『NOヘイト!』ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会編・ころから
を読んだ。買い求めて、電車に乗ってすぐに読み始め、なんとか乗り過ごさずに家まで帰れたのが不思議なくらい引き込まれた。
韓国の書店に並んでいる本と、日本の書店に並んでいる本との比較は、考えたこともなかったので、かなりショックだった。資料として、「夕刊フジ」のメイン見出し、「嫌韓、嫌中本のタイトルを眺めてみる」(50ページ)が載っているのだが、『中国人韓国人にはなぜ「心」がないのか』というタイトルの本がある。著者は加瀬英明。中国人だけで1億4000万人はいる。そのすべてをいっしょくたにして「心」がない、と断定している。中身には違う事が書いてあるかもしれない。しかし、著者の責任としてこのタイトルでオッケーを出しているという点ははっきりしている。
『2014年、中国は崩壊する』宇田川敬介 扶桑社 という本もある。いまは、2019年であるから、「崩壊」してから5年は経っている。『破綻する中国、繁栄する日本』長谷川慶太郎 実業之日本社 『なぜ中国人にはもう1%も未来がないのか』石平 徳間書店 長谷川も、石平もずっと以前から、「崩壊する」「未来はない」と言い続けている。しかし、「未来がない」のは、ひょっとしたら日本かもしれないという想像力は欠片もないようだ。
この本の副題は「出版の製造者責任を考える」となっている。
ことは、「言論の自由だ」で済まされる段階ではない。
はっきり言うけれど、私は現在の中国政府がとっている路線に対しては、真っ向から批判的である。天安門事件の隠蔽と正当化、香港への「干渉」(これはまた改めて論じたい)、人工島の造成と軍事基地化、言論の自由も思想信条の自由も否定している「1984」のような国家が技術の近代化を進めて軍事大国化しようとしている姿には怖れを感じる。ただ、政府批判と、「中国人には「心」がない」と誹謗、中傷する事とは別問題だと考えている。
第一章は、「関東大震災の際の朝鮮人虐殺」を研究した結果、これは、過去の話ではないと、日本の現状(ヘイトスピーチの横行、嫌韓、嫌中本)を指摘しながら加藤直樹氏が語っている。レイシストへの抗議活動、石原慎太郎の「三国人」発言も掲載されている。
阪神大震災の時に、在日の人から「私たちは本当に殺されるかもしれないと思ったのです」と言われて、最初は何を言われているかわからなかった。恥ずかしい。関東大震災の時に何が起こったのか、知識としては知っていても、阪神大震災に直面した時に、私の中にはその事はまったく欠落していた。
NHKの大河ドラマ、関東大震災を扱ったが、肝腎の朝鮮人、社会主義者に対する加害の事実はぼやかされていた。
第二章は、「書店員は「ヘイト本」をどう見ているのか?」。書店員の方たちのアンケートへの回答が掲載されている。中には、「客の求めに応じて何が悪い」という意見もある。これは、福嶋聡氏の「客が棚を作る」ということの一面を表しているかもしれないが、大半は、もううんざり・・という意見。
第三章は「出版業界の製造者責任」。ここでは、書店関係者、出版社の方たちによるディスカッションが紹介されている。
1995年のオウム事件以後、「何を書いても許される」という風潮が広がり、「記事の裏を取るという最低限のタガが外れてしまった」「これが日本のマスメディア、特に週刊誌の質を落とすきっかけになったと思います」(P89~90)という発言が様々な記憶を私の中に呼び起こした。
私にとって一番鮮明なのは、当時通勤途上で聞いていた「ありがとう浜村淳です」のパーソナリティをしていた浜村の発言。警察発表、週刊誌発表を鵜呑みにして河野さんを罵っていた。そのあまりのひどさに、聴くのを止めた。なので、浜村が河野さんに対してどんな謝罪をしたのかは知らない。ただ、あのような人格攻撃を垂れ流した責任の取り方としては、即刻ラジオの世界から身を引くべきであったと思うが、未だに出ている。
結果として「書き得」になったという。
今の「嫌韓、嫌中本」の書店店頭での氾濫ぶりは、世界の中でも特異なものではないか。それとセットになっている「日本素晴らしい!」本とテレビ番組も。
そして、「これは、「新しい歴史を作る会」あたりから地道に築き上げられてきたカルチャーだ」という発言にも注目したい。対抗する、批判する本を出しただけでおさまる問題ではない、という意見にも納得できる。
第四章は、「ヘイトスピーチと法規制」。弁護士の神原元氏は、「古典的な表現自由論」として、ヴォルテールが言ったとされる「私は君の意見には反対だが、君が意見を言う権利は命を懸けて守る」という言葉、ジョン・ロック、アメリカのウェンデル・ホームズの「言論、出版の自由」を擁護する言説の段階で思考が止まっていていいのかと問題提起をしている。
インターネットの普及、嫌韓嫌中本の大量出版は、「便所の落書き」程度の言説に「オッケー」を与えてしまっている。つまり、「出版関係者が国民に正しい情報を提供するという職責を放棄した結果」(P117)と氏は述べている。
「売れるから」「そういう本を求めている読者がいるから」という居直りともとれるようないい方もある。
ただ、もう30年近く前になるか、部落解放運動を続けていた知人から質問されたことがある。「差別が無くなった状態ってどんなんや思う?」。恥ずかしながら、即答できなかった。彼は言った。「差別発言をするような人間はいつでも存在するんや。問題は周りの人間がそれを相手にしないこっちゃ」。
「売れるから」と嫌韓、嫌中本を出す。それは、出版業界自体の劣化につながる。
「「売れる本が正しい本だ」というのは、市場原理をそのまま思想の世界に持ち込んだ俗説に過ぎない」(P118)。「「思想」は左右いろいろあっていいが、自己の思想を支えるために「虚偽の事実」を本に書くなと言っているのだ」(p118)。
<あとがきにかえて>は、なぜ「ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会」が発足したのかが、書かれている。P12に載っている「趣旨文」と合わせて読んでほしい。
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NOヘイト! 出版の製造者責任を考える 新書 – 2014/11/1
購入を強化する
書店に「ヘイト本」をあふれさせているのは誰か? 業界内部から、あえて問う。出版の製造者責任を——
- 本の長さ144ページ
- 言語日本語
- 出版社ころから
- 発売日2014/11/1
- 寸法17.5 x 10.9 x 1 cm
- ISBN-104907239106
- ISBN-13978-4907239107
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
書店に「ヘイト本」をあふれさせているのは誰か?業界内部から、あえて問う。出版の製造者責任を―本をつくる人へ、本を売る人へ、そして、本が好きな人へ。「思考停止」しないための一冊。
著者について
加藤 直樹
1967年東京都生まれ。法政大学中退。出版社勤務を経てフリーランスに。鹿島拾市の名で、宮崎滔天や「蟻の街」をつくった松居桃楼、朝鮮人女性飛行士の朴敬元など、近現代史上の人物論を「社会新報」などの媒体に執筆。著書に『9月、東京の路上で』(ころから)。
神原 元
1967年神奈川県生まれ。2000年弁護士登録(横浜弁護士会)。自由法曹団常任幹事。近刊に『ヘイト・スピーチに抗する人びと』(新日本出版社、14年12月刊行予定)。
明戸 隆浩
1976年愛知県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専攻は社会学、多文化社会論。著書に『ナショナリズムとトランスナショナリズム』(共著、法政大学出版局)、訳書に『ヘイトスピーチ』(共訳、エリック・ブライシュ著、明石書店)などがある。
ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会
「嫌韓嫌中」に代表される、他国や他民族、マイノリティへの憎悪・偏見を煽る書籍の氾濫を危惧する出版関係者有志により2014年3月に結成。メンバーは規模の大小を問わず、さまざまな出版社の編集・営業・校閲、フリーランスの編集者やライター、書店員など約20名。排外主義を助長する出版社・出版業界の責任を業界内部から考えることをめざし、賛同者の募集、シンポジウムの開催、Facebookほか各種メディアによる発信に取り組む。
Facebookページ http://www.facebook.com/antifapublishing
1967年東京都生まれ。法政大学中退。出版社勤務を経てフリーランスに。鹿島拾市の名で、宮崎滔天や「蟻の街」をつくった松居桃楼、朝鮮人女性飛行士の朴敬元など、近現代史上の人物論を「社会新報」などの媒体に執筆。著書に『9月、東京の路上で』(ころから)。
神原 元
1967年神奈川県生まれ。2000年弁護士登録(横浜弁護士会)。自由法曹団常任幹事。近刊に『ヘイト・スピーチに抗する人びと』(新日本出版社、14年12月刊行予定)。
明戸 隆浩
1976年愛知県生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。専攻は社会学、多文化社会論。著書に『ナショナリズムとトランスナショナリズム』(共著、法政大学出版局)、訳書に『ヘイトスピーチ』(共訳、エリック・ブライシュ著、明石書店)などがある。
ヘイトスピーチと排外主義に加担しない出版関係者の会
「嫌韓嫌中」に代表される、他国や他民族、マイノリティへの憎悪・偏見を煽る書籍の氾濫を危惧する出版関係者有志により2014年3月に結成。メンバーは規模の大小を問わず、さまざまな出版社の編集・営業・校閲、フリーランスの編集者やライター、書店員など約20名。排外主義を助長する出版社・出版業界の責任を業界内部から考えることをめざし、賛同者の募集、シンポジウムの開催、Facebookほか各種メディアによる発信に取り組む。
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カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2019年6月23日に日本でレビュー済み
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5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
役に立った
2015年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
嫌韓や嫌中は差別という論説は10年以上前のものではないでしょうか?
嫌韓・嫌中本の内容に反証する材料が差別しかないとしたら、やはり、嫌韓・嫌中本の内容は間違ってないことになりませんか?
自分とかが書店にいっても嫌韓・嫌中本なんて1コーナーにすぎないと思うのですが。
1フロア丸々嫌韓・嫌中本なら考えてもいいかもしれません。
とにかく、書店に対し、嫌韓・嫌中本を並べるな!というのは、それこそ言論の自由を侵す卑劣な行為なので、やめたほうがいいでしょう。
嫌韓・嫌中本の内容に反証する材料が差別しかないとしたら、やはり、嫌韓・嫌中本の内容は間違ってないことになりませんか?
自分とかが書店にいっても嫌韓・嫌中本なんて1コーナーにすぎないと思うのですが。
1フロア丸々嫌韓・嫌中本なら考えてもいいかもしれません。
とにかく、書店に対し、嫌韓・嫌中本を並べるな!というのは、それこそ言論の自由を侵す卑劣な行為なので、やめたほうがいいでしょう。
2015年1月6日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
書店業界の人たちの本ですから、自分達が一般市民に読んでほしい本を紹介する本になるのは至極当然。
彼らの主張自体に説得力は感じませんでしたが、書籍インデックスとしては申し分のない本です。彼らが薦める本、嫌がる本が書名で挙げられ、とてもよく分かります。
書店員に加えて弁護士、ライター、活動家も参加していますが、彼らの薦める本を読破するまで、彼らの正しさはわかりません。
より深く知りたくなったら、この本を手がかりに図書館と古書を当たります。Amazonの古書の相場を見てこの書籍の評価としたいと思います。
彼らの主張自体に説得力は感じませんでしたが、書籍インデックスとしては申し分のない本です。彼らが薦める本、嫌がる本が書名で挙げられ、とてもよく分かります。
書店員に加えて弁護士、ライター、活動家も参加していますが、彼らの薦める本を読破するまで、彼らの正しさはわかりません。
より深く知りたくなったら、この本を手がかりに図書館と古書を当たります。Amazonの古書の相場を見てこの書籍の評価としたいと思います。
2016年1月11日に日本でレビュー済み
民団と結託する「言論弾圧集団」を許す
この本の編集は、日本人を萎縮させて日本を朝鮮人の思い通りに動かそうとしている在日韓国・朝鮮人の連中。
日本国憲法で保障されている言論の自由を弾圧しようとしている共産主義思想の危険な連中。
従来は、このような危険分子周辺にいたり、組織の中に入り込んでいても、なかなか気がつかなかったが、現在は、ネット社会であり、この連中の偽善、嘘が容易に分かるようになった。日本人は、もう、黙っていないだろう。
この本の編集は、日本人を萎縮させて日本を朝鮮人の思い通りに動かそうとしている在日韓国・朝鮮人の連中。
日本国憲法で保障されている言論の自由を弾圧しようとしている共産主義思想の危険な連中。
従来は、このような危険分子周辺にいたり、組織の中に入り込んでいても、なかなか気がつかなかったが、現在は、ネット社会であり、この連中の偽善、嘘が容易に分かるようになった。日本人は、もう、黙っていないだろう。








