鉄腕アトムと浦沢直樹の組み合わせというのがどうもピンとこなくて長らく敬遠していたのだが、今更ながら拝読。
結果から言えば、思っていたよりずっと素晴らしい出来だった。
物語の骨子は鉄腕アトムの「地上最大のロボット」が元になっているのだが、人間とロボットの複雑な関係性などの精神的な面はむしろ「青騎士の巻」から持って来たものの方が大きいと思う。それがうまく働いて物語がグッと深いものになっている。
いかにも浦沢直樹っぽい独自要素やイラク戦争などの要素も散りばめつつ、基本的な流れは最初から最後まで「地上最大のロボット」に沿ったものになっているところもすごい。ウランとプルートゥの関係やエプシロンの最後など、原作の印象的な流れやシーンもアレンジを交えつつ丁寧に再現しているところも感銘を受けた。
手塚キャラのアレンジも原作のイメージを損なわないようにしながら膨らませるものになっており、特に天馬博士の悪と善の間を彷徨う様はまさに彼らしい描写である。
いわゆるリメイクの類いは原作に思い入れが強ければ強いほど微妙な感想になりがちだろうが、本作は手塚作品への溢れるほどのリスペクトが感じられるものだと思う。色々な意味で再構築の技が光る作品だと言えるだろう。
ちなみにエピローグは意味がよくわからないと感じる人も多いだろうが、個人的にはあれは「青騎士の巻」の浦沢氏なりの決着のつけ方なのだろうと思う。おそらく浦沢氏は青騎士にもかなりの思い入れを持っていて、最後に青騎士を人間と和解させたかったのではないだろうか。
PLUTO (プルートウ) 全8巻完結セット (ビッグコミックス) コミック – 2009/6/1
浦沢 直樹
(著)
著者の作品一覧、著者略歴や口コミなどをご覧いただけます
この著者の 検索結果 を表示
あなたは著者ですか?
著者セントラルはこちら
|
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
この商品を買った人はこんな商品も買っています
ページ: 1 / 1 最初に戻るページ: 1 / 1
Kindle 端末は必要ありません。無料 Kindle アプリのいずれかをダウンロードすると、スマートフォン、タブレットPCで Kindle 本をお読みいただけます。
Kindle化リクエスト
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
このタイトルのKindle化をご希望の場合、こちらをクリックしてください。
Kindle をお持ちでない場合、こちらから購入いただけます。 Kindle 無料アプリのダウンロードはこちら。
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.6
星5つ中の4.6
71 件のグローバル評価
評価はどのように計算されますか?
全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年9月22日に日本でレビュー済み
違反を報告
Amazonで購入
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2017年5月1日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
AIの本を読んで、ああ、そういえばプルートウって買ったよね?と思い出し家中ゴソゴソと捜索、しかし発掘したブツは歯抜け状態。えい面倒くさい、もう一回買っちゃえとアマゾンで全巻購入。安いですね。超絶おサイフに優しいですね。 いわゆる本歌取りの様式を採っています。勿論、本歌は手塚氏「鉄腕アトム」。浦沢氏の「プルートゥ」は手練れだけあって流石うまい。週刊誌の単行本に付きまとう宿命で、時々足元つまずくのは仕方ないかー。登場人物やたら泣いてますね。ストレスの溜まったアナタ、浦沢節は泣かせますよ。しかし深読みは禁物、逆に心に大きな負荷が掛かります。人類史上永遠の葛藤、平和を望むのに戦争だらけ。シンギュラリティが論争のこの時代。人類がAIの下僕か資源になれば戦争はなくなるんでしょうね、多分、きっと…。未来はもうそこ迄来ている。ラストシーンで己に突き立てられたロンギヌスの槍をぬきAIにブチ投げる浦沢氏。出たぁー!!はぁぁーースッキリリーー。 ロボット三原則に疑いのまなざしを向けながらも、何処か心の底で希望の糸を繋いでいるのはアトムと共に育ったから。たかが漫画、されど漫画。あれから半世紀、手塚さんが耕された風土の広大さを今更ながら感じました。そんな作品だと思います。
2017年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
今年の夏、内外教育というちょっと堅めの冊子でこの本が紹介されました。
今、漫画や映画の世界にあったロボットが、現実の世界にどんどん進出しています。
戦いを機械に任せたとき、人間は、自ら滅びはじめます。
人間の考える原則なんて、やはり役には立たないものなのだと思いました。
日本人の考えるロボットは、アトム・ドラえもん、そしてR2D2
あと10年もしたらアシモも自律することでしょう。
そんなとき、機械を、ロボットを「便利に動かせることができる」などと楽観視しないためにも、人間らしさを失うことなく、判断する力を手放さないための警鐘がこの本だと思いました。
今、漫画や映画の世界にあったロボットが、現実の世界にどんどん進出しています。
戦いを機械に任せたとき、人間は、自ら滅びはじめます。
人間の考える原則なんて、やはり役には立たないものなのだと思いました。
日本人の考えるロボットは、アトム・ドラえもん、そしてR2D2
あと10年もしたらアシモも自律することでしょう。
そんなとき、機械を、ロボットを「便利に動かせることができる」などと楽観視しないためにも、人間らしさを失うことなく、判断する力を手放さないための警鐘がこの本だと思いました。
同様の商品をご覧になりませんか?
こちらのリンクで参照ください。漫画本 全巻セット