カスタマーレビュー

2018年1月28日に日本でレビュー済み
発売前なのだけれど……

例えば、アニメ「風の谷のナウシカ」、名作だと思うのだが、ナウシカの行動原理を「特攻の精神だ」という論評をする人もかつていて、掲載された雑誌を読んでビックリしたことがあった。我田引水というか、作品の受け取り方は思想信条でずいぶんと変わるものだとつくづく思う。映画「プライベートライアン」の日米の差とかも。

戦争であれ環境破壊であれ、誰も自分の祖国が人類滅亡のキッカケを作ったなどという不名誉はいただきたくはない。けれど百年後、二百年後のわたくしたちの子孫がそうした過ちを犯さないでいてくれるか、想像もしたくはないけれど、絶対の保証があるわけでもない。

「人間は忘れてしまう生き物だが…」「そのために知識の積み重ねがあるというのに」「それでも繰り返してしまうのだろうか…」(原作5巻より)

深読みの仕方によっては、これも不愉快に感じる人もいるかもだが、人間というものの普遍的な不完全さと捉えるべきだろう。

英語版で誤訳があったとすれば残念だが、オリジナルが、ファンタジーという架空の世界の中で現実の仮想敵を連想させる国を悪者に仕立てて憎悪や嫌悪を助長するということではなかったことに安堵する。またナウシカを引き合いに出して申し訳ないが、当時、トルメキアと某国を結び付けたがる発言があったりして、ゲンナリした。そういうアニメか?
自虐ではなく謙虚という意味で、自国を悪者に連想させる設定のほうがナンボかマシで潔いと思ってもみるがどうか?

ともあれ、こうした事柄は本文とは関係ない。本筋ではないところでのウヨクとかサヨクとかの安易なレッテル張りは、作品を楽しみ、そしてインスパイアされることには害でしかない。イデオロギーを絡めてくることで敬遠されて、このアニメを見ようという人が減ると残念である。いろんな人がこの作品の世界観を楽しみ(または不快に思い)、現実にちょっとだけ想像力を働かせてくれると嬉しい。プロパガンダに利用されるのは悲しい。

仲間に冗談(?)で銃口を向けるなどは真っ当なガンマニアからすれば不愉快極まりないことだろうし、やたら棒っきれで頭を叩くとか、PTAでなくとも眉をひそめたくなる疑問符のつくシーンもある。
このVol.3におさめられる予定の話としては、ユーリの異様な高笑いとか。でもこれも人間誰もが持ちうるネガティブな残酷な感情ならば、不愉快に感じることも、負の部分に向き合うきっかけを作ってくれる良い作品ではないかと思えるのだ。
別の話では、「ごめんね、でかいやつ」とつぶやきながら爆薬を仕掛けるくだり。そんなふうにつぶやくくらいなら、いきなり破壊する(殺す)のではない、別の方法を見つけられなかったのかな?とか。反対に、言葉の通じない機械や動物などとは、所詮分かり合えないのだという醒めた見方をするのも自由だ。

十人十色のとらえ方あるでしょうが、まずは観てからだろうね。
ユルい癒し系の物語のようでいて、毒もあれば薬(良いほうのだぞ)にもなる何かが残る。受け手次第だ。
自分の好きな作品は、より多くの人に観てほしい。変な自主規制や圧力による編集など、まさかないと思うが、オリジナルのままでの発売という願いも込めて、星五つ。

不愉快と、なかよく。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート 常設リンク