『ルー・サロメ 愛と生涯』(H・F・ペータース著、土岐恒二訳、筑摩書房。出版元品切れだが、amazonで入手可能)は、フリードリヒ・ニーチェが失恋した女性、ルー・サロメ(ザロメ)の愛と生涯を生き生きと甦らせている。
ニーチェは失恋直後は大きな痛手を負い、もがき苦しんだが、このドラマティックな失恋を経験した翌年、あの大作『ツァラトゥストラはかく語りき(ツァラトゥストラはこう語った)』のインスピレーションを得るのである。
「ニーチェは、一時、完全にルーに呪縛されていた。かれは彼女のなかにきわめて非凡な人物をみた。ルーの知性は、その女らしい優しさと相俟って、かれを恍惚境に誘いこんだ。こうしたルーに寄せる夢想から、かれのツァラトゥストラへのムードが芽生えたのである。このムードは確かにニーチェ自身のものであったが、にもかかわらず、かれがそうした感情のヒマラヤ的高みにまで駆られたのはルーを通じてであったという事実が、彼女を崇拝の対象にさせているのである」。
「もしルーがよろこんでニーチェの妻となり使徒となっていたら、どんな結果になっていただろうか、と誰しも想像してみたくなる。彼女の拒絶が『ツァラトゥストラ』を解放した、あるいは解放をうながした。彼女が承諾していたら、ニーチェがどんなたぐいの書物を(もし書いたとして)書いていたか、われわれは知らない。しかし、ルーが承知していたら、ニーチェの人生は根本的に変わっていただろうことは疑いない。かれは孤独ではなく伴侶をもち、意気銷沈するかわりに意気揚々としていたことであろう。そんな気分から『ツァラトゥストラ』が誕生しえただろうか?」。ニーチェの生活が変化していたら、彼の哲学も変わっていたであろう。『ツァラトィストラ』を書くことによって、ニーチェは絶望を超克したのである。彼は自殺を思いとどまり、ツァラトゥストラという超人をこの世に送り出したのだ。
サロメは鋭い感受性と優れた知性に恵まれた思想家で、彼女がいかに魅力的な女性であったかは、後年、ライナー・マリア・リルケ、ジークムント・フロイトから愛されたことからも明らかである。
ロシアの将軍の娘・サロメは、因襲に囚われず、醜聞の噂に怯むことなく、何よりも自分に忠実に生きようとした女性であった。「『鷲のごとく鋭く、獅子のごとく勇敢』、とはニーチェがルーを呼んだ言葉であった」。この時、ニーチェ38歳、サロメは21歳であった。「彼女の特性は、『人生に対する極度の受容性、人生の歓びと哀しみに対してつつましく勇敢にみずからを開いていること、男性の真剣さと子供の快活さと女性の熱情の魅惑的な混在』であった」。
ルー・ザロメ著作集の第1巻は『神をめぐる闘い』、第2巻は『女であること――イプセンの女性像』、第3巻は『ニーチェ――人と作品』(ルー・ザロメ著、原佑訳、以文者。出版元品切れだが、amazonで入手可能)、第4巻は『ライナー・マリア・リルケ』、第5巻は「フロイトへの感謝』となっている。
ルー・サロメ愛と生涯 (1985年) - – 古書, 1985/8
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