カスタマーレビュー

2014年4月20日
 訳者の言うとおり、「商人道のスゝメ」→「市場の倫理 統治の倫理」から本書に到達しました。1961年の本なのに、今でもこの本の主張はそのまま有効なことに驚きます。目から鱗の名著でした。(ただし、訳者は「おばさんのおしゃべりのよう」と評してますが、長い上に、元の文章が読みづらい本でした。1/10くらいの紙数で書けそうな気がします。)

小生の印象に残った点は以下です。
・都市の活気は、人の目が届き、子供が遊べる歩道が源泉。歩道の脇の商店(含:飲食店)の店主/客や、絶えない歩行者が、一種の自治で治安を良くし、子供たちも育てる。逆に、居住専用区にしてしまうと、歩行者を減らし、活気を減らす。
・1階を歩道に向けた商店にするのはよい。屋台も効果的。
・住民の戸数密度は高い方が多様性が増し、活気が出る。ただし、一部屋に詰め込まれる人数は少ない方がいい。人口密度だけだとこの2つが区別できない。
・人がスパースな田園都市構想は、この点で間違っている。
・公園が活気を創るのではない。公園は、上記のような店舗付き歩道が隣接した時には活気に繋がるが、そうでなければ人が歩かず、治安悪化につながる。
・いい眺めがあっても人が公園に来るわけではない。人は、他の人を眺めに歩道や公園にやって来る。
・公共施設を公園に集めてはいけない。サンフランシスコのCity Centerのように人が歩かず、治安が悪化する。公共施設はダウンタウンや店舗のある街区に点在させるべき。
・古い建物は、賃料が安く、歩道の多様性に貢献する。古い建物を一掃してはならない。
・公園/新しい居住専用高層アパート/自動車(高速道路)を推進した、ル・コルビジェは間違っている。日陰の暗い公園には誰も来ない。19世紀の不衛生なロンドンからの脱出を目指した田園ユートピア構想は、都市の衛生状態が改善した今には有効ではない。
・スラム=治安が悪いとは限らない。人が長く住んでいるスラムは、却って治安が良い。窓から人が歩道を眺めていて、何かあれば介入する。(例:ボストンのノースエンド)
・所得制限付の低所得者住宅を作るのは良くない。所得が増えると住民が出ていかざるを得なくなり、地域の愛着に繋がらず、上記の効果に繋がらない。所得が増えれば家賃が上がる(家賃補助が減る)という形で、長く住んで貰うのが良い。中流階級を呼び戻すのではなく、中流階級が育つ街になる。
・道と道との間が長いのは、人が歩かない街区ができやすく良くない。
・道に接する長さが長すぎる建物は、多様性を減らすので良くない。
・活気ある風景と、それがはるか先まで続く見通しとが共存すると混乱を招く。2階の歩道上への張出しや、T字路などで視界を区切ると効果的。並木もよい。
・自動車は、広大な駐車場を必要とし、高密度性を失わせる。自動車を締め出すと、人が道路を自由に横断できるようになり活気が増す。公共交通機関/商店に荷を運ぶトラック/バス/タクシー以外の自動車は都市から締め出すべし。
・一方通行路にするとバスの乗客が減る。
・高速道路や線路沿いは、人通りが少なくなり、治安が悪化しがち。
・活気が出て人が集まると、効率よく稼げる業種が多く集まるが、来る人の多様性も失われることによって、人が歩く時間帯が限定され、その街区はさびれる。
・多様性、個別、ボトムアップ/帰納法が、都市の活気に繋がる。都市計画者の演繹法は、往々にして都市の破壊につながる。都市は、生物のような複雑系であり、部分ごとにすべて個別である。
・行政/建設業者は、怒涛のようなお金で、都市を(善意の思い込みで)壊していく。これに対抗できる政治力を持てる位の地域規模が必要。

 公園が必ずしも善でないこと、単一の住宅/ビル/ショッピングセンタばかり並ぶ街区や自動車の多い都市は活気がないことなど、ごもっともと思いました。今の"スマート・コミュニティ"思想に足らない視点は「ボトムアップ」/「多様性」かもしれません。ル・コルビジェやユートピア田園都市を痛快に酷評しているこの本、都市に興味がある方は必読だと思います。
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