カスタマーレビュー

2015年10月4日に日本でレビュー済み
キャラクターが自分たちの活躍を画面で見ながらコメントするというのはメタ的で奇妙なものだが、読者にとっては夢のような企画だ。
普通は作者は本編をかくのに全力を挙げるので、こうした副音声の脚本までは手が回らないもの。それが化物語シリーズではその常識が覆された。
すでに化物語は脚本が刊行されていたが、ここへきて偽物語と猫物語黒の分が二分冊で刊行されたのはファンにとっては随喜の涙といった感じだ。
もちろん、本編を見たひとならわかるがそのセリフの量と密度は類をみないが、それをあっさりと上回る。余接が偽物語4話より猫物語黒1話分の方が仕事量が多いとぐちるのもむべなるかな。それを書く西尾維新の勤勉さには頭が下がる。
読んでいて気が付くことも多い。猫物語黒の上では神原と真宵がキャスティングされている。DVDで副音声を聞いたときにも感じたことだが、真宵から神原に話を振っても逆は全くない。もともと真宵は蝸牛の怪異であり家に帰りたくないと見えるという性質がある。他の副音声で語られているように神原には真宵は見えない。もっともその時は気合で見えてしまうのではと当の真宵が言ったため、実際はどうかもやもやしたものが残っていた。
それがこの脚本を読むと、真宵から神原に話を振っているように見えても神原から真宵に話を返している会話が全くない。常に真宵が神原の発言を拾っている。どうやらやはり神原には真宵は見えていない。そもそも年下マイスターたる神原が真宵を見てそれなりの反応をしないのは不自然だ。まあ、小学生相手にセクハラ発言を楽しむとも思えないが、真宵の精神年齢の高さから言って本当は楽しい会話のラリーが期待できたはずなのだ。
それが全くない。神原のセリフだけを拾って読んでみればわかるが彼女はただ、ただ、大好きな先輩たちのことを語っているだけだ。それは花物語で寂しく主役を張ったときの語りと同じトーンで彩られている。多少ははっちゃけてみても彼女は一人を意識している。副音声は組み合わせの妙を試す場のようになっているが、こういう縛りは「りぽぐら」にも共通するものがあって興味深い。
もっとも、それでも副物語は独立した作品とは言えないし、最低でもアニメを見ないと何が何だかわからないということは変らないのだが。つまり、まあ、それだけ、DVDが売れたということなのだろう。
20人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート 常設リンク

商品の詳細

5つ星のうち4.3
15 件のグローバル評価