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カスタマーレビュー

2014年2月26日
本書は、2011年まで経済産業省(経産省)で急進的な改革案を提議してきた著者が、原発に関連して2012年1月から2013年9月までに発信した自身のメルマガをまとめたものです。

「脱原発」という言葉はよく聞きますが、「なぜ脱原発が必要なのか」、「安倍政権がなぜ原発再稼働を強く推し進めようとしているのか」、「脱原発で電気料金や国民の税負担はどうなるのか」あるいは「原発の安全性審査体制は実際にどうなっているのか」などについてよく判らないまま何となく言っている場合が多いと思います。本書を読むと、それらのことが明快に理解できます。また、官僚組織の裏の裏まで知り尽くした著者により、原発再稼働に向けた政官財の絡み合った巧妙なからくりが解き明かされます。

資源エネルギー庁と共に経産省の中にあった原子力安全・保安院が環境省の外局として原子力規制庁となり、さらに2012年9月に原子力規制委員会となったことで、原発の安全性に関して客観的かつ厳密な審査が可能になったと私はナイーブにも考えていました。しかし、原子力規制委員会が、事務局である原発再稼働派の経産省官僚達に操られる存在にすぎないことが本書で暴露されます。また、日本の安全性基準が国際標準から乖離し、欧米並みの厳密な安全性審査が不可能であることが示されます。さらに、安全性確保に必須な国際標準の安全性基準を国として作ろうとしない理由が明かされます。安倍首相が最近よく口にする「世界一厳しい安全基準」という言葉が全くの欺瞞であることが判ります。

福島第一原発の事故から約半年後に発足した民主党の野田内閣が自民党及び公明党と裏協議し、原発再稼働に動いた経緯が示されます。関西電力大飯原発はストレステストの二次評価も終わっていないのに、野田内閣の政治判断で再稼働しました。私は野田内閣について、胡散臭さと自民党と同じではないかという違和感を当時抱いていましたが、それがあたっていたことを本書で知りました。

本書を通じていやというほど見せつけられるのが、政府、官僚、電力会社の無責任体制です。官僚が絶対に責任を取らないのは誰でも知っていることですが、政府は原発の安全性について責任を取ろうとしません。大臣が東電社長を呼んで叱りつける場面がよく新聞やテレビで報道されますが、責任を一方的に東電にかぶせると同時に国民の味方は自分の方なのだという虚偽のパーフォーマンスを見せつけているに過ぎません。東電に直接的な責任があることは言うまでも無いことですが、原発の安全性に関し政府が国民に対して重大な責任を負っていることは自明のことです。

2011年12月に国会の立法で東京電力福島原子力発電所事故調査委員会(黒川清委員長)が発足し、翌年7月に両院議長に報告書が提出されました。本報告書では、事故の根源的原因は「規制する立場と規制される立場が逆転関係となることにより原子力安全についての監視・監督機能の崩壊が起きたこと」に求められ、「自然災害」でなくあきらかに「人災」であること、さらに、「原子力規制は根本的に見直す必要があり、見直しにあたっては世界の最新の技術的知見などを反映し、この反映を担保するための仕組みを構築すべきである」としています。

事故調査委員会の使命には行政組織の見直しも含まれていたのですが、報告が出る前に野田内閣の独断で骨抜きの原子力規制庁が出来てしまいました。都合の悪いことには頬かむりする政治家の常で、事故調査委員会の報告は野田内閣により無視され、現在に至っています。本報告書を尊重していれば、有名無実の原子力規制委員会や安全基準は出来ていなかったはずです。事故調査委員会報告については本書で何度も出てきます。

また、原子力の安全性に関して本当の専門家が日本にほとんどいないという実態が指摘されます。安全性確保に必須である国際標準の安全性基準を作るためには、世界の専門家の参加が必要ですが、原発再稼働が出来なくなるという理由で厳密な安全性基準を作りたくない歴代内閣は、外国人の参加を認めません。

脱原発に対するアンチテーゼとしてよく出てくる「原発を再稼働しないと電力不足で停電が起こる」また「原発停止で電気料金が上がる」という主張に対して本書はきっぱり否定しています。原発が停止していた昨年夏(電力会社による節電要請は無かった)において猛暑にもかかわらず電力不足はなかったし、原発にかかわる安全代を考慮すると原発の方がはるかに割高になります。

福島第一原発の事故により経営破綻状態に陥っている東電に対して政府は膨大な金額の支援を行っており、今後の見通しもつきません。本来ならとっくに会社更生法により破綻処理されてしかるべき会社がなぜそうならないのかということについて本書は詳しく説明しています。政府と東電の互いに依存しあう関係ということもありますが、最大の理由は破綻すると銀行債権がカットされることにあります。もし銀行債権のカットが行われると3兆円以上の資金が生まれ、その分国民(税金)や電力消費者(電気料金)の負担が減ることになりますが、銀行の損失を避けるために政府は東電の破綻処理をしないのです。政府が東電に次ぎこんでいる金は銀行への返済に回されるので、我々の税金は銀行へ直行することになります。

東電に限らず電力会社は無競争の独占企業なので、コスト意識が完全に欠落しています。かかった経費に利益分を含めた総額をそのまま電気料金に上乗せして請求出来るので、普通の会社であればリストラやぎりぎりまでのコスト削減をするところを何の企業努力もしません。安易に次々と値上げされる電力料金で苦しむのは一般家庭と企業です。本書で何度も指摘されているように、原発の再稼働が無ければ電気料金値上げはやむを得ないという主張は欺瞞です。

本書ではあまり頁を割いていませんが、放射性廃棄物の累積(2007年の集計で14,870トン)は今後取り組まねばならない大きな問題です。しかも、どのように処理すればよいのかという具体的な方法が世界的にも確立されていません。原発を稼働する限り放射性廃棄物は増え続けるわけで、地震国で狭い日本で果たして処理が可能かという疑問にも答えがありません。高レベル放射性廃棄物の放射能半減期は数万年と言われていますが、あくまで半減期であり消失する期間ではありません。放射能がほとんど無くなるには数十万年の時間が必要です。ちなみに、現生人のホモサピエンスが地球上に現れたのは24万年前と言われています。放射性廃棄物処理は今後の人類の生存にもかかわる極めて重大な問題です。それを無いことにして原発を再稼働してゆくというのはあり得ない話です。

福島第一原発の汚染水が海洋に流出していることをようやく東電や政府が認めたことについても述べられています。これは実に深刻な事態であり、汚染水流出を止める手立てが見つかっていません。安倍総理がIOC総会において「福島の事態は統御されており、汚染水の影響は完全にブロックされている」と発言したことは全くの虚偽というしかありません。また、トルコでの日本の原発受注に総理自ら売り込みに関わったということは背筋の凍るような軽挙です。もし財源の問題などで受注後に建設中止のような事態になった場合には受注企業は莫大な損失を計上することになり、企業の存続にもかかわります。その場合には政府として何らかの形での損失補填をするのでしょうか。また、地震国トルコで日本製原発に事故が起こった場合、安全性保証を行った日本国に対して重大な責任が問われることになります。

「おわりに」では「原発即ゼロの成長戦略」という見出しで、今後日本の進むべき方向が提示されています。世界の原発発電容量はここ10年横ばいで、一方風力発電は10年で10倍のペースで伸びており、このペースだとあと5年で原発を超えます。しかし、日本の風力発電新規設置容量は中国の150分の1、累積容量でも30分の1というありさまです。原発最優先政策を進めているうちに、日本は成長産業の本命である再生可能エネルギー分野で大きく遅れてしまいました。今後安倍政権の原発推進政策で再稼働が行われた場合、世界の潮流からはるか遠くに取り残され、経済成長の大きな芽を摘んでしまいます。現在のところ、再生エネルギー関連の高い技術が日本に残されていますが、おそらく、今が最後のチャンスです。著者は「原発ゼロは立派な成長戦略なのです」と結んでいます。

本書を一読して、まさに目からうろこが落ちた感じがしました。自分が原発についていかに何も知らなかったかを痛感しました。本書のお陰で、新聞やテレビの原発関連報道を見て、そのウラがよく判るようになりました。以下に、私の感想を少しだけ述べさせて下さい。

安倍首相は原子力規制委員会の承認が出た原発から次々に再稼働してゆくと言っています。これは、正に原子力規制委員会の位置づけが、再稼働のためのお墨付きを与えるために組み込まれた機構であることを明らかにするものです。また、一旦再稼働した原発が事故などの問題を起こした場合、同委員会は一方的に責任を負わされることになります。政府は責任を委員会と電力会社に押し付け、自分たちの責任を取ろうとしないでしょう。追記:2014年5月27日、政府は規制委員会委員5人のうち2人を交代させる案を示しました。今回退任する、審査に厳格な島崎邦彦委員長代理を再任せず、再稼働派の田中知元日本原子力学会長を新たに任命することを含む内容です。将来的には田中氏を委員長に据える方針とも言われます。このことは、規制委員会の位置づけが再稼働のお墨付きを与える機関であることをより明確に示すものです。

円安誘導と予算のばらまきによるアベノミックスで利を得るのは輸出型大企業と土木建築業界だけで、しわ寄せで犠牲となるのは庶民と中小企業です。円安による大幅な物価上昇と今年4月からの消費税アップにより年金生活者を初めとする一般消費者の生活は苦しくなる一方です。消費の落ち込みは避けられません。アベノミックスは、短期に終わる目先だけの経済政策以外のなにものでもありません。より長い視野で今後の日本の経済繁栄を追求するなら、日本の高い研究技術を活かした再生エネルギー産業の推進しかありません。腹をくくって覚悟を決め、原発ゼロの道を進むことです。原発依存を続ける限り、再生エネルギー産業の発展はあり得ません。もし、原発再稼働を当て込んで電力会社が太陽光発電などの電力の買取りを制限したりした場合には、日本の再生エネルギー産業と技術開発は壊滅します。その意味で、原発再稼働は日本の産業経済再生を阻む亡国の政策です。

また、原発稼働によりたまり続ける、処理方法さえ分からない放射性廃棄物は実に深刻な問題です。本書の「はじめに」で述べられている「自分たちの世代の利益のために将来の世代にリスクと負担を押し付けることは許されない」は真実すぎる真実です。放射能で汚染された将来の日本が、人の住めない荒野とならないことを願うのみです。

本書に何度も登場するのは省の権益だけを後生大事に守ろうとし保身に汲々とする官僚達の姿です。退職後の天下り先の確保という権益だけを考えて仕事をする官僚達というのは、なんとつまらない存在なのでしょうか。もし経産省の官僚達が(自負するように)本当に頭がよくて優秀なのであれば、脱原発し再生エネルギーに注力することが日本経済再生の唯一の道であることを一瞬にして見抜くはずです。法案と委員会の骨抜きだけに優秀ということであれば情けないかぎりです。著者が本書で嘆いているように、「経産省の真の改革派は絶滅」し、著者のような気骨のある官僚はもう一人もいないのでしょうか。

著者は東電救済に関連してマスコミの「不勉強ぶり」を指摘していますが、非常に控えめの表現だと思います。最近のマスコミ(週刊誌や自称評論家及び自称哲学者)は政府のやり方に少しでも異論を唱える論評に対して罵詈雑言を浴びせ、誹謗中傷し、乱暴なレッテルを貼りつけます。マスコミに携わる者としての自覚、責任感、誇りはどこにあるのでしょうか。このようなマスコミの論調に世論が影響されるのかと思うと空恐ろしくなります。ちなみに、私は文章に品の無い人間の言うことは一切信用しません。

多くの人に読んで頂きたいと思い、本書を強くお勧めします。本当はベストセラーになって欲しいと思っているのですが、「原発の倫理学」という標題はなじみやすいという感じがしません。また、メルマガの形なので、内容の重複が多く見られます。本書の内容をアップ・ツー・デートに編集し直し、読み易い形で新書版として出版して頂くことを切に希望します。
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