活動25周年記念としてリリースされたノイズデュオによる最新作。
古巣Load Recordsは休眠状態のまま蘇生はならず、そのまま2017年に店仕舞してしまい、バンドは前作に引き続きThrill Jockeyからのリリースとなった。
「ヴァンヘイレンの”暗闇の爆撃”に影響された。すべての道はヴァンヘイレンに通ず」というブライアン・チッペンデイルのいい加減極まりない説明を真に受けるなら、Lightning Boltのノイズバンドとしては異例ともいえる息の長い活動の秘訣は、ヴァンヘイレン的な軽さにあることになる。
バキバキと奏でられつつアンビエントな趣すら感じさせるブライアン・ギブソンのベースラインと、スティックよ折れよとばかりに休みなく打ち鳴らされ続けるるチッペンデイルのトライバルなビート、そして聞き取り不能なヘナヘナの吐き捨て調なヴォーカルスタイルは、一聴すると観客を選ぶ爆音ノイズに思えるかもしれない。
しかし曲の構成はどれも非常にストレートであり、ノイズバンドにありがちな、聴衆の興味を削ぐ意味不明な展開は皆無である。
ロックデュオとして比較対象にされやすい吉田達也のプロジェクト、RUINSと比較しても違いは明らかだろう。
フランスのマグマから影響を受けた意味不明で聞き取り不能な架空の言語を操るところも共通する両バンドだが、吉田達也のドラミングによって目まぐるしく変化し続けるRUINSの曲展開は、馴れない観客をヘトヘトにするに十分な複雑さを持っている。
対してLightning Boltのサウンドは、その爆音ぶりとは裏腹に、、聴衆をまごつかせない単純さに支えられたものだ。
反復が強調されたミニマムな展開も、最終的にはストレートな盛り上がりを目指して進行する。
ある種ヘヴィメタル的な単純さを感じさせつつ、メタルバンドのような様式を持ち合わせない、まるでパーティソングを思わせる軽いスタイル。
単純さと軽快さこそがLightning Boltの最大の魅力なのかもしれない。