ウェブプレーヤーを開く
![Alchemic Heart [Analog]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61cXt1dLUyL._AC_UL160_SR160,160_.jpg)
大阪出身、約10人前後のメンバーからなる "ブルータル・オーケストラ" Vampilliaの1stアルバム。2014年発売。メンバー全員でアイスランドへ行き、BjorkやSigur Rósと同じグリーンハウス・スタジオで、現地のストリングス隊や聖歌隊とともにレコーディングしたのだとか。
コーラス隊やストリングス等の優美なパートから、ブラストビートやデス声の入り混じる攻撃的なパートまで、表現の幅が広すぎるこのバンド。1度ライヴを観たことがあるが、ただただ圧倒されっぱなし。ちょっと思考停止するレベルで凄まじいものだった。時とともにその思考停止からも徐々に解かれ、「一体あのバンドは何だったんだ」という思いが沸き上がり、徐々にCDを買い揃えている。
表題曲#1はいきなり本作最長となる7分越えの曲。ツジコノリコさんの牧歌的なヴォーカルで始まり、しかし4分を超えたころから徐々に不穏な雰囲気となり、そしてまた穏やかなパートへと戻る。くるぞ…くるぞ…と思わせといて特に何もない。悪夢を見ているように苦悶に身をよじらせながら眠っている子供が、飛び起きたり泣き出したりするかと思ったら、再び何事もなかったように穏やかな眠りにつく…といった印象。
#2 "ice fist" はライヴでも特に印象的だった曲。1度見ただけだったが、この曲の静と激の対称性は強烈。轟音、ストリングス、コーラス、デス声が1つの塊となって聴く者を襲う。
その後も、美しくも凶暴な、先の読めない曲が続く。ラストの #9 "tsui" は元SwansのJarboe（ジャーボウ）をヴォーカルに迎えた、静かながらどす黒く妖しげな曲。
ただ綺麗なだけもなければ激しいだけでもない。"何でもあり" でありながら独自の美意識を感じさせるバンドです。
