カスタマーレビュー

2011年7月11日
あの「アメリカ大都市の死と生」を著し、ニューヨークへの高速道路計画を中止させたジェイン・ジェイコブズの伝記である。
一方の当事者である都市計画の推進者であったモーゼスと対比させることで、彼女の存在感が浮き立っている。

あれだけの名著を書き上げたジェイコブズは、高卒でジャーナリストを目指していたというから意外である。転機が訪れたのは、建築家である夫ボブとの出会いと建築雑誌のライターとなったことである。
ただ、もともとあった反骨精神とフィラデルフィアの都市再生計画の取材などの体験から、ル・コルビジェに代表される近代建築への反感を募らせるようになったというのが原点のようだ。

それにしても、彼女の独自の理念に支えられた実行力は際立っている。
ワシントンスクエアパークを貫く道路計画への反対運動。
グリニッジビレッジ保存運動。
そして、10年にわたるニューヨーク高速道路計画との戦い。
いずれも当初から彼女が関わっていなかったのだが、参加を打診されると本気で取り組んでしまう熱い心の持ち主であることがわかる。

また、対立軸としてモーゼスの人となりを交錯させることでまるで物語を読んでいくように描かれて、引き込まれてしまう構成も見事である。

ふりかえって、日本を見るといまだに高速道路計画や都市を貫く道路計画は衰えを知らない。
最近ようやく中国地方の鞆の浦(ポニョの舞台)での道路計画の中止などの動きが見られるものの、車中心社会による地方都市の中心部の破壊はすさまじいものがある。
この国には、彼女のような人は出てこないのだろうか。
改めて考えさせられた。
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