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作曲家バーンスタインの魅力に身近に触れるには絶好の1枚。2001年5月に、限定プライヴェート盤として録音された音源を、好評のあまりワーナーがライセンスを取得し正規盤として発売したといういわくつきのディスクである。
指揮者バーンスタインについては、誰もがその偉大さを疑わない。しかし作曲家バーンスタインとなると、名作「ウエスト・サイド・ストーリー」を除けば、やや意見は分かれるし、アメリカ社会を反映した多様性のるつぼのような作品の多くが、いま一つ親しまれているとは言えないようだ。
このディスクを聴いて改めて感じるのは、バーンスタインの音楽には、ありとあらゆる人間臭い感情がたっぷりと盛り込まれており、膨大で煮えたぎるようなエネルギーが充満しているということだ。他のどの作曲家にもない不思議な魅力が、そこには確かにある。
エネルギッシュで脈打つような生命力あふれるノリの一方で、柔らかくまろやかな音も随所で聴かせるコンセール・ラムルー管弦楽団は、とても魅力的だ。アメリカ・ミュージカル界を代表する歌手キム・クリズウェルのヴォーカルによる3つのナンバー「アイ・アム・イージリー・アシミレイテッド」「アイ・キャン・クック・トゥー」「サムウェア」も、あるときは愉快に羽目をはずし、あるときはしっとりと心に訴えかける。これら全体をリードしているのが、フランスで絶大な人気を誇るコンセール・ラムルー管弦楽団常任指揮者・佐渡裕の手腕であることは言うまでもない。(林田直樹)
メディア掲載レビューほか
佐渡裕指揮、ラムルー管弦楽団による2001年録音盤。ミュージカル界で活躍するシンガー、キム・クリズウェルをゲストに迎え、バーンスタインのミュージカル・ナンバーを佐渡ならではの“ノリノリ”で楽しい演奏が堪能できるアルバム。 (C)RS