カスタマーレビュー

VINEメンバー
2013年8月30日
とても面白い本でした。

本書で解説されていることは「天才や才能の発現というのは遺伝『だけ』が原因ではなく、すべての人に才能を発現するチャンスがある」ということ。
そのために、まず最初に、今まで流布されてきた「遺伝によって人生はほぼ決定している」という論調に対しての反論を、最新の研究成果と天才と呼ばれるテッド・ウイリアムス(メジャーの4割バッター)、マイケル・ジョーダンといったスポーツ選手やモーツアルト、ヨーヨー・マといった音楽家たちの育ちを分析することで行っています。
そこからの結論は、遺伝(だけ)由来でもなく環境(だけ)由来でもなく「遺伝×環境の相互作用」が才能の発言には重要であり、それはすべての人にチャンスがあることを示しています(原題「The Genius in All of Us」の通りですね)。

また、第2部では、そのような天才、才能を発現させることについてのアプローチを、現状の研究結果から解説しています。
こちらは、学問的には、まだ発展途上といったところですが、示唆に富む指摘が多く、子育てやラグビーのコーチとして参考になることが多いものでした。
また、その後天的に獲得した能力(才能)も後の世代に遺伝していく可能性(エピゲノム)も解説されていて、非常に読みごたえがありました。

本の半分は、上記に解説されていることの裏付けを、文献からの抜粋などで詳しく示してくれています。こちらも非常に読みごたえがありますが、一次情報源にあたることもでき、情報の信頼性を高めてくれるものとなっています。

個人的には、本書の指摘にもある通り、自分の中で「生まれつき持っているものが違う」という観点からあきらめてきたものが多かったことに気づかされました。
このようなことを、子供たちにさせないようにすることが、このような理論的なバックボーンがあると、自信をもって薦めることができます(個人的な才能とその経歴は関係ないということになるので)。
子供たちの才能を発現させるためのプログラムは、現在のところ各個人に任されている状態でもあるということと思われます。今後は、いろいろと考えながら試行錯誤していきたいと思います。

訳者のあとがきにある、本文中にも紹介されている音楽教育法を確立した鈴木鎮一氏の言葉「人間の能力は生まれつきではない。生まれた子は、大自然によって与えられた、生きようとする生命の働きのままに、置かれた環境の中で、その環境に適応して、それぞれの能力を身につけていくのだ」という言葉は、とても勇気を与えてくれるとともに後押しをしてくれるものです。

とてもためになる一冊でした。
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