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カスタマーレビュー

2017年8月16日
決して無価値な本ではないが、星5つは褒めすぎだろう。何とも残念なのは、著者がいたるところで力説する、「東大法学部系憲法学者」への恨み節である。この点が本書の価値を大きく落としていると評さざるを得ない。冒頭からほとんど陰謀論のような「東大法学部系憲法学者」への言及が続く。

「際立って東大法学部を頂点とするピラミッド型の権力構造が顕著だ」
「中心的な役割を担ったのは東大法学部出身の憲法学者たちであった」
「東大法学部系の日本の憲法学の特異性」
「東大法学部系の日本の憲法学の特徴である」
「東大法学部出身者たちを頂点とする「法律家共同体」の指導の下に」

著者の強烈な東大法学部へのルサンチマンは伝わってくるが、個人的にはこのようなレッテル先行の陰謀論には価値を見いだせない。仮にこれが意味のある議論だとすると、当然次のような批判も成り立つだろう。「早稲田出身の国際政治学者が、国際法を振りかざして東大法学部系憲法学者に向けて展開した「抵抗の憲法学」に過ぎない」

もちろんこれは文末に(笑)をつけたくなるような低レベルな批判である。私自身はこのような悪口の応酬にはいっぺんの価値も見出さないが、著者の粗雑な陰謀史観をそのまま反転させれば、このような批判になるだろう。著者としても自分の立論を「早稲田」のレッテルで処理されたら釈然としないのではなかろうか。せっかく内容を伴った議論を展開しても、早稲田VS東大のような陳腐な構図を自ら導入したのでは、自身の立論を「早稲田のひがみ」に貶めてしまう結果になる。もったいない話である。

ことの初めから妙な対抗心を前面に出してくるので、著者の推奨する英米法の立憲主義からの、国際法との整合を意識した憲法解釈も、著者が自認するほどに「より自然で素朴」とは思えなくなる。

実際、著者は英文のドラフトで憲法条文がどうであったか、あるいは、国際法では戦力の定義・戦争の定義はどのようなものかといった読み方をする。そうした方が憲法前文と9条の関係性もすっきりと理解できると主張する。

しかし、英文でドラフトが書かれたことは事実としても、憲法の正文は日本語の条文の方である。いったん英訳してから意味内容を解釈するやり方のどこが「より自然で素朴」だろうか。どうも読んでいるとこの著者は、「自衛隊合憲」とか「集団的自衛権合憲」といった目的が先にあり、その結論を導くために論理を組み立てているように見える。そして「東大法学部系憲法学者」がその目的に沿うような憲法解釈をしないことが気に食わないので、感情的になって無内容な悪口に走っているのだろう。

著者の9条解釈は、憲法前文を英米法の立憲主義に照らして解釈し、英文ではどう書かれているかを確認しながら、9条本体の解釈に展開している。結果として、9条2項は国際法が禁じていない自衛のための軍事力を、当然禁じておらず、国際法で認められている集団的自衛権もまた禁じていないと立論する。

私にはこの読み方のどこが「より自然で素朴」なのかよく分からない。著者は「国際法との調和は、憲法が目指す道筋だ」として、国際法に合致するように読み解く。国際法では禁じられていない。憲法は国際法との調和を求めている。よって国際法で認められている自衛のための軍事力や集団的自衛権は当然合憲だ、というわけだ。

しかし、国際法との調和=国際法に合わせて憲法を解釈すること、だろうか?憲法は国内法なのであるから、国際法にはない概念が登場してもおかしくはないし、国際法が求めるよりも厳しい制約を課していることもありうる。国際法で許されている戦争や戦力を憲法が禁じているからといって、ただちに国際法と調和しないということにはならない。著者は国連憲章で集団的自衛権と集団安全保障が認められているのだから、憲法でも認められているとするのだが、国連憲章がそれらを認めるにあたってはそれぞれ特別の条文・章を設けている。それに対して憲法にはそのような条文がない。こういう違いを無視して立論する著者の姿勢は、私には牽強付会な議論に思えた。

結局、どうしてこういう強引な主張をするかといえば、「自衛隊合憲」とか「集団的自衛権合憲」という結論ありきの論証であることと、その解釈の動機付けが「東大法学部系憲法学者」への敵愾心によって歪められているからだと理解せざるを得ない。

英米法の立憲主義を手掛かりとして、国際法との整合・調和という観点からの憲法解釈の1バリエーションとしては、大変興味深く読める。余計な悪口と対抗意識が垣間見えて、結論ありきの憲法解釈であることが見破られてしまっている点を考慮して、星3つとしたい。
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