Amazonレビュー
本作のリリース前にすでにクラプトンは伝説のギタリストとしての地位を確立していた。ヘロイン中毒だった過去も遠い昔になった本作では、ソングライティングの才能をいかんなく発揮した。なかでも素晴らしいバラード「Wonderful Tonight」では、初期のナンバー「Promises」に内包されていたあらゆる可能性を実現し、自信を持って楽曲のテンポを落としている。また、「Wonderful Tonight」のみならず本作全編を通じて、この上なく表情豊かなギターワークをいくつも見せている。けれども、なんとも皮肉なことに本作で最も有名なナンバーはヒット曲の「Cocaine」である。ギターのシンプルなリフに支えられたこのナンバーでは、トレードマークである激しさを包んだ滑らかな歌声と、優れたギターソロを披露している。クラプトンの楽曲で何より欠かせないのは派手なギターの早弾きではなく、そのサウンドの基本であるブルースのバックグラウンドである。本作におけるギターとボーカルにより、クラプトンは誰よりも幅広いロック言語の持ち主のひとりとしての地位を築き上げた。(Steve Gdula, Amazon.com)