出版社からのコメント
「グレートコード」を書くための方法を解説する『Write Great
Code』シリーズの第2巻です。グレートコードには多くの側面がありますが、本
書ではグレートコードの重要な1要素であるパフォーマンスに的を絞り、高レベ
ルのコーディング手法によって、コンパイラが生成するマシンコードにどのよう
な影響が生じるかを考察しています。
本書では効率的なコードの書き方を説明しますが、本書の主題は最適化ではあ
りません。最適化はソフトウェア開発サイクルの終盤近くに行うべき「調整」で
あり、適切なパフォーマンスを確保する時期は、開発の設計と実装の段階なので
す。本書で紹介している概念の多くは最適化フェーズでも適用できますが、テク
ニックの大半は最初のコーディング時に行う必要があります。
最新の最適化コンパイラによって効率的なマシンコードに変換される適切な高
級言語ステートメントを選択する方法を説明しています。これは、高級言語構文
のコストを理解することにほかなりません。多くの高級言語では、特定の結果を
得るためにさまざまなステートメントの利用が可能ですが、それよってマシンレ
ベルでは効率の差が発生します。その際に、根拠を持ってステートメントを選択
できるようにすることが、本書の目標です。
一般には、パフォーマンスを求めるためには、アセンブリ言語を習得する必要
があると言われることが多いのですが、これは必ずしも正しいとは言えません。
重要なのは、高級言語がステートメントをマシンコードに変換する仕組みを理解
し、適切な高級言語のステートメントを選択できるようになることです。これこ
そが、「低いレベルで考え、高いレベルで書く」ということなのです。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
鵜飼/文敏
Debian Projectオフィシャルメンバー、元Debian JP Projectリーダー、日本Linux協会前会長、The Free Software Initiative of Japan副理事長、平成15年度16年度「未踏ソフトウェア創造事業」プロジェクトマネージャー。大学院在籍中に386BSDやLinuxをPC98アーキテクチャで動かして以来、フリーなオペレーティングシステムの世界にはまる。Dabian JP Project創設時のメンバーで、以後Debianを中心に活動。debian.or.jpおよびlinux.or.jpなどの運用管理を行っている
後藤/正徳
Debian、GNU C LibraryやLinuxカーネルドライバなどのオープンソースソフトウェア開発プロジェクトに関心を持って活動を行っている。Debian Projectオフィシャルメンバー、YLUG(横浜Linux Users Group)発起人。現在、メーカー研究所にてデータストレージ・PCクラスタなどの研究開発に携わる
まつもと/ゆきひろ
高校生時代からプログラミング言語おたく、オブジェクト指向おたく。1993年からRubyを開発。1997年から(株)ネットワーク応用通信研究所特別研究員としてRubyの開発をメインとして雇われている。鳥取県米子市出身
八重樫/剛史
Debian Projectオフィシャルメンバー。大手ゲームメーカーでネットワーク・サーバ運用を行うかたわら、GNU/Linux組み込みシステムの開発に従事している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)