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カスタマーレビュー

2016年3月13日
 前三作を読み、本作での新たな論点は何かと興味津々で手に取りました。やがて読み進むにつれて、これまでとは異なるアトキンソン氏の姿が次第に強く感じられてきました。それは、英国をはじめとする観光先進諸国での知見や、グローバルな視点からのデータ分析に基づいた観光立国や文化財行政への新たな提言を掲げる新進気鋭の論客としての姿とは別に、この日本という国での25年に亘る日々の暮しの中で、生きた日本文化のあり様とその変容を凝視してきた日本文化愛好家としてのアトキンソン氏の姿です。

 新築のマンションや戸建てから和室が次第に消え、戦火を免れた京都の町並みがマンション街へと変わり、かつて日本の暮しの中にあったありふれた音や香りや光景が姿を消していく中で、私たち日本人が気がつかなくてはいけない日本文化の変質と消滅を氏は冷静に見つめ、この事実を日本のみならず世界にとっても大きな損失と語っています。

 氏のそんな姿勢を感じ取るにつれ、私はいやおうなしに自分の内なる日本文化について問わざるを得なくなりました。日本文化継承の問題は他人事としてだけではなく、自分事としても捉えた時、具体的な文化継承が動きだすことを教えてもらった気がします。

 私事ですが、ちょうど和室の障子と襖を張り替えようと思っていましたが、DIYで簡易に済ませるのでなく、職人の方に発注することにし、かねてから考えていた踊りも知り合いの師範に教えていただくことにしました。

 アトキンソン氏の書をまだ読んでない方には、この『国宝消滅』を最初に手に取ることをお勧めします。そして既に前作を読んでおられる方には、この作品を読まなくてはアトキンソン氏の日本文化に対する深い思いを聴き逃すことになることを付け加えたいと思います。

 最後に、本書にあって、私が自分事としての日本文化意識を触発されたアトキンソン氏の20の言葉を紹介して結びとします。( )は私が付け加えています。

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 今の新築のマンションや新築の家では、和室がないというところも珍しくありません。一般の家庭で使われなくなった伝統技術が急速に消え去ることは、欧州が証明しています。畳を使う場面が少なくなるということは、畳で用いられる伝統技術の継承も徐々に行われなくなっていくということなのです。P.8

 空襲の影響をほとんど受けなかった京都で、日本の伝統的な街並みが残っているこの街で、日本人が自らそれを破壊しているというのは、きわめて残念だと思います。P.39

 お茶の技術(作法)の話が優先され、その精神を伝えていない P.92

 建物の情報は不可欠ですが、もうひとつ大事なのはそこで培われた人間文化です。P.93

 「人間の存在」を含めなければ、文化財というのは総括的に理解できない。P.93

 「人間文化」はそうはいきません。人間がいなくなることでどんどん消えていき、ぞの影も残りません。これを記憶しておかなければ、二度と再現できなくなってしまうのです。P.98

 木造建築の日本では解体費用がそれほどかからないため、規制しないと伝統建築が残らなくなる恐れがより強いのです。P.146

 日本人にはあまりピンとこないかもしれませんが、日本に来ている外国人というのは「五感」で異文化に触れます。P.149

 観光客を招くための努力もせず、施設としての魅力を磨きあげるでもなく、ただ「文化」という言葉を盾にして、国から補助金を引き出すことに邁進する文化財関係者はある意味で、「現代の貴族」になろうとしているように感じてしまいます。P.186

 (文化財に)一番お金を出したがらないのは京都府と京都市です。観光都市化が最も期待される都道府県である上、文化財が多く集まっている現実を見れば、驚くべきことです。P.205

 日本の文化財は観光客の目に触れないところも触れるところも、「わびさび」というレベルを超えて崩壊にさしかかっています。P.209

 日本の従来の文化が家庭から消えつつあることによって、職人の出番、その技術の需要が基礎から崩壊しています。P.236

 もっとも若者(職人)の成長を左右するのが、「現場のチャンス」です。P.254

 「プロ」と呼ばれる仕事ならば、一人前になるのに時間がかかるのが当たり前であって、何も職人だけが特別なわけではない。P.256

 「職人の世界は若い人材が入らない」とよく言われますが、現実は「平均寿命が延びた分だけなかなか席が空かないので、若い人は入れない」という部分もかなりあるのです。P.258

 年功序列制度は、寿命が短かった時代には問題にならなかったでしょうが、若い人(職人)を雇う障害になっているのです。P.259

 今「伝統技術」と呼ばれる仕事も、かつては日本のどこにでもある普通の産業だったわけです。その時代の職人は生きていくために営業もしたでしょうし、収入や収支を自分で計算して、やりくりをしていたはずです。P.268

 苦境を生み出した一端には、「営業」を極端に避けている職人もあると思います。売ろうとしていなければ、売れないに決まっていますので、これも一種の甘えなのではないでしょうか。P.270

 「産地偽装」「技術偽装」を一番頻繁にやっているのが、京都です。なぜかというと、「京都」というブランドがあるからです。P.291

 自分の好きな仕事だけやって生活の心配がなくなると、人は努力をしなくなります。技術が下がり、仕事も減ります。仕事が減るので後継者もできなくて、結局はそのような「勘違い職人」を食べさせていくために、さらに多くの補助金が必要になります。つまり、「宣伝」や「営業」のいう発想の欠如は、職人文化の衰退へ一直線に繋がる、極めて危険な要素なのです。P.334

以上
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花咲か爺さん
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