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カスタマーレビュー

ベスト100レビュアー
2019年5月10日
※ キリスト教も扱う研究者の視点からのコメントです:

この「まんがで読破」シリーズは、もう10冊余りを読んできましたが、ものによって、当たり外れがあり、
原作とのギャップが大きいもの、要点をよくとらえて、原作では表現できない場面を丹念に画いているもの
など、いろいろ、です。【人それぞれの好みがあろうかと思いますが、小生が秀逸だと感じたのは、
『論語』『般若心経』『銀河鉄道の夜』『進化論』『クリスマス・キャロル』などでした。】

本作は、上下二巻もあるミルトンの『失楽園』を、かなり大ざっぱではありながらも、わかりやすく説明できて
いるのではないか、と思います。

人類の祖先のアダムとイヴがエデンの園を追放される“失楽園”(あの、役所広司と黒木瞳の不倫映画なんかじゃ
ない!)の神話は『創世記』を出典としていますが、ユダヤ教(もっと正確にいえば、古代イスラエルの宗教)
の聖典なので、神と人間とのあいだには、誰も介在せず、神に背いた人間は、直に「ごめんなさい!」と謝れる
状況なのでした。親の言うことを聞かなくなった子どもの成長物語、として読むのが、ユダヤ教徒の流儀なのです。

・・・ところが、ユダヤ教の歴史から生じた新宗教のキリスト教では、神と人間のあいだに、イエスという人物
(神の子)を救い主(キリスト)として介在させているため、少々、ややこしいストーリーになっています。
つまり、・・・

神に背いた行為(=キリスト教特有の思想である「原罪」)を人間自身が償うのは、余りにも重い罪のために
不可能。人間を救うには、神の子・イエスが、人間の身代わりに犠牲(十字架上の死→いけにえ)とならなく
てはいけない・・・という、日本人にはちょっと理解しがたい思想なのです。

(1)本作では、そのややこしさを、可能な限り、わかりやすく説明しており、制作者の方々(企画・漫画:
バラエティ・アートワークス)は、『創世記』もイエスが主人公の『新約聖書』も、さらには、ミルトンの
『失楽園』も、一通りは、調べておられることが、窺われます。

(2)漫画ならではの面白さは、地獄に落された、元は天使だった悪魔たちや、天使たちの姿を、時にはコミカルに、
工夫しながら描き分けているところ。少女漫画っぽい幼稚な絵、と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、
自分ではこんなふうには、とても画けない、プロらしいテクニックが駆使されているのも、確か。

(3)それぞれのキャラクターが個性的なので、神に敵対するサタン(ヘブライ語で「サタン」は「敵対する者」)
が神への無批判な服従を嫌い、「神の子」として特別な位置にあるイエスのことを妬む気持ちにも、段々と、
共感できるようになります。

(4)ミルトンが、体制に批判的な活動に関わったために投獄され、失明もしながら、この『失楽園』を完成
させたことを考えれば、サタンは、当時の政治に抗議したミルトンの怒りを引き受けた存在として登場しているの
かもしれません。

(5)楽園を追われて、自分の労働で食べていかなくてはいけなくなったのは、女のイヴが悪魔の乗り移った
蛇にだまされたから、というアダムの主張から、イヴとのケンカが始まりますが、二人で生きていく世界なら
「楽園にいるのと同じ」だという境地に達した最後のページで、ほっと一息つくことができます・・・。
本書のカバー(背面)にも「心ひとつで、世界は天国にも地獄にもなる!」というキャッチ・フレーズが
みられるのですが、この文を書いた人は、かなり、深いところまで『失楽園』を読み込んでおられると思います!

※岩波文庫にもある『失楽園』(上下二巻)を買って読むのは、英文学関係の人か、ある目的を明確に持った人
なのでしょう。図書館でパラパラッとめくってから、読み通そうと考える人は、さらに少ないかもしれません。
それを考えると、本書は、ひとまずの入門書としては、決してバカにできない役目を果たしてくれているのでは
ないか、と思えてきます。“たかが、漫画。されど、漫画”なのです・・・。

※原作者のミルトンがこれを見たら、きっと、喜んでくださるはずです。怒ったりはしないはず(笑)。
 漫画では物足らないという方々には、ギュスターヴ・ドレの版画集の中に、『失楽園』の場面がありますし、
 ドレの版画を挿し絵として使った、谷口江里也の翻案した『失楽園』も刊行されていますので、まずは
 図書館でご覧になってみては、いかがでしょうか?
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