融機関の収益物件の融資状況の厳しさも相まって、
ネコも杓子も「一棟RC造マンション積算高い物件購入希望派」として多くの追従者を生んでいます。

ですが、著者は上記の風潮に疑問を投げ掛けています。
「このような人たちは物件の出口について真剣にイメージして購入しているのだろうか?今はよくても、RC造物件は大規模修繕の際に莫大な額の費用が必要になるのだが、RC造物件がいかに維持費が多額に必要かを計算しているのか?」と。

自分自身の身の丈に合わないような多額の借金をして破綻した人を著者は長い不動産業界に身を置いてきた中で数多く見たそうです。
「簡単に稼げるお金は簡単に出て行ってしまう」のだと著者は指摘します。
不動産投経営で失敗する人の共通点として挙げられるのは
・毎月の収入に対する融資の返済の比率が高い(70〜80%)という点。理想は40%以下。
・不動産業者のいうことを鵜呑みにして、建物の修繕費を計算に入れていない。業者は投資家と同じ目線で見ていないことを認識する必要がある。
・購入の時点で「安く買っていない」点。安く仕入れることは時代を超えた不変のリスクヘッジである。
・よく知らない「土地勘のない場所に物件を購入してしまっている」点。地の利のない場所に購入するのは危険。人口の下落率よりも自分でその場所を歩き回って情報収集することをしなければならない。

著者も不動産投資の初期には土地に新築のアパートを建築していた。さらには競売にも参加していたこともあった。
今では新築では利益を出すのは地方のファミリータイプ物件では駐車場の確保等の問題で難しく、競売は競争過多で旨みが薄いため取り組んでいないそう。

結局のところ、最後に辿り着いたのが「安く仕入れた箱(物件)を直して客付けする」という方式だった模様。
上記手法は青森県に限らず全国の地方の何処ででも応用が可能と言う点で汎用性が高いと言います。
地方は前述のように人口の減少に今後は直面するのですが、逆に物件も少なくライバルも少ないから競争過多に巻き込まれない利点もある。
特に地方の大家さんのほうが「地主上がりの勉強不足の方」が多いので、やり方を確立すれば十二分にやっていける環境。

但し、地方物件は「融資が出にくい点」はどうしてもあるらしい。都会の物件なら「土地・建物の積算価格(担保価値)」さえ出ていればOKと考えがちだが、
地方の金融機関では融資は物件の評価ではなく、借りる人本人の属性を重視した「プロパーローン」になるのがほとんどのようだ。

著者は投資するエリアは絞り込んだほうがよいと述べている。そのほうがエリアに対しての研究・知識が深まると。
只、今回の震災で判るように、「津波」や「地震」で集中させた物件が共倒れする危険については述べられていないので、
絞り込むエリア自体をいくつかに分散させる必要はあるのかもしれない。
地方では重要なのは立地や利便性よりも「駐車場」と「部屋の広さ」のほうらしい。車社会であるので「イオン」等の商業施設も郊外に進出してきているが、立派に商売は成り立っていることからも明らかである。

著者は「ボロボロの物件を安値で仕入れてリフォームして貸し出す」ので、最初にリフォーム費用を計算して適切な買い付け金額を出さねばならないとしています。
すると当然のように売り出し価格から「大幅な指値」での買い付けになるので20件くらい入れてみて1件買えるくらいの確率だそうです。
それでも買えれば物件は生まれ変わって賃借人が付き、高利回りで高稼働し始めるのだから大したもの。
やはり実際に細かい数字に落とし込んで根拠付けすることは想像以上に重要であるということなんですね。

また実際に物件が購入できて、いざリフォームを入れる段階でも著者は「費用対効果に拘って、必要以上のものは入れてはならない」と釘を刺します。
あくまで「投資」であること。リターンが得られないようなリフォームを入れても家賃が高く取れるわけではありません。
大家さんの自己満足のリフォームであってはならないのです。

後半は実際のリフォーム実施の事例と部材の説明になります。
著者の投資法は「多額の借金をして急速に収入を増やそう」などというものではなく、むしろ「流行のそういった安易な投資法の危険」を指摘。
遠くない未来での彼等の破綻さえも予測しているとも取れます。

これは伝染病の如く世に蔓延した「一棟RC造マンション積算高い物件派」に対する「挑戦状」でもあり、「警告」の書でもあり、
迷える子羊のような不動産投資家を「成功大家さん」へと導くモーゼの如き書物であります。
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