カスタマーレビュー

2016年4月12日
津波の到達地点に桜を植える。

そう聞いた時に、素敵な、夢のある、綺麗な印象を持つ人も多いかもしれない。

もちろんこうしたイメージもこの活動を支える大きな魅力のひとつだが、
この本の中に最初に綴られているのは、後悔、悲しみ、無力感だ。

自分があの時ちゃんと話していれば、その人は助かったんじゃないか。
あの時ちゃんと考えていれば、大切なものを失うことはなかったんじゃないか。
知ることの出来たはずの知識。取ることが出来たはずの行動。救えたはずの命。

映画『あの街に桜が咲けば』監督であり、この本の著者である小川光一さんも
上映を続ける中で起こる広島の土砂災害や、御嶽山噴火で亡くなる人を目の当たりにしながら
伝えたい人に伝わらない、大切な人に届かない葛藤や後悔をありのままに語っている。

それでも彼らは、悔しさを悔しさのままで終わらせようとはしない。
春に花を咲かせるために、夏の猛暑に草刈りをし、冬の凍った大地にスコップを突き立てるように、地道に泥臭く。

『結局のところ、見える希望に喜んで、見えない希望を信じて、それらを全部覆う絶望に時に悲しみまくって、それでもまた頑張って闘って、これを繰り返すしかないのだと思う。繰り返すことでしか可能性は広がらない。繰り返した先に、また何か見えてくるのかもしれない。(本文より引用)』

こうして全国に蒔かれた種が約20,100人という動員数であり、その一人一人の想いによって紡がれたのがこの本だ。

防災のことを毎日考えることなんて出来ない。そんな人がほとんどだろう。綺麗事だけでは意識は変えられない。
でも、例えばあなたの街に桜が咲いた時、あの街に咲く桜と、あの街で起こったことにふと想いを寄せることが出来たなら。
そしてそれを、「いつか自分の街で起こること」として、考えることが出来たなら。

「いま」あなたが蒔ける種を蒔こう。「いま」出来ることをしよう。
忘れてしまうなら思い出そう。泥臭く、地道に、種を蒔き続けよう。

明日かもしれない「その時」に、あなたとあなたの大切な人の命を守るために。
この本はそんなメッセージを、上から目線ではなく、優しく温かく、しかし強烈に語りかけてくれる。

災害大国日本に住む私たち全員が、心に植えておきたい桜の物語だ。
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