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カスタマーレビュー

殿堂入りNo1レビュアーベスト500レビュアー
2019年5月5日
 バルセロナの弁護士マリア・ベンゴエチェアはフランコ政権終焉後の1970年代後半、情報屋を拷問した悪徳警官セサル・アルカラを刑務所送りにしていた。それから数年を経たころ、この事件が実はある政治勢力によって仕組まれたものであることが見えてくる。それはスペイン内戦が終結後の1940年代に、共和派勢力を一掃しようとした独裁政権側の思惑にまでつながる壮大な陰謀だった…。
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 40年の時を隔てて1980年代と1940年代それぞれの初頭期の物語が交互に展開していきます。親子や兄弟が骨肉相食む争いを繰り広げたスペイン内戦(1936-1939)がその終結後にも漆黒のベールでイベリア半島を覆い続けた史実を背景に、さらには民主化への移行の時代(1975-)にすら歴史の亡霊が闇の奥から姿を現した実在のクーデタ未遂(23-F)事件を舞台装置にして、長大で濃密なミステリドラマが展開していきます。マリア自身の家族の歴史、セサルの家族の系譜、そしてその二つの一族の交錯点のそれぞれにスペイン内戦の奥深い闇があることが徐々に露わになっていくのです。この過程が見事です。
 スペイン史を長年追いかけてきてあの仮借なき内戦史を知る身としては、この長大な物語は大変な緊張感と疲労感をもたらす読書だったといえます。そして事件の真相は言葉を失うほど苛烈なものです。物語の果てるところで、謎の解明がもたらすはずであろうカタルシスを期待した私は、その期待が大きく裏切られたことに言葉を失ったほどです。作者デル・アルボルの筆はそれほどまでに容赦ないのです。

 デル・アルボルが読者を完膚なきまでに打ちのめすこの長編ミステリを紡いだ背景を想像するに、スペイン人があの内戦に対して今も、そしてこの先も解釈や受容、納得や寛恕を果たしえないという厳然たる思いを懐いているからではないでしょうか。
 そう考えると、文庫本で500頁を超えるこの長編小説は、単に事件の謎解きを味わうミステリというよりは、現代スペイン史の暗部を照らす秀でた伝奇物語だといえるでしょう。

 仮借なき物語ではありながら、私はこの長時間の読書を大いに楽しみました。

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*115-116頁:「マリアは落ち着かなくなり、まるでへその緒のようによじれて節くれだった、珍しい若竹を挿した器に目を向けた。その灰色のオフィスの中に一点だけある緑をマリアが見ていることに気づくと、ロレンソは水を張ったその花器を持ってきた」とありますが、最後の個所の原文は「Lorenzo lo extrajo del recipiente húmedo」ですから「水を張ったその花器を持ってきた」ではなく、「水を張った花器からそれ(指示代名詞loが指すものは「竹」)を抜いた」ではないでしょうか。

*184頁:「マリアはむっとしたとしたが」とありますが、正しくは「マリアはむっとしたが」です。「とした」が余計です。

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 スペイン内戦後の独裁政権に絡むスペインのミステリ小説をひとつ紹介しておきます。

◆ロサ・リーバス, ザビーネ・ホフマン『偽りの書簡』(創元推理文庫)
:1952年、スペイン第2の都市バルセロナで資産家の未亡人マリオナ・ソブレローカが扼殺される。地元警察は情報統制を図って、この事件を『ラ・バングアルディア』紙に独占的に記事を書かせることにする。抜擢された記者は新人のアナ。独自に調査を始めた彼女は、被害者には密かに恋文を交わしていた相手がいたことを突き止める。果たしてこの相手が殺人犯なのか…。
 独裁政権下のバルセロナを舞台に二人の魅力的な女性が疾駆する長編ミステリ小説です。これまた物語は一応の大団円を迎えますが、それは当時のスペインにとって果たして真の意味で<解決>といえるものなのか。そのことを思うと、なんとも苦い後味が残る、 見事なミステリです。
 翻訳は『終焉の日』と同じく宮崎真紀氏ですから安心して読めます。

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