カスタマーレビュー

2017年6月21日に日本でレビュー済み
本篇は前半部の火攻作戦篇、後半部の全用兵論の総結言篇の二部構成となっている。
前半部では拙速思想としての火攻、巧久思想としての水攻を対比させ、火攻の優位性・効率性・速効性が強調され、後半部では第一篇の巻頭言と相呼応する形で、改めて孫子の戦争観・用兵思想が明らかにされ、指導者にとっての最重要命題とは何かが論じられる。

今回特に目を引いたのは、何と言っても孫子と他兵書の思想的関係性の解明である。私見だが、これが詳説された書籍を他に知らない。
孫子における先導的兵書、管子・老子との思想的近似性が解説され、管子の富国強兵策及び老子の弁証法的認識を、軍事面に特化して孫武自身の経験に基づいた兵策を加え、編纂したものが孫子なのだと、筆者は喝破する。その根拠として該当箇所(語句)が例挙されているが、その近似性に改めて驚かされた。現行孫子と竹簡孫子の校勘の際に、どちらが理に適っているのかの指標として、極めて有用な先導的兵書が存在すると言うのに、なぜ未だ「拙速」や「善後策」等に代表される現行孫子の矛盾と、素直に向き合わない評論家・解説者が居るのか…甚だ疑問である。
ちなみに同時期に編纂された孔子に於いては、道徳仁義の特色から、孫子への影響は皆無とのこと。

末節の孫子の効果的な学び方・コツを含め、今回も非常に解りやすい内容で引き込まれ、集中して繰り返し読むことが出来た。次篇でいよいよ最終回となる見込みだが、価値ある人生を歩む為のガイドブックとして、是非とも多くの方に手に取って頂きたい書籍シリーズである。
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