カスタマーレビュー

2019年8月6日に日本でレビュー済み
『黒の剣士』
2024年2月。第35層。
12歳のシリカはSAO内部では珍しい偶然小竜《フェザーリドラ》をテイムし、ピナと名付けて
羨望と嫉妬の対象である使い魔として行動を共にしていたが、ロザリアの挑発に乗ってしまった
ことからピナを失い自分も死の危機に瀕していた中、偶然邂逅したキリトに救われる。
シリカはキリトからピナを蘇らせる方法として第47層にある『思い出の丘』に咲く花が使い魔を
蘇生させるアイテムであると教えられるが、中層で活動しているシリカにはレベル的に少々
厳しいため、彼女に自身の妹とオーバーラップさせたキリトと共に第47層のフィールドダンジョンに
向かうことになる――が簡単なあらすじ。
表向きはピナを救うべく蘇生アイテムを手に入れるという目的を達成するという話になっているが、
本文を読み進めていけば実は同時並行でもう一つのストーリーが展開されていることが分かる。
(一つの文章に二つの物語を織り込むのはかなり難しいテクニックである)
また、《ドランクエイプ》はおそらく香港映画『酔拳(Drunk Monkey)』から名付けられたことが分かる。

『心の温度』
第48層主街区。有り金と借金をかき集めて購入した水車小屋で鍛冶屋を営むリズベットは
その腕の良さからレイピアのメンテナンスを委ねるアスナをはじめとした多くの顧客を
抱えるまでになった。
アスナと入れ替わるようにやって来た一見の客であるキリトとともに、NPCの村の長老から
発せられた噂をもとに鋼を鍛えるための希少金属を求めクエストに挑むが、そこは過去に
様々なプレーヤーが挑むも、条件を満たしていないのか、未だ誰も入手できていなかった――が
序盤のあらすじ。
鍛冶屋として生きることで、この世界で生きていくという覚悟を持ちながらも、その一方で
他者との間に壁が残っているリズベットが、自身の心を無意識のうちに溶かしていくキリトに
心惹かれる一方、彼には既に長い時間をかけて関係を構築してきた相手がいることを知り、
そっと手を引く乙女心のいじらしさが切なく描かれているのが分かる。

『朝霧の少女』
第22層にある湖畔のログハウスで新婚生活を始めたキリトとアスナは新居での生活を始めて6日目、
深い森に小さな女の子の幽霊がいるという噂を聞きつけ、森に足を踏み入れるとそこで、
なぜかカーソルが出現しない上に、年齢制限に引っ掛かると思しき少女――と言うより女児を保護する。
翌日。手掛かりを探るべく、ユイと名乗る女児とともに年少者が多くいるとされる第1層はじまりの街を
訪れるが、そこにいたのは『軍』の一部勢力による支配と徴税に怯えながらも、
年少者を保護するサーシャだった。
『軍』のサブリーダーで事実上の指導者となったキバオウが権力と徴税による金銭欲、
攻略戦への参入失敗により追い詰められ、ベータ版には無かった地下ダンジョンにリーダーである
シンカーを閉じ込めたことを知ったキリトとアスナはユイそして穏健派であるユリエールとともに
救出に向かうーーが簡単なあらすじ。
ユイとの邂逅と彼女が何者かという話と、キバオウによって『軍』を掌握されてしまった
シンカーを救出するという二つの物語をうまく融合させていることが分かるとともに、
今後の展開に対する布石であることが分かる。

『赤鼻のトナカイ』
2023年12月。第46層。
キリトは最前線から少し下がった層で経験値稼ぎのため独りひたすらに巨大アリを倒し続けていた。
なぜなら間もなく訪れるクリスマスイブの未明、フラグMobである
『背教者ニコラス(Nicholas the renegade)』を倒せば大袋の中にたっぷりと詰まった財宝――
具体的には死んだ者を生き返らせることができる蘇生ツールが手に入るという噂がNPCから
発せられはじめていたからだ。
なぜキリトは蘇生ツールの入手を目論んでいたのか。なぜなら彼はたまたま助太刀した、
中層部のモンスターを倒して糧を得る小規模ギルド「月夜の黒猫団」を、リーダー不在中に
小銭稼ぎをするために挑んだダンジョンでの隠しトラップを知っていたにもかかわらず、
ベータテスターであることを露呈されることを恐れて警告を躊躇したことにより壊滅させて
しまった自責の念に苛まれていたからである。
せめて、死の恐怖に打ちひしがれながら前衛で戦うことを強いられ続けてきて、それでも
キリトの根拠のない言葉で励まされ続けて辛うじて自身を保ち続けていた黒猫団のメンバー
だったサチを生き返らせることをモチベーションに、悪い言い方をすれば『抜け駆け』をして
蘇生ツールを手に入れようとするのだが――というのがこのお話の簡単なあらすじ。
エンディングについては、果たしてこれはキリトにとって救いなのか、それとも嵌められた
新たな枷なのか。どちらなのかは作者は読み手の判断とキリト自身に委ねたのだろう。
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