カスタマーレビュー

2019年9月8日
吉田修一さんの小説「横道世之介」を、ほぼそのまま映画化した作品です。
個人的に吉田修一さんの小説の中で一番のお気に入りの作品なので、小説のイメージが壊れてしまうのではないかとの恐れがあり(時間が長いのも躊躇していた原因ですが、、、)、ウォッチリストに入れておきながら見るのを先送りにしていました。
ようやく決心し見た結果、なぜもっと早く見なかったのかと少し後悔しています。

主人公の世之介は、特に秀でたところが無いように見えるどこにでもいる純朴な青年ですが、なぜか一緒にいると無条件に安心できる相手であり、だから彼のまわりにいる人たち、友人たちも恋人も、先輩や憧れの女性も、彼と一緒にいると、虚勢を張らない自分自身をいつの間にかさらけ出してしまうのだと思います。

そして人生のほんの短いある一時期、濃密な青春時代を世之介と共に過ごした恋人や仲間達。
そのかつての恋人や仲間たちが、十数年後にそれぞれのふとしたきっかけで世之介とのエピソードを思い出し、ある者はただただ懐かしみ、ある者は思い出し・笑い、ある者は事実を淡々と受け入れ、ある者は深く悲しむ。
決して彼らのその後の人生に世之介が大きな影響を及ぼしたとは限らないのですが、確実に彼らの心の中に「忘れていた時間でさえも」世之介は生き続けていたのであり、これからも生き続けます。
登場人物の一人が自分のパートナーに、「あいつのことを知っているってだけで、俺はお前より得をしている」といったセリフが出てきますが、それがこの原作小説・映画のすべてを表しているような気がします。

高良健吾さんはややイケメンすぎですが、野暮ったい田舎者の世之介をうまく演じています。
吉高百合子さんは天真爛漫でまっすぐなお嬢様役がドはまりでとてもかわいらしいです。
元々好きな女優さんですが、劇中の祥子役と共にますます好きになりました。
他、脇を固める役者さん達も皆さん素晴らしく、よく見ると結構有名な役者さんがちょっと出ていたりで、キャスティングがとにかく素晴らしい映画です。

「長々と何が言いたい映画かよくわからなかった」といったレビューをされている方々がいます。
そういった感想もある意味正解かと思いますし、好み、合う合わないはあります。
もしかしたらあまり若い方々には、過ごした青春時代の時代背景が違いすぎて受け入れにくいのかもしれませんね。
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