この作曲家とこの歌手でまた聴きたいと思っていたら
早速夢のコラボか帰ってきた!
ドラマティックで明るい曲調とファジョリの華やかな歌声が
とってもよく合っているバロックオペラ『ウティカのカトー』。
舞台をやってまだ間もないのにすぐCD化されてうれしい。
脇を固める歌手陣も『アルタセルセ』でお馴染みのメンバー
チェンチッチはマルツィア?それともエミリア?と期待していたら
まさかのアルバーチェ役だったが、貴婦人役はちゃんと
女性を演ずるにふさわしいきれいな声の人達が歌っているのでご安心を。
マルツィアは舞台では別人が演じていたがCDではバラーが歌っている
サンチョはC-T歌手に囲まれながらタイトルロールのカトーを歌っている。
今回サンチョの音域もかなり高い。フルヴィオ役もいい声だなあ
ジャルスキーはおらんのかいって人は
アルバーチェ役で参加しているヴィヴァルディ版の方をどうぞ
ファジョリは敵役チェーザレを演じており、
この人が時代物の派手なコスチュームや鬘を身に着けて
おもむろにポーズを決めて歌い出すと、雰囲気満点
当時のスター歌手ってこんなだったんだろうなって感じ。
もちろん聴きごたえ十分!時折アドリブで高音のアクセントを効かせる
(CDに収められている以外のアレンジは動画サイトで聴ける)。
曲に関して 華やかで全体的にとてもドラマチック
リリックでメランコリックなアリアもいかにもヴィルトーゾってのもあり。
ハッセやJCバッハなど時代を前後する作曲家を彷彿とさせる曲もあった
演奏は器楽も歌も元気で勢いがあって小気味いい。
ただ、レチタティーヴォだけのシーンが長いのと、
歌や器楽演奏ではなく科白で幕切れとなるラストシーンはどうかと思った。
題の通りウティカの地でのカエサル対小カトーの争いの物語
といっても凄惨な戦闘シーンではなくカエサルの恋愛譚中心。
圧倒的な武力をかさにアフリカに侵攻してきたカエサルに対抗し、
アルバーチェ王子や 夫ポンペイウスを討ち取られ復讐を胸に身を寄せる
エミリアと共にカトーは打倒カエサルの気勢を上げる。
だがカトーの娘マルツィアは・・・
因みにヴィヴァルディのウティカのカトーも
何盤か素晴らしい演奏が出ている。そちらも一聴をお勧めだが、
自分はこのヴィンチ版がだんぜん好みだった。
同じ脚本を使いながらヴィヴァルディは大幅に話を変えてしまっている
物語的にはどう考えてもヴィンチの方が納得いくよ。