はじめに書いておくと、本書は企業文化について実践的に論じた名著です。
大きな構成は、
・過去の具体的な事例を紹介し、その事例から普遍的な戦略を導き出す
・その戦略を現代の(企業)組織に適用するとどうなるか?という観点で考察する
というものになっています。
たとえば最初の章では、元奴隷ながらハイチ独立に奮闘したルーベルチュールを紹介しています。
当時は、奴隷制が当たり前でした。
そんな中、高い教養を持つルーベルチュールは、奴隷制の廃止を目指し戦いを始めます。
その際に取った路線は、次のようなものでした。
・効果的な戦法の実施
・厳しい軍規の制定
・きちんとした軍服を支給
・敵軍に精通した白人顧問の雇用
・経済成長を目指し、農場経営に詳しい奴隷の元所有者への復讐を禁止。代わりに従業員に十分な賃金を払うことを義務づける
ルーベルチュールは上記のような合理性のある戦略を行った結果、戦いを有利に導き、それがのちの独立と奴隷制廃止につながっていきました。
さらに、奴隷制が当然とされていた風潮の中で、「黒人奴隷は生まれつき劣っているのではなく、奴隷文化のせいで粗野な振る舞いをしているにすぎない」と白人の一部に気づかせるに至ります。
このようなルーベルチュールの事例や戦略を、現在の企業にも当てはめるとどうなるか?という点について、著者はしっかりと論じていきます。
ルーベルチュールのほかにも、日本の武士やチンギス・ハン、サンゴールなどの事例についても、著者は丁寧に紹介し、議論しています。
加えて、それをもとに、現代企業の事例と比較し、深い考察を行っています。
非常に学びが多く、良い本でした(それと、日本人としては、1章をまるごと日本の武士に費やしてくれたのは正直うれしかったです)。
それにしても文化というものは恐ろしいものですね。たとえば文中で出てくるUberの話を読むと、仮に経営者が正しいことをしようとしても、経営者が予期せぬところで歪んだ企業文化が生まれ、足元をすくわれることが起きることがわかります。本当に怖いものです。
あと本書は訳も良いです。
と思ったら関美和氏が翻訳に携わってるんですね。個人的には、『ゼロ・トゥ・ワン』や『FACTFULNESS』など、関氏が翻訳に携わった本は良書が多いと感じます。面識はありませんが、よくある変な逐語訳でなくとても読みやすいし、内容も質が高く、個人的に気に入っています。訳者で指名買いして良いレベルだと思います。
浅枝氏の名前は本書で初めて知りましたが、おそらく関氏と同様、良い訳者なのだろうと思います。今後もチェックしておくことにします。
上記、いろいろ書いたら長文になってしまいました。
特に企業経営者は必読の本だと思います。
今後も永遠に読み継がれる本になるでしょう。
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