不思議な本だ。エッセイのような、物語のような、ストレス対処法のような。
本書はタイトル通り「30代の危機」について、心理学者でもあるひとりの女性が自身の公私にわたる体験を足がかりに、心理学の知識をふんだんに盛り込みながら書かれた味わい深い本だった。
40代以降のいわゆる「中年期の危機」についてはとくに心理学方面から多くの書物がある。
しかし「クライシス」を「人生の転機」と捉えれば、心理的なクライシスはどの世代にも起こり得るもので、
本書の中では「30代」にいくつもの転機を迎えた著者の体験と、その後、著者を支えた「心理学」という学問、その心理学的視点からみたクライシスの乗り越え方や捉え方が物語のように綴られている。
とくに興味深かったのは著書の専門でもあるストレス心理学について。
昨今ストレス関連知識として取り沙汰される「枝葉」ではなく、古典的なラザルスやセリエなど、ストレスを考える上での「幹」もしくは「根っこ」にあたる知識を現代の問題に柔軟に的確に当てはめ、解説してある点だ。ホンモノの心理学者はすごい…
同時にひとりの女性として、著者の歩まれた彩深い人生に引き込まれた。
男女問わず誰もが一度は足を止める結婚、仕事、転職、そして大切な方との死別や自身の心身のこと。
こんなにあからさまに書いて、ご本人は心が痛くならないのだろうかとすら思った。
しかしそのリアルさがこの本の何よりの魅力であり、読む側のそばにスルッと近づいてくれるような、
「心は健康ですか?」
と繰り返し著書が書くフレーズを向き合ってそっと尋ねてくれるような、そんな感覚に陥った。
私自身、病を得て仕事や社会から遠ざからざるを得ない10年近くを過ごしたのが30代だった。苦しかったことを思い出す。
著書がこの本に綴ったいつくもの物語の断片とそれにまつわる心理学のtipsは、いまこの瞬間健康であってもなくても、
山と谷の続く、
山と谷が続くのかも?と気づき始める「30代」への温かいエールなのだと思う。
この本を読みながら私も、昔の自分にすこし「よくやった」と言ってあげたい気がした。
30代の人々、これから30代に差し掛かる人々、かつて30代だったすべての人々に読んで欲しいと感じた。
私はこの本を、これから30代を迎える姪に、まずは贈りたい。
すべての、働き、生きる人に。
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Over Thirty クライシス 30代のストレスマネジメント (幻冬舎ルネッサンス新書 み) 新書 – 2020/3/5
三野 節子
(著)
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ストレスに苦しむ30代が人生を前向きに歩くための具体策。
身体だけではなく心の健康の重要性も叫ばれる現代社会。
日々ストレスフルな環境の中、人生の転換期を迎える「30代サラリーマン」はどのようにして課題と向き合い、歩みを進めていけばいいのか。
元大学教員・臨床心理学博士である著者が自身の体験と理論を密接に結び付けながら答えを出す。
「自分の人生、こんなはずでは……」と今の自分に悩むサラリーマンに贈る一冊。
身体だけではなく心の健康の重要性も叫ばれる現代社会。
日々ストレスフルな環境の中、人生の転換期を迎える「30代サラリーマン」はどのようにして課題と向き合い、歩みを進めていけばいいのか。
元大学教員・臨床心理学博士である著者が自身の体験と理論を密接に結び付けながら答えを出す。
「自分の人生、こんなはずでは……」と今の自分に悩むサラリーマンに贈る一冊。
- 本の長さ229ページ
- 言語日本語
- 出版社幻冬舎
- 発売日2020/3/5
- ISBN-104344927273
- ISBN-13978-4344927278
商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
身体だけではなく心の健康の重要性も叫ばれる現代社会。日々ストレスフルな環境の中、人生の転換期を迎える「30代サラリーマン」はどのようにして課題と向き合い、歩みを進めていけばいいのか。元大学教員・臨床心理学博士である著者が自身の体験と理論を密接に結び付けながら答えを出す。「自分の人生、こんなはずでは…」と今の自分に悩むサラリーマンに贈る一冊。
著者について
■ 三野 節子/ミノ セツコ
香川県生まれ。
学習院女子短期大学家庭生活科II類卒業後、四国電力株式会社入社。
よんでん文化振興財団出向。その後、川崎医療福祉大学臨床心理学科3年次に編入学。
川崎医療福祉大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了、同大学院博士課程修了。
川崎医療福祉大学臨床心理学科助教、講師として勤務。
専門は健康心理学。
健康心理士。博士(臨床心理学)。
香川県生まれ。
学習院女子短期大学家庭生活科II類卒業後、四国電力株式会社入社。
よんでん文化振興財団出向。その後、川崎医療福祉大学臨床心理学科3年次に編入学。
川崎医療福祉大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了、同大学院博士課程修了。
川崎医療福祉大学臨床心理学科助教、講師として勤務。
専門は健康心理学。
健康心理士。博士(臨床心理学)。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
三野/節子
香川県生まれ。学習院女子短期大学家庭生活科2類卒業後、四国電力株式会社入社。よんでん文化振興財団出向。その後、川崎医療福祉大学臨床心理学科3年次に編入学。川崎医療福祉大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了、同大学院博士課程修了。川崎医療福祉大学臨床心理学科助教、講師として勤務。専門は健康心理学。健康心理士。博士(臨床心理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
香川県生まれ。学習院女子短期大学家庭生活科2類卒業後、四国電力株式会社入社。よんでん文化振興財団出向。その後、川崎医療福祉大学臨床心理学科3年次に編入学。川崎医療福祉大学大学院臨床心理学専攻修士課程修了、同大学院博士課程修了。川崎医療福祉大学臨床心理学科助教、講師として勤務。専門は健康心理学。健康心理士。博士(臨床心理学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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登録情報
- 出版社 : 幻冬舎 (2020/3/5)
- 発売日 : 2020/3/5
- 言語 : 日本語
- 新書 : 229ページ
- ISBN-10 : 4344927273
- ISBN-13 : 978-4344927278
- Amazon 売れ筋ランキング: - 777,707位本 (の売れ筋ランキングを見る本)
- - 1,697位ストレス・心の病気
- - 21,302位人生論・教訓
- - 22,681位経営学・キャリア・MBA
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
5つ星のうち4.6
星5つ中の4.6
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全体的な星の評価と星ごとの割合の内訳を計算するために、単純な平均は使用されません。その代わり、レビューの日時がどれだけ新しいかや、レビューアーがAmazonで商品を購入したかどうかなどが考慮されます。また、レビューを分析して信頼性が検証されます。

著者の人生を赤裸々に開示しながら、苦難のOver Thirty諸氏のみならずあらゆる年齢の読者に、人間としての“活き方”を問い直している。まさに七転び八起きの人生を経て、著者が今後さらにどのような人生を拓き、どのような示唆を得るのだろうか? 著者による、"Over Fiftyクライシス"・"Over Seventyクライシス"という自著を期待します。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年3月19日に日本でレビュー済み
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4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2020年3月15日に日本でレビュー済み
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もう35歳?/まだ35歳?
“もう””まだ”、たった二文字なのに印象が全く異なり、その印象で、事象の見え方が変わる、変えることができるわけである。言葉の魔法だと思う。
私はちょうど30代に突入した女性、著者のターゲット世代である。子供や思春期、高齢者についての話題は溢れているのに、意外と30代はフォーカスされない。恐らく30代が直面する問題は仕事・結婚・育児など多岐にわたっていて、問題が各々で異なるし目まぐるしく変わっていくからなのかもしれない。ということは…30代はストレスでいっぱいなのである。体力だったり配偶者や友達などの社会資源でしのげているところもあって、さほど問題視されないのかもしれないがそうもいかない人も当然存在する。
この本は、30代をうまく生き抜くハウツー本ではないと思う。大学生以上の世代であれば誰もが直面する問題の捉え方、向き合い方を優しい言葉で導いてくれる。
いつの世代の人にも読んでもらいたい1冊。
“もう””まだ”、たった二文字なのに印象が全く異なり、その印象で、事象の見え方が変わる、変えることができるわけである。言葉の魔法だと思う。
私はちょうど30代に突入した女性、著者のターゲット世代である。子供や思春期、高齢者についての話題は溢れているのに、意外と30代はフォーカスされない。恐らく30代が直面する問題は仕事・結婚・育児など多岐にわたっていて、問題が各々で異なるし目まぐるしく変わっていくからなのかもしれない。ということは…30代はストレスでいっぱいなのである。体力だったり配偶者や友達などの社会資源でしのげているところもあって、さほど問題視されないのかもしれないがそうもいかない人も当然存在する。
この本は、30代をうまく生き抜くハウツー本ではないと思う。大学生以上の世代であれば誰もが直面する問題の捉え方、向き合い方を優しい言葉で導いてくれる。
いつの世代の人にも読んでもらいたい1冊。
2020年3月20日に日本でレビュー済み
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仕事や家庭でストレスに苦しむことが多い年齢です。その度に臨床心理学の本に救いを求めるのですが、何か治療されているようで途中でやめてしまいます。そんな折、先日新書コーナーで、赤い帯表紙のこの本を見つけて手に取りました。読むうちに心の健康と生き方について、著者の失敗談をベースにユーモアを交えて語られており、引き込まれていきました。何度も躓いて転び、挫けそうになりながらも起き上がって、一歩でも前に進もうとする健気な著者に惚れました。こんな本に出合いたかったのだと思い、著者の専門とする健康心理学に興味を持ちました。引用されていたフランクルなどの著書を読んでみようと思います。心理学って面白いですね。そして有意義ですね。ありがとう!
2020年3月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みやすい文章で、一気に読めました。
Over Thirty クライシス、という題名から受けた印象とは異なり、どの世代でもと思える内容でした。
専門的な解説もありますが、ほとんどがご自身の経験をもとに語っておられるので、素人でもわかりやすいと思います。
つい頑張りすぎてしまう方にはもちろん、頑張りすぎてしまう人の気持ちがわからないと思っている方にもお薦めしたいと思います。
Over Thirty クライシス、という題名から受けた印象とは異なり、どの世代でもと思える内容でした。
専門的な解説もありますが、ほとんどがご自身の経験をもとに語っておられるので、素人でもわかりやすいと思います。
つい頑張りすぎてしまう方にはもちろん、頑張りすぎてしまう人の気持ちがわからないと思っている方にもお薦めしたいと思います。
2020年5月20日に日本でレビュー済み
私自身、すでに還暦まであと数年という年齢だが、40代で数々の試練を受けたが、その時に出会っていれば、生き流希望が湧いてきて、より早く立ち直れたかと思うような本です。
最終章の「人生七転び八起き」の中には、先人の至言と筆者の人生経験を重ね合わせて、苦難や試練から学んだ事を自分の人生と重ね合わせて、その苦難やしれんがあったから、今の自分があるとも実感させられます。
人生いろいろありますが「それでも人生にイエスと言う」ですね!
最終章の「人生七転び八起き」の中には、先人の至言と筆者の人生経験を重ね合わせて、苦難や試練から学んだ事を自分の人生と重ね合わせて、その苦難やしれんがあったから、今の自分があるとも実感させられます。
人生いろいろありますが「それでも人生にイエスと言う」ですね!