カスタマーレビュー

2018年4月20日
イラストレーターの安福望さんの本。彼女は、本書と同じ名前のブログ「食器と食パンとペン」をやっている。本書はその書籍版。内容はブログも本もだいたい同じで、どちらも誰かが作った短歌をひとつ選んで、それに絵をつけている。だから本を買わずにブログだけ見ていれば事足りるとも言えなくもない。でも、この本は買った方が良いと思う。彼女の絵は、紙に、それも手の中に収まるサイズの紙に印刷された方が、しっくりくると思う。

さて、先に書いたとおり、安福さんは短歌に絵をつけている。短歌に絵を、というと、短歌を説明する絵を描いているように思われるかもしれないけれど、そうではない。たとえば最初の見開きを開いてみると、右ページに田中ましろさんによる短歌「近づけば光らない石だとしても星 それぞれに夢を見ている」が載っている。で、左ページが安福さんの絵。星型の模様の浮かぶ淡い青色の液体の入ったグラスがあって、その中に動物のバクが1匹まどろんでいる、そんな絵。

僕は、短歌と安福さんの絵の距離感が良いなと思った。付かず離れずというか。仮に近過ぎたら、短歌を絵解きしたみたいになると思う。遠すぎると、安福さんの考えが強く押し出されているように見えると思う。安福さんはこの本の中で、遠すぎず近すぎずの距離感を保っている。だから彼女の絵は、「私はこんな風なイメージを連想しましたよ」と優しく教えてくれているような印象を抱く。細かな説明のない、作者が見た情景や作者の心象だけを切り抜いた短歌と、安福さんが短歌から連想し描いた絵が響きあう。その響きあいに読者が巻き込まれて、読者の心の中にも、その読者固有の感覚が生まれることになる。

この本はさっき書いたとおり、見開きにひとつの短歌とひとつの絵が載っているだけの構成だ。だから、早く読もうと思えば立ち読みでも全部読める。でもできれば買って手元に置いておくと良いと思う。短歌にしろ、安福さんの絵にしろ、どちらもいろんな解釈や連想が可能だから。だから、季節が変わったり、失恋したり、嬉しいことがあったりと、人生の節々に読み返すときっと、印象が変わると思う。
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