福島第一原子力発電所事故は、発生後6年を経たいまもその事故原因について新たな事実が判明し、一方で東電の「安全文化」については依然大きな疑問符がついています。
何かがおかしい?と感じたかたには、この本はほんとうにおススメです。
福島原発事故が「人災」であることは当事者である東電もふくめ関係者すべてが認めています。
しかし、「人災」=「事故の原因の90%はヒューマンエラーである」という一般的な考え方について、この本は「手順書を改良せよ」「指示された内容から逸脱するな」という標準的な勧告はほとんど有効性が認められないと断言し、さらに「人々を叱責することは事故調査においても一般的な意味でも、彼らの協力しようとする意欲を減退させる」と鋭く指摘しています。
では、どうすべきか?
うまくいっていることに焦点をあて、失敗を防ぐより、複雑なシステムのパフォーマンスの調整を監視し、マネジメントすることで物事がうまくいくことを確実にすることに傾注すべきであるというのが、本書が提唱するSafety2の考え方です。
さらに興味深い点は、そのためにホールシステムアプローチの一つであるappreciative inquiryという手法を使うことを提唱していることです。
ホールシステムアプローチは、従来型の会議が非生産的であることの反省から生まれた新たな考え方で「決めない会議」とも呼ばれていますが、その一つであるappreciateve inqiryは「組織において悪いことをなくすことではなく、賞賛すべき行いに焦点を当てる」手法で「より建設的な文化を構築する基盤として利用可能であり」「おしらく安全のパフォーマンスと相関している」と本書は評価しています。
これまでの組織論、安全マネジメント論が通用しない複雑な社会技術システムがこの世界をおおい尽そうとして今日、安全を巡る考え方も根本的に見直しが必要とされていることを直截に指摘し、新たなパラダイムを体系的かつ明確に提示した本書はいまの日本にとっても実にタイムリーな作品です。
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