カスタマーレビュー

2019年7月3日
ある種バズワードと化し、なんだかよくわからないけど、新たなプロダクトを生み出す魔法の方法論のように語られる「デザイン思考」というものを丁寧に解説した良書。
そもそもの「デザイン」という言葉の概念を(日本で一般的に使われる用法との差異を示しながら)問い直すところから始まり、日々の生活の中で「デザイン思考」を取り入れていくコツ、組織と個の関わり方やチームビルディング。
最後には、今後日本人が世界の中でいかに存在感を示せるか、その生き残り戦略にまで及びます。

本書の主意からは外れるかもしれませんが、個人的には今の働き方改革に喘ぐ日本社会に決定的に欠けている視点を見つけたように感じました。
既存の人的リソースで、同じ業務量を、より短時間でこなす必要がある。
以前と同じやり方をしていたのでは完全な無理ゲーであることは明白です。
"業務の見直し・効率化"とは言うけれど、で、具体的にどうやって? という問に対する、ひとつの回答かもしれない、と。
たとえば会議の場で、具体的な手法や枝葉の議論が白熱してはいるけれど、「そもそもそれ、何のためにやるんですか?」といった場面は日常よく見る光景ではないでしょうか。その「そもそも」からデザインしていきましょうよ、という話です。

惜しむらくは、「デザイン」「デザイン思考」といった、日本人にはなかなかピンと来ない、誤解されがちな言葉を理解してもらうことに本書の力点が置かれているため、どうしても解説が観念的になりがちな点です。
できることならば、明治チョコレートのリニューアル話や(悪い例としての)マイナンバー制度の例など、より身近に想像しやすい具体的なエピソードを中心に据えた続編、「実践編」のようなものを企画してもらえると嬉しいです。
(なんせ、本書の内容がピンと来ない人にこそ、「デザイン思考」を身に着けてもらう必要があるので...)

最後に、この本の致命的な欠陥も添えておきます。
それは、表紙を見てもこれが「デザイン思考」を扱った本だとはわからない点です。
おそらくこの表題・キャッチコピーを見ても、著者の言う「色・かたちを整えるためのデザイン」の本、その表面上のスキルを解説している本だと受け取られるのではないでしょうか。
これは、完全に編集者の落ち度だと感じます。
「デザインはみんなのものだ。」という耳障りのいい(そのくせ何も言っていないに等しい)コピーをデカデカと載せ、リーチすべき対象読者層へ届けることを怠った。担当編集者の想像力の欠如が悔やまれます。
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商品の詳細

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