「楽しいことや、未来をつくるコミュニケーションが生まれるようにしたいですね」

株式会社Zaim代表取締役 閑歳孝子さん

閑歳孝子(かんさい・たかこ)さん

 「なぜか子どもの頃から、家の収支を心配して、できるだけお金を使わないようにしていました。今思えば、勝手に心配し過ぎていただけなんですけど」と笑う閑歳孝子さん。社会人になってからも、家計簿をつけるなどお金と几帳面に向き合ってきた。しかし、そんなお金に対する価値観が結婚を機に変化した。

 「多少高価なものでも、ほしい物なら購入して、とてもうれしそうにしている夫を見たときに、目からウロコでした。お金を楽しくポジティブに使えるっていいなと思ったんです」

 結婚後、転職を経てソフトウエアエンジニアとなり、法人向けのシステムをいくつも作り上げた閑歳さん。エンジニアとなって3年目を迎え、自分の実力を試すために、1人で一般ユーザー向けのサービスを作ってみようと考えた時に、思いついたのが家計簿アプリだった。

 閑歳さんは自身の経験から、お金に対する不安の原因は、家計状況の見通しが立たないためだと感じていた。もし誰でも簡単に家計簿をつけられるようになれば、かつての自分のようにお金に対して漠然とした不安を感じている人たちも、安心して今の生活を楽しめるようになるのではないか。そう考えたからだった。

 すぐにスマートフォン用家計簿アプリ「Zaim(ザイム)」の開発を始め、インフラには、個人でも導入しやすいAmazonのクラウドサービス、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を選んだ。休日を利用して開発を進めると、わずか4か月後の2011年7月にサービスをスタートさせることができた。

 「サービスがどれだけ大きくなるかも予想がつかなかったので、使用した分だけ支払うAWSの料金体系はとても助かりましたし、多様な機能のおかげで、開発時間も短縮できました。管理もすべてパソコンからできるので、会社に勤めながら1人でもサービスを立ち上げることができました」

Zaimのオフィス。社長の席はあえて決めずに、定期的に席替えを行っている

 利用者が増加してからも、しばらくは1人で管理を行っていたが、アプリのダウンロード数が20万を超えた頃に、法人化する決心を固めた。

 「自分が社長になるなんて、それまでまったく思ってもみませんでした。しかし、たくさんの方に安心してご利用いただくためには、Zaimの業務に専念できる体制を整えるべきだと考えました」

 株式会社化し、スタッフを雇用。利便性をより高め、サービスを拡充してきた。そして開始から約5年を迎えた現在、ダウンロード数は500万を超え、使いやすい家計簿アプリとして、高い評価を得ている。

 閑歳さんにとって今後の大きな目標は、Zaimが夫婦や家族間のコミュニケーションツールとして、暮らしの中にあたりまえのようにある存在になること。家計簿を複数人で共有できるようにしたのもそのためだ。

 「お金の話って、夫婦でもなかなかしづらいと思うんです。でも夫婦や家族で家計簿を共有し、家計の状況を認識することで、『今年もう1回旅行に行けそう』とか、『来年なら留学もできそうかな』とか、楽しいことや、未来をつくるコミュニケーションがもっと生まれるようにしたいですね。そうした行動を促す仕組みをこれからも取り入れていきたいと考えています」

*Amazonウェブ サービス(AWS)とは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。
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2016年6月掲載