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2018年5月7日
                     
 最初の印象。数学オタクの高校生群像を描いた青春小説。
しかし何か違う。この小説のジャンルは「ライト文芸」ということになっている。
文芸とラノベのはざまの新感覚小説だ。でもこの本のテーマは重い。真摯すぎる。

 〇 数学とは何か
 〇 数学をなぜやり続けるのか
 〇 数学で他人よりも勝つということはどういうことか
 ・・・

う~ん。ピュアすぎる。抽象的すぎる。これで面白い話になるのか。
読者は数学については何も知らないことを前提に書いているはずだが、大丈夫か。

 最初の出だしのところから唐突である。
ある雪の降る日、主人公栢山(かやま)は京香凛(かなどめかりん)に遭遇する。
栢山には香凛にふりかかる雪の切片がまるでデジタルの数字のように見えている。
香凛は数学のミューズを体現しているようで、栢山に「数学ってなに?」「なぜ
あなたは数学をやり続けるの?」という質問を浴びせて消えていく。彼女が再び
栢山の前に現れるのは2巻目の最後。実に思わせぶりな存在である。
思わせぶりだが、彼女とその問いかけは『青の数学』全体を絶えず支配している。

 1巻の前半は栢山と普通の(つまりスポーツとかを頑張っている)友達との交遊。
数学をやることとほかのスポーツをやることとは同じことなのか、それとも違う
ことなのかといった視点。いじめのシーンがちょっと出てくる。ここは栢山の
鬱屈を表わすとともに2巻のあるエピソードの布石になっているので要注意。
1巻の後半は数学大好きな仲間との交流・切磋琢磨のお話。数学オリンピックの
ための準備合宿がやまば。「夜の数学者」も登場して読者をけむに巻く。

 王城夕紀は最初から『青の数学』のシリーズ化を考えていたのか、やたら
登場人物が多い。覚えきれない。もっとキャラ立ちさせてくれ。とくに主人公
栢山のキャラがいまいち弱い。だからこの悩み多い青年になかなか感情移入
できない。一度出会った数字を全部暗記する栢山の特技も数学にはなんにも
関係ないと思うけど・・。
                                  
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