本アルバムは1976年にリリースされた、カーペンターズの7作品目のスタジオ・アルバムで、原題は『A Kind of Hush』である。カーペンターズのミュージック・シーンにおいて、70年の2ndアルバム『遙かなる影 (Close to You)』から、75年の『緑の地平線 (Horizon)』辺りまでが前期黄金期と言うべきで、本アルバム辺りから商業的な評価は徐々に下降していくことになる。しかしそれでもやはりカーペンターズの実力と音楽的センスは伊達ではなく、シングル先行した“Herman's Hermits”のオリジナル「There's a Kind of Hush」(67年)がカバー・ヒットしており、“Albert Hammond”も制作に関わったバラード「I Need to Be in Love」(同年シングル・カット)もヒット・チャート入りしており、アルバム構成は手堅いものになっている。バラード・ジャズ・テイストの「Sandy」、「Can't Smile Without You」、「Boat to Sail」等がやや地味な印象だが、“Neil Sedaka”の「Breaking Up Is Hard to Do」(62年)はほぼオリジナルを踏襲しつつ軽快なアップテンポに仕上げており、個人的にはベスト・ナンバーと思う(76年シングル・カット)。
カーペンターズの絶不調時の作品で、リチャードもカーペンターズファンにも大変不人気です。リチャードが睡眠薬に悩み、カレンも無理なダイエットがたたり体調不調になっていたうえに、無理なライブスケジュールのおかげで最悪のコンディションのなか製作されました。しかし、それでも二人の天才の作品なので、作品の完成度は高く、自分的にはなかなか好きなアルバムです。なかでも当時あまり売れず、20年後に日本で大ヒットした「i need to be in love」や名作といわれる「one more time」、「can't smile without you」などハデさはないものの佳作ぞろいです。それにこのアルバムはカーペンターズの歴史を知る上で欠かせない作品だと思うので、もっと深くカーペンターズを知りたいと思う人にはおススメです。