カスタマーレビュー

2014年12月23日
大名盤『吹き零れる程のI、哀、愛』から一年ちょっと経ってからのリリースとなった今作。
単刀直入に言うと、前作ほどのインパクトや痛快さはありません。

(出だしから前作との比較になってしまって申し訳ありません。)

どうして『吹き零れる‾』はあれほどに優れた作品だったのか?
尾崎世界観のソングライターとしての才能が発揮された一枚だった、
と言うありふれた表現だけでは説明しきれない不思議な魅力、奥ゆかしさが
前作にはありました。
まさしく吸い込まれるような「世界観」が存在したのです。
音楽性を表現するときに世界観という言葉を用いるのを嫌う人が多いようですが、
あの作品について言及するのに適した言葉はもはやこの言葉しか見当たりません。
すべての歌が驚くほどにパーソナルな内容で
それでもって驚くほどにエゴイスティックでした。
だからあの作品には聞く人を尾崎の世界観に引きずり込んで魅了するのです。

本作はどうか?

先行シングルが寝癖、エロ/二十九、三十と発売されていきましたが、
私はこの時点で次の作品は前作のような作品にはならないな、と
確信に近いものを感じました。
これらが駄作だったとはいいません。
むしろいつもの通り完成度の高い楽曲ばかりでした。
しかし、なんというかこれらの曲を他のバンドが演奏しててもそんなに違和感が無いというか、
邦楽ロックの楽曲として普遍的な魅力を持ったナンバーでした。

そして、実際に新作を聞くと、曲数は11曲、デュレーションは40分足らずとボリュームが小さいこともあいまって、
極端な言い方ですが、1曲目が始まって、はっと気づいたら11曲目が終わってる感じでした。
『吹き零れる‾』を初めて聞いたときのような、最後の曲が終わった後に襲ってくる虚無感や、
ある種の煩悩みたいなものは感じられませんでした。

しかし、曲単位でみるとこんな私の期待に答えるかのような
クリープハイプ節炸裂の曲もちゃんと入ってはいました。
『百八円の恋』『社会の窓と同じ構成』などアドレナリンが噴き出しそうになるような曲、
『大丈夫』のような、脱力感のあるメロディーに乗せた爽快なまでに率直な男女のやりとり。
この辺はマニアの私も大大大満足な内容でした。

長々と主観的で理解不能な感想を書いてしまいましたが、
要するにロックアルバムとして優れた作品であることは間違いないけれども、
もしかしたらクリープハイプのコアなファンだという方々には
物足りなく感じてしまう一枚なのではないか、という事だけ言っておきたいです。
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