リンダ・ロンシュタットの公認ライブがついに出ました。1980年4月24日、テレビ番組用にハリウッドのテレビジョン・センター・スタジオで収録されたものです。本盤は、2016年に発見されたマスターテープから、デジタル用マスタリングを経てCD化されたものということです。リンダのライブとしては、私が聴いてきた範囲では、過去最高の音質です。
当時のニューウェーブのハードな曲調を取り入れた、その時点の最新アルバム"Mad Love"からの曲が3曲収録されています。その一方、It's So Easy, Blue Bayou, You're No Good, Desperadoといったコンサートでの定番曲がしっかり入っています。また、"Mad Love"より1つ前のアルバム"Living In USA"からJust One Look, Back In The USAの2曲を歌っています。コンサート定番曲を良い音で聴きたかった者としても、"Mad Love"発表後のタイミングとしては、限られた曲数を考えると、最高の選曲と言っていいかもしれません。リンダの歌い方とミュージシャンの演奏は、"Mad Love"後の過渡期にある感もありますが、十分に熱のこもったパフォーマンスです。
演奏陣はこのころのリンダのアルバムに参加していたミュージシャンで、Dan Dugmore, Russel Kunkel, Danny Kortchmar, Kenny Edwards, Wendy Waldmanといった人たちです。リンダのほとんどのレコードのプロデュースを行っているPeter Asherが、パーカッションとバックボーカルで参加しています。
惜しむらくは、この時のコンサートの全曲を収録しているわけではないようですが、リンダ自身が、収録されている12曲を選んだということなので、ファンとしては納得です。
この日本盤に対応する、輸入盤のカスタマーレビューで現時点(2019年2月1日)で掲載されているものには、掲載日付から見て、2016年のマスターテープ発見以前に製作された盤に対してのレビューが多く含まれているようです。今回出た日本盤には、ジャケットに2019、Rhinoという表記があります。また、このマスターの発見に関わっていて、本盤のエンジニアを務めているJohn Boylan氏が執筆した、2016年夏のマスターテープ発見の経緯がライナーノート(英文)として掲載されています。日本盤には、このライナーノートの和訳と、歌詞(英語及び和訳)が別冊子でついています。