抗争が本格化するわけだが、主役の九里虎はとやかくあって表舞台から一旦退場。九里虎を罠にはめた男が言う喧嘩にルールも何もないという台詞に九里虎が同調するのは、原作で花とのタイマンを始める時に言った台詞の反復だが、こういうさりげないオマージュが上手い。このくだりでクルマとバイクのチェイスシーンが描かれるが、そう言えば原作にはこういうの一切無かったな笑。原作を超えた表現に挑戦する作家としての姿勢がいい。その後の九里虎の描写は何故かカリオストロの城オマージュだが、原作にはない大食漢というキャラ付けも彼らしくていい。この作者は原作以上に九里虎を魅力のある男として描いている。作者本人が決して言うことは出来ないだろうが、九里虎の描写は原作を完全に超えている。
後半の展開では九里虎が一切出てこない訳だが、兄弟を巡るやり取りはひとつのドラマとしてよく出来ており、読み応えが在る。九里虎を直接登場させなくても読者に訴求させるだけの不良たちの物語を描けるのは作劇の技術があるからであり、男たちの熱いドラマを原作に依存しただけでなく、作者なりに描けてこそだろう。画力が原作に見劣りするのは否めないが、それを補って余りある。九里虎を主人公にしたスピンオフを描かせてこれ以上のものが出来るとは思えない。仮に描いたのが原作者であったとしても。
巻末オマケの「その後のクローズのその後」は文字通りゼットンとのタイマン後の九里虎を描いた話で、原作のキャラのその後が違和感ない感じで出てくるのが楽しい。鉄生との因縁が生まれる切っ掛けとして一人の子どもが登場するが、女好きと言いながら絶対に女性を描けない原作者には出来ないストーリー作りだが、違和感なく仕上がっていて、上手い。この話が本作の最終回でも別に良さそうな気もするが、此処でこれを出したのだから、本編では別の着地点があるのだろう。楽しみだ。クローズとワーストのスピンオフは本作だけでいい。原作者本人も失い、他のスピンオフ作家にも足りない、原作全盛期に等しい熱いドラマが此処には在る。
WORST外伝 グリコ 7 (7) (少年チャンピオン・コミックスエクストラ) (日本語) コミック – 2020/7/8
髙橋ヒロシ
(著)
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本の長さ205ページ
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言語日本語
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出版社秋田書店
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発売日2020/7/8
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ISBN-104253254373
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ISBN-13978-4253254373
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