カスタマーレビュー

2020年1月14日に日本でレビュー済み
いつまで待っても作画が丁寧にならない事だけが残念。
薬師寺涼子シリーズの時点で描き癖で突っ走るような感はありました。
ウン十年執筆活動を続けてる作家さんほど描き癖で通す様になる傾向が強くなるのは、ある程度漫画を読んできたオタクにとって夏は暑い事と同じくらい当たり前で避けようのない事なので、あまりグチグチ言わないようにしようと思っていましたが
それにしてもちょっと『朔』は酷すぎる……
毎回必ず「まさか右手を故障したかなにかで左手を使って描いてるのか?」と疑いたくなる様な線や顔があって、しかもそれがどんどん増えていく。
さすがにこれは描き直されるのではないかと思った4巻最後の回もそのままでした。

1巻だったかな?2巻だったかな?
レビューで「この世界観は様式美だから、もう感性の問題で合わない人には合わない」というご意見を見かけましたが、まさにその通りで、この作品は固定された世界観を楽しむ作品です。
だからこそストーリーと作画で世界観を守らなければ成り立たないのです。
幸いにも脚本のほうはさほど劣化していない(掲載誌の読者層を意識してか若干寒いズッコケ描写が目立つ時もありますが、その辺はやはり書き手と読み手の世代が離れれば離れる程悪化するものなので仕方がない事でもある)のですが
作画がこれでは……
例えば様式美の作品の代表例に水戸黄門がありますが、どんなに物語の基本は守られていても水戸光圀のキャストがいきなりオカダカズチカになったらそれはもう水戸黄門ではなくなります。
水戸黄門はどんなにキャストが変わっても最低限「パッと見あんまり強くなさそうなおじさんorおじいさん」でなければ作品として成り立たないのです。
美夕ワールドにも同じ事が言えます。
どんなに強い敵が現れても、醜悪な欲望を持つ人間が惨めな姿をさらしても、時代がどれほど移ろっても、最低限美夕は『炎の様にまばゆく美しくも儚いまぼろしの様な少女』でなければならないのです。
顔のパーツ配置がめちゃめちゃであったり大根の様な脚であったり真っ直ぐ背筋を伸ばして立つ事すらおぼつかなかったり、太った線で乱雑に引かれた髪をざんばらに振り乱したり、そんなものはどんなに本物の美夕を名乗ろうとも美夕ではないのです。
脚本作画ともかなりお年を重ねられてはいますが、それでもこの掲載ペースは決して過密ではない筈です。
垣之内先生にはどうか美夕ワールドにおけるご自身の担うべきものを、そこが崩壊したらどんなに美夕らしい台詞も動作も展開も全てが瓦解してしまうのだという事を、思い出して頂きたい。
こんなことならいっそ小説で刊行して欲しかった、と最新話が更新される度にがっかりするのは、長年追ってきたファンとしてあまりにも辛いです。
表紙のカラーイラストがこれだけ美麗であるからには、時間をかければ丁寧な作画は今でも実現可能な筈です。
 
物語の方は相変わらずの安定感。良くも悪くも美夕の世界の内側でまとまっています。
ボロボロの作画と併せて評価しても☆3未満はつけてはならない、と思わせてくれるだけの美夕ワールド健在です。
設定が違う事に文句を言う人が多いようですが、この手の「OVAの仲間がコミックスで敵対」とか「旧作では因縁のライバルとして登場したあの子とあの子が新作ではまっさらな初対面状態からスタート」っていうリミックス・リライト設定での続投はよくある手法ですよね。
媒体を転々として名作が多角展開されるこういうやり方は若い世代には馴染みがないかも知れないけど、この作品を昔から追ってる人たちって私も含めてかなり高齢のかなり重度オタクじゃないですか。
少なくとも「漫画業界のあるあるとかよく知らない」だとか「漫画は読むけどアニメは見ないからメディアミックスとか分かんない」みたいなライトオタクじゃないでしょう。
なのにこれまでこういう作品展開を見たことがないんでしょうか?
それが不思議で仕方がない。
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